著者
山口 弘誠 中北 英一 野中 理伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_307-I_312, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Some rain-gauges produce a disturbance of the air currents which is called "Jevons effect", thereby a disturbance in the distribution of precipitation of such a kind that a part of the rain is carried past the rain-gauge, and the amount of variation from the true rainfall increases with increasing wind velocity. To evaluate the capture ratio when a strong wind occurs, the 9 m2 huge rain-gauge was invented that could reduce and neglect the Jevons effect. The total amount of rainfall for three months observed from the huge rain-gauge is about 5 % greater than that observed from the standard rain-gauge. 2-dimensional video disdrometer analysis showed that the capture ratio was low during the rainfall which had the small median diameter of the raindrop size distribution.
著者
山口 弘誠 井上 実 本間 基寛
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

雨の音色を工学的に計測し、雨の音色と従来の降雨情報の関係性を明らかにした。1)雨の音色、および従来の降雨情報の観測: 京都大学防災研究所屋上に機器を設置して、雨滴一粒ごとの粒径と落下速度、風速、降雨強度をそれぞれ計測した。さらに、運転する車の中で集音器を設置し、計測を行い、周囲の環境が雨音とどのように関係するかに関しても解析を進めた。2)雨の音色と従来の降雨情報との関係性の解明: 上記の観測データを用いて、従来の降雨情報の関係性の何が周波数に影響するかについて、基礎解析を行った。その結果、雨滴の粒径の代表粒径(中心値)と雨音の強度に強い相関が見られた。
著者
丸山 敬 竹見 哲也 山田 広幸 山口 弘誠
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.131-136, 2021-12

Field observation of wind fields has been carried out by using a doppler lidar and meteorological radars. Characteristics of fluctuational wind under cumulus convection and the growth of boundary layer including not only the effect of ground friction caused by surface roughness but also the effect of gust caused by up/down draft was examined and clarified. Some observed cases with the down flow under cumulus during passages of cold front were examined. The wind fields were simulated by large eddy simulation with canopy model, cloud physics model and boundary condition from simulated wind field by meteorological model WRF. The simulated wind fields consist with the observation. The wind speed near the ground increases with the down flow under the cumulus convection.
著者
山口 弘誠 中北 英一 野中 理伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_307-I_312, 2013
被引用文献数
1

Some rain-gauges produce a disturbance of the air currents which is called "Jevons effect", thereby a disturbance in the distribution of precipitation of such a kind that a part of the rain is carried past the rain-gauge, and the amount of variation from the true rainfall increases with increasing wind velocity. To evaluate the capture ratio when a strong wind occurs, the 9 m2 huge rain-gauge was invented that could reduce and neglect the Jevons effect. The total amount of rainfall for three months observed from the huge rain-gauge is about 5 % greater than that observed from the standard rain-gauge. 2-dimensional video disdrometer analysis showed that the capture ratio was low during the rainfall which had the small median diameter of the raindrop size distribution.
著者
丸山 敬 竹見 哲也 山田 広幸 山口 弘誠
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>建物被害の原因となる強風特性に関して、これまで地表面摩擦に起因する「風の乱れ」だけを考慮することが多く行われてきた。しかし、観測技術の進歩に伴い、ダウンバーストや竜巻、ガストフロントなど局所的ではあるが激甚な建物被害を引き起こす極端気象現象が明らかになるにつれ、これら積雲対流下の上昇・下降気流に由来する風速の急変を伴う「突風」を考慮した強風ハザード評価が正確な被害予測に不可欠であると考えられる。そこで本研究では、積雲対流による「突風」の影響を明らかにするためドップラーライダーによって観測された前線通過時の記録を紹介し、積雲対流下における接地境界層内の気流性状について考察する。</p>
著者
堀池 洋祐 山口 弘誠 古田 康平 中北 英一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

