著者
渋谷 望
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.455-472, 2011-03-31 (Released:2013-03-01)
参考文献数
58
被引用文献数
2 4

本稿はフーコーが『生政治の誕生』で展開した議論を参照し,ネオリベラリズムをアントレプレナー的な主体化をうながす権力として分析するとともに,この権力が作動する条件として,ネオリベラリズムが心理的な暴力を活用する側面に着目する.まずネオリベラリズムを権力ととらえるフーコーの議論から,ネオリベラリズムが主体を自己実現的なアントレプレナーとみなす考え方に立脚している点を明らかにするとともに,アントレプレナー的な主体化にともなうさまざまな問題や困難を指摘する.次にアントレプレナーへのあこがれが,その実現が困難な人々――フリーターなどの不安定な立場の者――にも見られることに着目し,アントレプレナーへの志向がかならずしも実現可能性の客観的な条件に規定されるわけではなく,彼らの現実への不満に根ざしていることを指摘する.最後に,ナオミ・クラインのショック・ドクトリン議論を参照し,この不満(絶望)を生産する権力としてネオリベリズムをとらえなおす.ここからネオリベラリズムの主体が「アントレプレナー」であるとともに「被災者」であることを明らかにし,社会の「心理学化」のもう1つの側面を指摘する.
著者
渋谷 望
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.33, pp.5-20, 2015-09-05 (Released:2016-10-09)
参考文献数
21

Gentrification is said to be the return of the middle class to the city. Neil Smith suggests, however, that gentrification is not to be seen simply as a “return” but also as a form of “class struggle.” This paper examines the process of gentrification and the antigentrification movement in the Lower East Side of New York City. It maintains that this struggle should be seen as a struggle over the urban commons and therefore as a contemporary manifestation of primitive accumulation. Considering (anti-)gentrification as a “class struggle” or as a value struggle in the context of the global city, it shows that gentrification is a necessarily unsettling and unstable process.
著者
渋谷 望
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.455-472, 2011-03-31
被引用文献数
4 5

本稿はフーコーが『生政治の誕生』で展開した議論を参照し,ネオリベラリズムをアントレプレナー的な主体化をうながす権力として分析するとともに,この権力が作動する条件として,ネオリベラリズムが心理的な暴力を活用する側面に着目する.<br>まずネオリベラリズムを権力ととらえるフーコーの議論から,ネオリベラリズムが主体を自己実現的なアントレプレナーとみなす考え方に立脚している点を明らかにするとともに,アントレプレナー的な主体化にともなうさまざまな問題や困難を指摘する.次にアントレプレナーへのあこがれが,その実現が困難な人々――フリーターなどの不安定な立場の者――にも見られることに着目し,アントレプレナーへの志向がかならずしも実現可能性の客観的な条件に規定されるわけではなく,彼らの現実への不満に根ざしていることを指摘する.最後に,ナオミ・クラインのショック・ドクトリン議論を参照し,この不満(絶望)を生産する権力としてネオリベリズムをとらえなおす.ここからネオリベラリズムの主体が「アントレプレナー」であるとともに「被災者」であることを明らかにし,社会の「心理学化」のもう1つの側面を指摘する.
著者
尾形 隆彰 犬塚 先 桜井 厚 片桐 雅隆 中澤 秀雄 米村 千代 渋谷 望 出口 泰靖
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

千葉地域における新しい文化の創出や、海という自然環境を生かしたレジャー、ディズニーという人気観光スポットを生かした地域づくり、また都心からの地の利を生かした移住による「田舎暮らし」といった可能性を明らかにした。またそうした地域に住む住民の意識や行動の変化を捉えることにも成功した。