著者
布施 理美 長谷川 崇 清水 民子 廣岡 大吾 坂 慎弥 布施 明 横堀 將司 小山 博史 猪口 正孝
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.672-678, 2022-08-31 (Released:2022-08-31)
参考文献数
13

目的:首都直下地震で未治療死が生じないために発生傷病者数をどの程度に抑制しなければならないかを明らかにすること。方法:災害医療シミュレーション・システムを用いて内閣府の首都直下地震東京湾北部地震想定を用いて,想定から1割ずつ発生負傷者数を減じた場合の未治療死数やその内訳を検討した。災害医療の動きは東京都の災害時医療救護活動ガイドラインに準じた。結果:内閣府想定では発災後初回トリアージが赤タグの傷病者(4,296人)のうち1,507人(35.1%),黄タグの傷病者(17,224人)のうち4,775人(27.7%)が未治療死となった。未治療死は災害拠点病院よりも連携病院で多く発生していた。負傷者数を想定の4割まで減らすことができれば未治療死は30人(負傷者数の0.4%)に減じた。結論:首都直下地震発生直後に未治療死が多数発生するという“医療崩壊”を起こさないためには発生負傷者数を内閣府想定の4割程度に減らす防災・減災対策が必要である。
著者
森山 日出夫 清水 民子 勅使 千鶴 佐々木 享 野呂 アイ 宍戸 健夫 八重澤 美知子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

研究目的で日本に留学している学生・研究者の数は年々増加し全国で約10万人に達しており,その出身の国・地城や民族も多様化している。家挨同伴の留学も増加しており,その子育てに対する支援は,留学生本人に対する支援とともに,国際交流の重要な一環を構成している。本研究では,大学関係の保育園について現状と問題点を明らかにすることを主要な日的とした。調査対象として取り上げた保育所は,最初教職員組合による共同保育所として設立され,認可保育所へと展開してきた歴史を持っている。日本における保育運動の発展において先導的役割を果たした,この大学関保保育所の運動について関係各園の資料をもとにその意義と役割について詳細にまとめた。また,私立大学における保育所の実態についてその全てを網羅するには至らなかったが,主要な国立大学の保育所についてその原状と問題点を洗い出した。さらに,留学生支授という意味では大学内にある保育所以上に大きな役創を果たしている香推浜及び愛咲美保育国(福岡市)を対象に多様な視点から調査分析を行った。外国人留学生の子弟を多く受け入れている保育園では,日々さまざまな異(多)文化接触か行われている。次世代を担う子供達に対して実施されている国際理解を促進する手法の実態を明らかにし,そこで育っている子供達のみならず,受け入れた園の保育者及びそこに子どもを預けている外国人の親と日本人の親とが,それをどのように受け取り,自らの国際理解の深化に果たしている役割を明らかにし,その問題点と諸問題解決の支援組織の構築について検討した。こうした保育園で育った子供達自身が,その経験についてどのような意識を持っているか,又,その家族がどのような評価を下しているかなどについての分析が課題として残されている。