著者
向 直人 渡邉 豊英
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.2687-2694, 2005-11-15

現行のバス・システムでは,車両の配備台数は時刻表に依存している.また,車両の走行経路はバス停を経由した固定経路になっている.このような輸送サービスでは輸送要求の傾向の変化に柔軟に対応することは困難である.一方,タクシー・システムにおいては,時刻表やバス停は存在せず,ドライバの経験から獲得された知識に基づき,巡回経路や待機位置を決定している.しかし,その知識は断片化されており,システム全体のパフォーマンスを向上させるために有効に活用されていない.本稿は,顧客の輸送要求の傾向を学習することによって車両の動的な巡回パターン(巡回,待機)を決定する手法を提案する.提案手法はAnt Colony Systemと呼ばれる蟻の生態を模倣したアルゴリズムに基づいている.各車両は自身の輸送履歴を保持することで,道路上に巡回パターンを形成するための手掛かりを残す.手掛かりは顧客の発見を促すPick-up Pheromoneと巡回経路の形成を促すDelivery Pheromoneの2種類のフェロモンで構成される.最後に,シミュレーションにより本手法を評価し,その結果を報告する.The most of existing bus systems incorporate fixed routes via bus terminals and fixed number of vehicles depending on timetables. Such static bus systems cannot be adapted to the dynamic changes of demand flows such as frequency and directions of transport demands. On the other hand, in the most of existing taxi systems, the transport routines of taxis depend on the empirical knowledge of taxi drivers. However, the knowledge is not exploited effectively to improve the system performance. Therefore, we propose a new adaptive system which enables dynamic routine patterns for transport vehicles by learning the flows of transport demands. Our idea is inspired by a heuristic algorithm called "Ant Colony System". Each vehicle leaves clues to construct dynamic routine patterns by storing its delivery history. The clues consist of two kinds of pheromones: "pick-up pheromone" which leads the finding of new customers and "delivery pheromone" which leads the constituting of routines. Finally, we report simulation results by using two flow patterns of transport demands.
著者
牛尼剛聡 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.72, pp.285-292, 2004-07-14

ライフログは個人の活動を記録したデータである。ライフログを構成するデータの例として、個人が送受信した電子メール、視聴したTV番組、デジタルカメラで撮影した記録画像等があげられる。ライフログの特徴として、同一の活動が複数のメディアで記録されていることがある。それぞれのメディアには特徴があり、表現可能な内容には限界がある。メディアを統合化することにより、同一の活動を様々な視点から捉えることが可能となる。統合化されたライフログは、個別のデータ単体では表現できないコンテクストを相互に表現していると考えられる。本研究では、異種メディアで記録されたライフログを統合化し、コンテクストに基づいた検索を実現することを目的とする。統合化の際に問題となるのは、異種メディアの対応付けを厳密に行うことは困難であり、不確実性を伴う点である。本論文では、この問題に対応するために、推論ネットワークを拡張した検索モデルを提案する。なお、検索対象の例としてデジタルカメラや携帯電話などで撮影された記録画像を想定し、記録画像のコンテクストの推定には、利用者が送受信した電子メールのメッセージを利用する。The life-log is the data that records activities of a person. Examples of life-logs are the e-mail massages that he/she sent and recieved, TV programs that he/she watched, and photographs that he/she took, and so on. One of the most important characteristic of life-log is that the same activities are represented in different media types. Each type has its own characteristic features, and the limitation on its content representation ability. The integration of life-log in different media types enable to represent the same activities from various viewpoints. Integrated life-logs represent contexts each other that are not able to represent in single. The goal of our research is to integrate life-logs in different media and to search them based on their contexts. A problem of the integration is that it is difficult to make correspondences between life-logs in different media types strictly and the correspondences consists uncertainty. In this paper, we introduce a framework based on Bayesian Network. We suppose to search the photographs taken with digital camera based on their recorded contexts, and use e-mail messages for context estimation.
著者
牛尼剛聡 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.68, pp.469-475, 2005-07-14

本論文では,ライフログ検索に利用することを目的として,個人時間空間の要素に対してキーワードで索引付けを行う手法を提案する.デジタルカメラで撮影された画像をはじめとして,多くの種類のライフログは時間軸上に対応付け可能である.本手法で生成される索引を利用すれば,時間軸に対応付け可能なライフログを,人手によるアノテーション無しでキーワード検索可能となる.本手法では,索引の自動生成のために,個人が送受信した電子メールメッセージを利用する.本研究で対象とするのは,索引語と個人時間空間の要素間の関係である.本手法ではその関係を,(1) 索引語とメッセージの関係,(2) メッセージとメッセージ中に現れる時間表現の関係,(3) 時間表現と個人時間空間の要素間の関係,という3 種類の構成要素に分解する.そして,それぞれの構成要素に関して,局所的重み,大局的重み,正規化係数という3 種類の基準に基づいて重み付けを行う.This paper introduces a technique for making an index on a personal time space with keywords. The index made based on this technique is used for life-log search. Many types of life-logs such as a snapshot image taken with a digital camera can be assigned onto a personal time axis. A user can search such types of lifelogs can with keywords using such index without manual annotations. Our technique uses user's personal e-mail messages for generating an index on his/her personal time space. For generating an index, we have to consider the relationship between an index word and an element of personal time space. We divide the relationship into three sub-relationships. They are (1) the relationship between an index word and an e-mail message, (2) the relationship between an e-mail message and a temporal expression in e-mail messages and (3) the relationship between a temporal expression and an element of personal time space. Each relationship is weighted from three kinds of viewpoints: local weight, global weight and normalization factor.
著者
大野 泰雅 大沼 宏行 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.76, pp.55-62, 1998-05-23
参考文献数
6

