著者
玉川 裕夫 齊藤 孝親 江島 堅一郎 佐々木 好幸 鈴木 一郎 多貝 浩行 冨山 雅史 日高 理智 森本 徳明 紀 山枚 岡峯 栄子 遠藤 明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.183-195, 2014 (Released:2016-04-20)
参考文献数
74

本論文は,歯科・口腔外科領域の標準化に関する経緯と現状を,具体的な例とともに整理した総論である.歯科医療情報の電子的交換が広がりつつあるなか,国際的な状況も含めて読者の理解を得ることを目的とした. 歯科の標準病名マスターは,齊藤らによってとりまとめられ,医科の標準病名集とともに一般財団法人医療情報システム開発センターでメンテナンスされて,保健医療情報分野の厚生労働省標準規格の一つとなっている.歯式は,標準病名とあわせて歯科・口腔外科領域の病院情報システムに欠かせないことから,日本の歯式表記の特徴を述べ,国際的な表記の具体例を挙げて比較した.また,SNOMEDとISO/TR 13668(矯正歯科領域の規約)を例に,診療情報交換の場で歯式がどのように扱われているかを解説した.そして,現在使われているその他の指標について紹介し,最後に,歯科領域の標準化に関する今後の課題を考察した.
著者
川上 洋一 松村 泰志 笹井 浩介 安永 晋 稲田 紘 木内 貴弘 黒田 知宏 坂本 憲広 竹村 匡正 田中 博 玉川 裕夫 仲野 俊成 朴 勤植 平松 治彦 宮本 正喜
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.421-429, 2006-06-20
参考文献数
8
被引用文献数
3

近年,セマンティックウェブ技術を医療支援に応用するための技術が注目されている.本研究では,過去の画像診断レポートから抽出された症例データをエレメント化し,RDF(Resource Description Framework)で関連づけた症例データベースから支援情報を提供することができるシステムの実現可能性を見極めることを目的とした.<br/> 兵庫医科大学病院のMRIにおける脳血管障害のレポートを利用し,部位や基本所見,診断といったデータエレメントを抽出し,それぞれのデータエレメントを関連付けて症例データベースを構築した.その症例データベースから読影するレポートに応じた支援情報を適切に提供できるかについて過去のレポートから推定した結果,作成できるレポートの範囲およびレスポンスについて概ね満足できる見込みを得た.また構造化したデータモデルが胸部CRにも応用できることを大阪大学医学部附属病院のレポートから推定した.
著者
竹下 哲生 岩倉 功子 高垣 勝 埴岡 隆 玉川 裕夫 雫石 聰
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.617-623, 1991-10-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
22

Porphyromonas gingivalisの赤血球凝集機構に関与するシアル酸の役割について追究するため, Prevotella loesheiiより精製したノイラミニダーゼを用いて, P. gingivalisの赤血球凝集反応に及ぼす精製ノイラミニダーゼの影響について検討した。ヒトO型赤血球を精製酵素で処理して, マイクロタイタープレートを用いた連続2倍希釈法でP. gingivalisの赤血球凝集活性を測定したところ, アシアロ赤血球 (血球表面の糖タンパク質よりシアル酸を取り除いた赤血球) にするとP. gingivalisの赤血球凝集能が増大した。次いで, 分光光度計による赤血球凝集活性測定法により, P. gingivalis 381株の赤血球凝集能に及ぼす種々の因子について追究した。P. gingivalis 381株菌体の赤血球凝集活性は, 正常赤血球, アシアロ赤血球いずれも, 供試した糖やアミノ酸では阻害を受けなかった。また, サルミン, cGMP依存性キナーゼ阻害因子, アンジオテンシンI, IIおよびIIIのようなアルギニンを含むペプチドでは正常赤血球ならびにアシアロ赤血球に対して, 程度に差はあるが, 凝集の阻害がみられたが, サルミンは双方の赤血球に対し低濃度で凝集を特異的に阻害した。次いで, 正常赤血球表面よりシアル酸を精製酵素で除去した際, 赤血球表面の荷電状態の変化を調べるために, 正常赤血球およびアシアロ赤血球表面のゼータ電位を測定した。その結果, 正常赤血球のゼーダ電位は-18.3±3.10mVであったが, アシアロ赤血球のゼータ電位は-4.4±1.16mVと著明に変動した。さらに, 酵素量を変化させて, 赤血球表面より段階的にシアル酸を除去したところ, 赤血球からの遊離シアル酸量が増大するにつれて, 赤血球表面のゼータ電位は0値に近づき, かつ, P. gingivalis 381株菌体の赤血球凝集活性は増大する傾向を示した。以上の結果より, 本菌とアシアロ赤血球との凝集能が, 正常赤血球と比べて増大する現象には, 赤血球表面のゼータ電位の低下が密接に関与していることが明らかになった。
著者
堅田 千種 今井 みはる 野崎 一徳 川本 昌幸 前田 芳信 島 優子 大星 直樹 玉川 裕夫
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.231-238, 2006-03-03

管楽器奏者に口唇外傷予防を目的としたミュージックスプリントを装着すると,音色も変化することが知られており,我々の臨床でもしばしば経験しているが,音色変化を定量的に解析,評価した研究は少ない.そこで,プロのトランペット奏者の協力を得て,スプリント装着時と非装着時の音色を,音響解析による物理的比較,自然音の一対比較法による聴覚比較,そしてデジタルフィルタリング法を用いた合成音比較の3方法で比較した.<br/> 物理的比較では,long-tone録音後に高速フーリエ変換を行い,スプリント装着時に高周波倍音成分の音圧が高くなっていることが示せた.聴覚比較では,音楽経験にかかわらずスプリント装着時の音をより好む被検者が多いことを明らかにできた.そして,低周波数部分を共通にし倍音成分のみを入れ替えた合成波形比較では,基音に対して13次から20次の倍音が,音色の好みに影響を与えていることを示せた.
著者
埴岡 隆 田中 宗雄 玉川 裕夫 雫石 聰
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.347-352, 1993-06-28
被引用文献数
17 3

喫煙習慣と歯周組織の健康状態との関連性について,大阪府にある事業所男子従業員167名(20〜58歳,平均年齢39.1歳)を対象として調査研究を行った。喫煙者97名と非喫煙者55名について,地域歯周治療必要度指数(CPITN)を指標とした歯周組織の健康状態の診査を行ったところ,喫煙習慣とCPITNによる有病者率との間に有意の関連性(P<0.05)が認められた。喫煙者ではコード0の部位数が少なく(P<0.001),コード3の有病部位数が増加していた(P<0.01)。また,コード3以上の有病部位数の増加が喫煙者では非喫煙者より若い年齢層に認められた。喫煙者と非喫煙者,両群の歯磨き回数と一人平均DMF歯数はほぼ同じであった。以上のことから,喫煙は歯周組織の健康状態に悪影響を及ぼす危険因子のひとつであることが示唆された。