著者
浅野 慎一
出版者
地域社会学会
雑誌
地域社会学会年報 (ISSN:21893918)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.45-60, 2015 (Released:2017-07-03)
参考文献数
64
被引用文献数
4

From 2012 to 2014, Japan Association of Regional and Community Studies(JARCS) has discussed its common issue, “Region and Community of post-Great East Japan Earthquake”. The purpose of this paper is to raise a new common issue based on the discussions in JARCS. The most important feature of “post- Great East Japan Earthquake” is shown in Japanese government’s adoption of a policy on “selection and concentration” basis. This indicated that the government declared the creation of peripheral regions and abandoned people within the national land. Here we can see the end of developmentalism in post-colonial East Asia, and how it appeared specifically in Japan. On this historical phase, the Japanese government and capitals introduced a regional remodeling plan, namely “Grand Design 2050”, or the Comprehensive National Development Plan. Various forms of self-directive practices, however, have been emerging in “regions and communities as living-spheres”, where the residents independently develop their own lives, opposing to the government’s plan. This paper, therefore, proposes a new common issue for JARCS : “Grand Design 2050 and Living-Spheres of Local Residents”.
著者
鰺坂 学 浅野 慎一 岩崎 信彦 杉本 久未子 西田 芳正 西村 雄郎 文 貞實 魁生 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、余った土地に大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、これらの人口の都心回帰により大阪市における地域社会の構造変容について調査分析を行った。特に都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、その連合会長らに面接調査を行った。結果として、新住民の地域振興会への参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
浅野 慎一
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-67, 2003

本稿の課題は、現代日本の"多民族社会化"の実態と意義を、諸個人の生活と文化変容のレベルに降りて把握・考察することにある。在日外国人の階級・階層は多様で、彼らを「エスニック・マイノリティ /同じエスニシティの人々」と一括するのは難しい。また彼らの多くは、多様な世界観と人生展望-ユニバーサル、ナショナル、グローバル、バイオリージョナル、インタナショナル、コスモポライト等-をもつ。これらはいずれも、周辺諸国民としての諸個人の、一方では自律的・内発的・相互平等的な国民国家形成、他方では国民国家の枠に囚われない諸個人の生活の発展的再生産という、2方向での「現代化(脱近代化)」の相克・ジレンマを孕んだ生活戦略である。彼らは、グローバリゼーションの渦中で国境間移動を余儀なくされるが、同時に自らの能力・資源を駆使した移動によって階層的上昇を模索しうる「強者」でもある。下層階級の外国人と日本人には、国籍・民族文化の違いを超えた階級・階層的な共通性がある。彼らは、グローバリゼーション下での「周辺・下層」という自己認識を共有した同じ下層階級の一員であり、多文化主義者ではない。しかし最下層の外国人の中には、孤立し、民族的劣等感に苛まれる者もいる。そこには、民族的要素が階級的矛盾を増幅させ、同時に階級的・民族的連帯をも困難にする、一種の袋小路的状態がある。
著者
浅野 慎一
出版者
旬報社
雑誌
労働法律旬報
巻号頁・発行日
no.1576, pp.20-29, 2004-05
被引用文献数
1
著者
和田 進 二宮 厚美 山崎 健 岡田 章宏 浅野 慎一 澤 宗則 太田 和宏 橋本 直人 岩佐 卓也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本国内のみならず、グローバル社会全般にわたって不平等、格差、秩序の崩壊などの社会矛盾が広がりつつある。その構造的な要因と打開の方向を検討するのが本研究の目的である。本研究にかかわる研究者はこれまで「人間発達と社会環境」の相互関係、つまり主体と環境の双方向作用に注目しながら共同研究を推進してきた。その成果に立ち、本研究においては現代世界の秩序の崩壊と再構築の現状分析、および、その対抗軸として人間発達human developmentと新しい公共性neo publicnessの分析を行った。国際連合の提唱する「人間開発」やA.K.センの「潜在能力論」の限界をこえる「人間発達」のありかた、J.ハバーマス、U.ペック等の掲げる公共性の内包する矛盾を再検討する形で、現代社会の秩序形成を探求した。なお、その成果は報告書「Human Developmentと新しい公共性を軸とした社会秩序の学際的研究」(総ページ数446頁)としてまとめた。