知的教授システム(ITS)の分野では、プログラム言語を対象とした教授システムについての研究が多くなされてきた。教授システムにおいては、学習者の理解状態を知るための問題演習が欠かせない。問題演習では、学習者の記述したプログラムから誤りを適切に検出する機構が必要である。従来のインタプリタなどでも誤りを検出可能ではあるが、誤りに対する指導を目的とした場合、十分に誤りを識別しているとはいえない。我々は、学習者に容易なスペルミスの訂正を提供でき、さらに誤りパターンを用いて適切に誤りの識別を行なう誤り検出の手法を提案し、実装例を紹介する。
著者
葛生 和人 平野 靖 間瀬 健二 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.7-12, 2008-03-06

ドメイン構成を用いずに,いずれの共有端末からも個別のユーザ環境を再構築できるシステムを開発した.本システムでは,ドメインサーバを介さずに LDAP 上で管理される既存のユーザディレクトリ情報にアクセスし,PKI アプリを搭載した IC カードと連携して共有端末へのログオン認証が行われる.なお,ユーザ環境の再構築に必要なユーザプロファイル情報は,ssh サーバを通して共有のデータストレージ上に格納される.また,共有端末からネットワークドライブとして接続した Samba ファイルサーバ上に,ユーザプロファイル関連フォルダを置くことで,通常はドメイン構成上ではじめて成り立つ移動ユーザプロファイル機能を,ドメインサーバの導入の必要なく実現することができた.本システムは,管理運用面と経済性の両面において有利なソリューションであるといえよう.We developed newly the logon authentication system which can rebuild the individual environment on a shared terminal without depending on domain accounts. In this system, the logon authentication to the terminal is carried out using both a PKI application on smart card and the user directory information of LDAP, and the system does not need a domain control server. The user profile data, which is required for rebuilding of user environments, is stored on shared data storage through a ssh server. On the other hand, the concept of roaming user profile not belonging to a domain is realized through putting user profile folders on Samba file server connected to a shared terminal as a network drive. This system can be regarded as advantageous solution from the points of both user management and economical efficiency.
著者
駱琴 渡邉 豊英 吉田 雄二 稲垣 康善 齊藤 隆夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.1755-1767, 1990-12-15
被引用文献数
13

図書館業務に計算機を導入して より多様な情報サービス より効率的な業務処理を実現することが積極的に試みられているしかし 膨大な書誌情報をいかに効率よく計算機に入力するかが大きな課題となっているこのために 図書目録カードから目録情報を自動的に抽出し 各項目ごとに分類する方法が必要である本論文では 図書目録カードに付帯する様々な知識を活用して目録情報を自動的に分類・抽出するトップダウン的なアプローチを提案する本アプローチの基本的な戦略は書式構造 項目の並び関係 各項目に関する知識を段階的に かつ独立に適用することによって 仮説の生成・検証プロセスの下に項目を順次決定し 処理する今までに報告されている同課題の処理手法と比べて 本アプローチは処理対象の書式構造 論理構造をあらかじめ記述しておくことにより 種々の図書目録カードに対処できるすなわち 構造的な変形 記述形式に変化を有した図書目録カードにも対処でき 応用性 適応性 柔軟性に富んでいる
著者
林 佑樹 小尻 智子 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.88, pp.39-44, 2008-06-07
被引用文献数
1

仮想世界での協調学習では,通信手段が制約されるため限られた情報しか取得できず,他者と円滑に学習することが困難である.実世界の協調学習では,発言や動作,そして相手の表情といった学習活動情報を,学習場の雰囲気や他者の状況から把握し,特定の他者・物に注目することができる.他者と協力して学習するためには,これらの学習活動に基づいて注目意識を直接反映できる学習空間であることが望ましい.本研究では,学習者の活動を注目変化のトリガと捉えて学習者の注目対象を推定する機構を考案し,注目の度合いに応じた学習空間への視線・視野を実現するインタフェースを提案する.また,構築したプロトタイプ・システムを用いて,注目対象推定機構と被験者の活動対象とを比べた評価実験を実施し,注目対象推定機構が学習者の注目対象の7割を正しく特定できたことを確認した.
著者
牛尼 剛聡 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.172, pp.157-162, 2005-07-07
被引用文献数
1

本論文では, ライフログ検索に利用することを目的として, 個人時間空間の要素に対してキーワードで索引付けを行う手法を提案する.デジタルカメラで撮影された画像をはじめとして, 多くの種類のライフログは時間軸上に対応付け可能である.本手法で生成される索引を利用すれば, 時間軸に対応付け可能なライフログを, 人手によるアノテーション無しでキーワード検索可能となる.本手法では, 索引の自動生成のために, 個人が送受信した電子メールメッセージを利用する.本研究で対象とするのは, 索引語と個人時間空間の要素間の関係である.本手法ではその関係を, (1)索引語とメッセージの関係, (2)メッセージとメッセージ中に現れる時間表現の関係, (3)時間表現と個人時間空間の要素間の関係, という3種類の構成要素に分解する.そして, それぞれの構成要素に関して, 局所的重み, 大局的重み, 正規化係数という3種類の基準に基づいて重み付けを行う.