著者
大塚 敏之 高木 均 豊田 満夫 堀口 昇男 市川 武 佐藤 賢 高山 尚 大和田 進 徳峰 雅彦 堤 裕史 須納瀬 豊 新井 弘隆 下田 隆也 森 昌朋
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.517-522, 2000-11-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
11

マイクロ波やラジオ波を用いた凝固療法は肝癌に対する局所療法として広く行われるようになってきた.今回, 我々はマイクロ波やラジオ波による凝固効果を, イヌ及びブタを全身麻酔下に開腹した後肝臓にそれぞれの電極針を穿刺し通電することにより検討した.イヌを用いた実験では, 肉眼的にAZWELL社製マイクロ波, RITA社製ラジオ波及びBOSTON社製ラジオ波で凝固範囲が異なった.組織学的には, いずれも辺縁部に直後では出血を, 5日後では肉芽組織の形成が認められ明らかな差はなかった.ブタを用いた実験では, RITA社製ラジオ波のみの解析であるが, 組織学的に通電直後と6時間後では辺縁部に出血が見られ, 7日後では辺縁部に肉芽組織の形成が認められた.また, 通電時間による凝固範囲内の組織学的所見には差がなかった.したがって, 生体において, マイクロ波とラジオ波ともに良好な凝固効果が得られると考えられた.
著者
乾 正幸 大和田 進 近藤 裕子 蘇原 直人 乾 純和
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.57-60, 2011-06-10 (Released:2013-07-19)
参考文献数
5

大腸内視鏡検査に送気は不可欠であるが,空気による送気では残留空気による腹満感が出現することがある。そこで,今回スクリーニングを含む大腸内視鏡検査における炭酸ガス送気の有用性と経済性を評価することを目的とし臨床研究を行った。対象は2009年9月10日から2009年12月1日までに乾内科クリニックで施行された大腸内視鏡検査(軽処置を含む)101症例にアンケート調査を行った。この間,全例に炭酸ガス送気を用いた。また,大腸内視鏡検査1件あたりの炭酸ガスのランニングコストを,6.6kg一本の炭酸ガスボンベのコストを総検査数で除して算出した。症例の内訳は,男性49名,女性52名,年代の最頻値は60代であった。検査中及び検査後の腹満感については,楽であったと答えた群が大幅に上回った。空気送気による大腸内視鏡検査歴のある被験者で前回の検査と今回の炭酸ガス送気の検査の腹満感の比較でも楽であったとの回答が大幅に上回った。また検査中及び検査後の腹満感について統計学的検討を行ったが腹部手術歴の有無や大腸内視鏡検査歴の有無によらず腹満感は軽減されたことが示された。今回の検討期間内における大腸内視鏡検査1件あたりの炭酸ガス使用量は0.16kgであった。炭酸ガスボンベ一本6.6kgの単価は9,000円であり,1件あたりのランニングコストは227円であった。
著者
岡野 孝雄 大和田 進 清水 公裕 須納田 豊 川手 進 浜田 邦弘 岩波 弘太郎 菅野 雅之 佐藤 啓宏 高木 均 小山 佳成 青木 純 森下 靖雄
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.113-118, 2004-05-01

【背景と目的】肝細胞癌に対する経皮的なラジオ波焼灼術(以下RFA)は,局所療法として有効な治療法の一つである.しかし,横隔膜直下の肝細胞癌は,経皮的に超音波での描出や経皮的な穿刺が困難な場合がある.そこで我々は,胸腔鏡下に超音波プローブを用いてRFAを行い,その有効院と安全性を検討した.【対象と方法】2001年3月から2003年12月までに5症例,7回の胸腔鏡下ラジオ波焼灼術(以下TRFA)を行った.方法として,分離肺換気下に,胸壁の2ヵ所にトロカールを挿入し,それぞれ胸腔鏡と超音波プローブを挿入し,経横隔膜的に腫瘍を描出する.超音波プローブにほぼ垂直になるようにPTCD外套針を経皮的に挿入し,これをガイドとして,RF針を経横隔膜的に腫瘍内に穿刺し焼灼する.【結果】全例がHCV(+)の肝硬変であった.Child-Pughスコアは5〜7点であった.平均腫瘍径は2.4(2.0〜3.0)cm,セッション数は症例1の初回TRFA時に6回施行した他は,各3回であった.平均手術時間は180(90〜280)分,出血量は18(0〜50)mlで,平均術後在院日数は10.4(4〜22)日であった.合併症として,ポート部の熱傷を1例に認めた. RFA術後のダイナミックCTでは,全例で低吸収域となり,治療は有効であると判定した.5症例の平均観察期間は21(7〜33)ケ月であった.1例で術後の局所再発が疑われ,同部に2回同様の手技で治療した.1例に,異所性の再発を認め,動脈塞栓療法(以下TAE)を行った.脳梗塞で24ヶ月目に死亡した1例の他は,全例が無病生存中である.【結語】TRFAは,2つのportで行うことが出来,低侵襲で,繰り返し安全に施行可能であった.経皮的なRFAが困難な症例に対して,新しい治療法になりえる.
著者
和田 進 二宮 厚美 山崎 健 岡田 章宏 浅野 慎一 澤 宗則 太田 和宏 橋本 直人 岩佐 卓也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本国内のみならず、グローバル社会全般にわたって不平等、格差、秩序の崩壊などの社会矛盾が広がりつつある。その構造的な要因と打開の方向を検討するのが本研究の目的である。本研究にかかわる研究者はこれまで「人間発達と社会環境」の相互関係、つまり主体と環境の双方向作用に注目しながら共同研究を推進してきた。その成果に立ち、本研究においては現代世界の秩序の崩壊と再構築の現状分析、および、その対抗軸として人間発達human developmentと新しい公共性neo publicnessの分析を行った。国際連合の提唱する「人間開発」やA.K.センの「潜在能力論」の限界をこえる「人間発達」のありかた、J.ハバーマス、U.ペック等の掲げる公共性の内包する矛盾を再検討する形で、現代社会の秩序形成を探求した。なお、その成果は報告書「Human Developmentと新しい公共性を軸とした社会秩序の学際的研究」(総ページ数446頁)としてまとめた。
著者
川手 進 六本木 隆 大和田 進
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1999-2002, 1994-08-01
被引用文献数
7

偶然に発見された巨大な大網嚢腫性リンパ管腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.患者は16歳の男性で,感冒様症状のため来院した際に,腹部の膨隆と波動を指摘され,精査加療のため入院した.腹部超音波および腹部CT検査で多房性の腫瘤を認め,大網嚢腫の診断で嚢腫剔出術を施行した.嚢腫は多房性で,大きさ32×23×15cm,重さ7,100gで,その表面は大網組織で覆われていた.病理組織学的に腫瘍は嚢腫性リンパ管腫であった.本症例は大網嚢腫の本邦報告例のうち最大であった.