著者
境野 眞善 山下 貴稔 土倉 則子 佐野 貴士 渡辺 健市 葉桐 宏厚 桜間 勇樹 廣島 理樹 眞鍋 陽一郎 鈴木 美樹 今義 潤
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.346-352, 2014-08-15 (Released:2014-09-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ドーナツの美味しさと泣きに重要な因子を特定し,ドーナツに適したフライ油の開発方法を示すために,様々な油脂の物性やドーナツの特性を評価した.その結果,フライ用油脂の上昇融点がドーナツの油染み量と,30°CにおけるSFCが官能評価での油っぽさやパサついた食感と関連することを見出した.また,上昇融点は高いほど望ましいが,概ね40°C以上,かつ30°CにおけるSFCが20%程度の油脂が物性,官能的に最もドーナツに適していた.これらの指標を基にして開発したドーナツオイルDは,上昇融点が46.3°Cと高いものの,30°CにおけるSFCが21.8%と低く,ドーナツのフライ用油脂として優れた特性を有することを確認した.また,ラットおよびヒトで吸収性を評価したところ,ドーナツオイルDは液体油よりも体に吸収されにくいことが分かり,ドーナツオイルDは物性,官能,および摂取カロリーの面でもドーナツに適した油脂であることを明らかにした.
著者
原 知子 安藤 真美 伊藤 知子 井上 吉世 大塚 憲一 大野 佳美 岡村 由美 白砂 尋士 高村 仁知 武智 多与理 露口 小百合 中原 満子 中平 真由巳 西池 珠子 林 淑美 深見 良子 藤村 浩嗣 松井 正枝 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 山下 貴稔 湯川 夏子 渡辺 健市
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-27, 2004-01-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.