- 著者
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前野 英生
浦塚 清峰
神山 孝吉
古川 晶雄
渡邉 興亜
- 出版者
- The Japanese Society of Snow and Ice
- 雑誌
- 雪氷 (ISSN:03731006)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.5, pp.331-339, 1997-09-15 (Released:2009-09-04)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
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1
雪上車搭載高感度アイスレーダにより, 1992年に南極大陸ドームF (77°19'S, 39°42'E, 標高3810m) 周辺の深さを最大3520mまで氷厚観測することができた.ドームF頂上部のDF80付近は, 周囲の基盤地形にくらべ盆地上の地形をしており, かつ, 内部層構造は, 傾きが小さいことからから, 流動によって氷床の鉛直分布が大きく乱されていないことを確認した.また, ドームF周辺およびその地点から大陸沿岸のS16までの基盤地形と氷床内部層の構造を明らかにし, それらの特徴について考察した.レーダ観測により判明した基盤高度は, ドームFからMD164 (S16より南へ約440kmの地点) までの内陸部では平均高度約500mであるのに対し, この点を境に沿岸部では海抜高度0m程度にステップ状に段差があることを見出した.また, この段差を境に氷の内部の構造が異なっている.氷床内部層構造は, 沿岸に近いほど複雑であり, 内陸部は沿岸部に比べ連続的で単純な構造であった.その要因は, MD164での段差が氷床流動に影響を与えているためと考えられる.