近年,線状メソ対流系による豪雨災害が日本各地で増加する傾向にある.このような豪雨災害の被害を減少させるためには,数値予報モデルを用いた高精度な予測情報が求められている.モデルを用いた短時間降水予測では,最適な初期値を与えることが予測精度向上に大きく影響する.そのため,データ同化は最適な初期値を与えるための有効な手法の一つである.線状メソ対流系の初期の同化による発達の予測はある程度成果が出始めているが,気象レーダーを用いたデータ同化によるメソ対流系の発生段階の予測に取り組んだ既往研究はほとんどない.本研究では,中国地方4基・近畿地方4基のXRAINから得られるレーダー反射強度Z<sub>HH</sub>から推定した雨水混合比<em>q<sub>r</sub></em>,偏波レーダーから推定した固相降水粒子混合比を同化することでメソ対流系の発生段階における予測精度向上を狙う.<br />本研究では,2012年7月15日に京都,亀岡で起きた豪雨事例を対象とした.メソ対流系が発生した原因の一つとして,中下層の低温化の気塊が六甲山上空を通過した際に大気不安定をもたらしたと考え,メソ客観解析の気温データをメソ対流系発生前にあたる23:00-23:45に同化した.その結果,中層が低温化し,対流セルが発生した.この結果を踏まえ,雨滴の蒸発による低温化を期待してXRAINの同化を行った.結果として,六甲山系中層の温位低下と水蒸気混合比の増加が確認できた.しかし,対流不安定になるほどの気温低下は起こらず,強いメソ対流系を発生させるには至らなかった.<br />そこで,六甲山でメソ対流系が発生する約5時間前に山口県で降り続いた降水が蒸発しながら東進し,中下層の低温化をもたらしていると考え,同化する時間帯をメソ対流系が発生する時間帯から大幅に早め,同化領域を山口県が含まれるように西側に広く取った.山口県沖から東進する雲をターゲットにして同化を行うことにより,中下層の低温化を引き起こし,メソ対流系初期の降水予測精度を向上させることを目指した.その結果,XRAINの同化によって中下層で低温化が起こり,低温域が六甲山域に到達するタイミングで40メンバー中の7メンバーにおいて対流セルを発生させることに成功した.今後は,雲微物理モデルスキームの改善による予測精度の向上や,アンサンブル予測情報の有効な利用手法の検討について考察していく.
著者
佐藤 悠人 中北 英一 山口 弘誠
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2016

2008年神戸市都賀川で豪雨による突然の出水により5名の方がなくなるという悲惨な事故が起こった.河川付近にいる人々をゲリラ豪雨から安全に避難させるため,わずか数分でも早いゲリラ豪雨の予測技術の確立,高精度化がより一層急務であると言える.中北らはゲリラ豪雨に発達するタマゴ内部に高い渦度が見られることを発見し,渦度がゲリラ豪雨の危険性予測に極めて有効な指標であることを示しゲリラ豪雨の予報システムを開発した.しかしなぜ高い渦度を持つ積乱雲が発達するかというメカニズムについては未だに明らかでない点が多く,メカニズムの解明が重要である.そこで本研究では渦度とタマゴ発生・発達の理論的背景を解明するために積乱雲初期の渦度分布構造を詳細に解析し,新たな知見を得ることを目的とした.中北らはゲリラ豪雨のタマゴが鉛直渦管構造を持っていることを発見し,これはスーパーセル発達過程初期に見られる渦管構造と類似していることを示した.これによりスーパーセル初期の渦管の発達を表現する流体力学の理論を用いて上昇流の位置を推定できると考えられる.そこで本研究では観測されたレーダー反射因子差<i>Z</i><sub>DR</sub>を用いて上昇流の位置を推定し,理論から導かれる上昇流の位置と一致するか検証を行った.鉛直渦度方程式から上昇流の両脇で正負の渦度が形成されることがわかっており,上昇流がゲリラ豪雨の事例で確認できるか<i>Z</i><sub>DR</sub>を用いて検証した.融解層以上の<i>Z</i><sub>DR</sub>に注目したところ,High<i>Z</i><sub>DR</sub> Columnが確認された.これにより本事例に上昇流が存在しているということがわかりHigh <i>Z</i><sub>DR</sub> Columnの位置と理論から推定される上昇流の位置を比較したところ,上昇流と渦度が対応していると考られるという結果を得た.しかし下層に雨粒がなければ上昇流があってもHigh <i>Z</i><sub>DR</sub> Columnが見られないこと,強い上昇流の位置を正確に知ることができないことからより詳細な上昇流解析を行うためには実際に鉛直風速を算出する必要がある.そこで清水らの手法を用いたTriple Doppler手法から鉛直風速を算出した.ペアーの渦管の間には周囲と比較しても強い上昇流が存在しており,<i>Z</i><sub>DR</sub>による上昇流部推定の結果と矛盾しないことがわかった.
著者
森山 聡之 武藏 泰雄 西山 浩司 渡辺 亮一 和泉 信生 森下 功啓 山口 弘誠 中北 英一 島谷 幸宏 河村 明 牛山 素行 松尾 憲親
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

