著者
矢ノ倉 萌 渡辺 めぐみ
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第21回大会
巻号頁・発行日
pp.94, 2023 (Released:2023-10-18)

音楽テンポの知覚と心拍数や内受容感覚の精度の関係を実験で検討した。予備調査より基準刺激のテンポを86.50bpmとし,そのテンポを0.5倍から1.5倍に0.1倍ずつ変えた11種類の比較刺激を作成した。参加者には基準刺激と比較刺激の差を視覚的尺度で回答させ,主観的等価点(PSE)とテンポが実際に位置する基準点の差を得た。実験前後に心拍数測定と内受容感覚として心拍数の自覚回数の報告を行わせた。テンポ倍率を独立変数,PSEと基準点の差を従属変数として一要因分散分析を行うと,テンポが基準値に近い程その差は有意に小さかった。参加者を群分けし,独立変数に基準刺激と心拍数の差または内受容感覚の精度を加えた二要因分散分析を行うと,群間の差に前者では有意差がなく後者では有意傾向が見られた。テンポ倍率が0.7倍と0.8倍の時,内受容感覚が高精度な群の方がPSEと基準点の差は有意に小さく,内受容感覚の精度がテンポ知覚に関わることが示唆された。
著者
秋坂 真史 渡辺 めぐみ 志井田 孝 石津 宏
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.607-617, 2005
参考文献数
19

茨城県東海村で発生したJCO社による放射能臨界事故は, 一般社会のみならず心身の健康に敏感な住民にも大きな衝撃をもたらした.事故災害やその健康被害などについての報告も多い中, 本事故についての現場からの調査報告, とりわけ児童の心身への影響に関する学術報告は皆無に近かつた.そこで, 本邦で初めて住民を巻き込んだ放射能洩れ事故が, 近隣の学校生徒の心身に与えた影響, 特に心的外傷後症状の実態や内容などを調べる目的で調査を行った.屋内退避対象地域になったJCOから半径10km圏内の7市町村に所在する15校の小学生・中学生・高校生計479名を分析対象に, 事故直後(想起)および事故1年後に心的外傷後症状の感情状態や変化(現在)に関し, 無記名かつ自記式の質問紙調査を実施した.男女別また校種別でも, 両期とも精神的症状項目で女子が有意に高かつた.事故直後の身体症状や睡眠障害・興奮などの心身症状は性差なく, 比較的少数であつたが存在はした.このように事故1年後でも思春期女子の感情不安定性が目立ち, 健康診断や精神的フォローアップの必要性が示唆された.
著者
渡辺 めぐみ
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

グリーンツーリズムは、近年、農業・農村セクターにおいて推進され、新聞などのメディアでもその動きが報道されている。とくに、農家民宿における女性の活躍が期待されている。しかしながら、調査の結果、農家民宿経営は、(1)女性の感情労働が期待され重荷になっている、(2)農家民宿運営に必要な労働が、家事労働の延長として無報酬で行われる傾向がある、(3)旅館業との競合から価格が安く抑えられ利益が上がりにくい、といったさまざまな問題を抱えていることが明らかになった。現在、修学旅行などの教育旅行の受け入れが主となっているが、これらは季節的な労働になるためであり、年間を通じて一般客を受け入れることは依然困難だ。
著者
松本 亜紀 箱田 裕司 渡辺 めぐみ
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.337-346, 2012
被引用文献数
12

We have developed a group Stroop Color-Word Test that measures both Stroop and reverse-Stroop interference. In this test, the participants had to match a pertinent word with a color patch from among the choices printed on paper. The purpose of this study was to investigate the life-span development of Stroop and reverse-Stroop interference as measured by this test. A total of 1 945 participants (age 7─86 years old) completed this test. We found that Stroop interference was greatest among children, then decreased with age to adulthood, and finally increased among the older people. These results correspond with the findings of previous developmental studies conducted using verbal responses. The reverse-Stroop interference was found to be smallest among children, increased with age to adulthood, and then remained constant even among older adults. These results suggest that Stroop interference and reverse Stroop interference reflect different cognitive processes.