分散型多目的市民ダムをスマート化し、水資源確保と洪水制御を行う雨水グリッドとするために、(1)降雨量測定装置としての雨水タンクの検証を行い、雨量計としては利用可能なものの、雨水タンクが砕石充填方式の場合は圧力センサーを水位計として使用しない方が良いことを示した。(2)防災クラウドによる雨水の見える化として、センサーノードとゲートウエイの安定化を計った。(3)豪雨発生診断をSOMを用いて行ったが、予測精度はあまり高くないことが判明した。セキュリティー向上として、 OpenVPNを用い暗号化となりすまし防止を行った。(4)無線回線の安定化を図るためにLoRaWANを検証、良好な結果を得た。
著者
中北 英一 鈴木 賢士 坪木 和久 大石 哲 川村 誠治 橋口 浩之 高橋 劭 城戸 由能 田中 賢治 中川 勝弘 岩井 宏徳 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 若月 泰孝 相馬 一義 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

集中豪雨やゲリラ豪雨による水災害軽減のための総合的基礎研究を実施した。最新型偏波レーダーとの同期フィールド基礎観測実験においてビデオゾンデ観測の汎用化をはかることでこれまで夢に描いてきた積乱雲内の多地点連続観測を実現するとともに、ヒートアイランドの影響を受ける都市域での積乱雲形成・発達過程のマルチセンサー同期観測の緒も開いた。それらを土台に積乱雲のモデル化と豪雨予測手法の開発を行い、加えて早期警戒情報提供や水位予測などの水管理に重要な手法をも構築した。特に、開発したゲリラ豪雨の早期探知・危険性予測手法は国土交通省で現業化され試験運用が開始されており、科学的にも社会的にも意義深い貢献を果たした。
著者
中北 英一 田中 賢治 坪木 和久 大石 哲 中川 勝広 鈴木 善晴 大石 哲 坪木 和久 鈴木 賢士 川村 誠治 高橋 劭 田中 賢治 中川 勝弘 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

豪雨災害の軽減を目指して、次世代型偏波レーダーの降水量推定・降水予測への利用を目的に、偏波レーダーとビデオゾンデの同期集中観測を実施し、その結果、降水粒子の粒径と種類の推定手法を構築することに成功した。さらに、モデル予測への応用や現象の理解を深めることで降水量推定・降水予測の高度化を実現した。
著者
山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

豪雨災害の軽減を目指して、様々な雲微物理量の推定による降雨予測精度の向上を目的に、偏波レーダーから推定される降水粒子種類情報、および水蒸気量をデータ同化することで、降雨予測手法の高度化を実現した。また、偏波レーダーを用いて降水粒子の形成過程を通して水蒸気量を推定できる可能性があるという概念を示した。