著者
玉木 裕
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.69-81, 2009

過去3度のOECD による「生徒の学習到達度調査」(PISA)で,日本の順位は低下し続けている。このため,従来から論じられてきた学力低下問題はもとより,「学力」そのものを問いなおす気運が生まれている。もっとも,「学力」ということばは漠然としたもので,人によりその解釈がさまざまである。果たして,PISA で問われている「学力」とは,どのようなものだろうか。本小論は,これからの社会で求められる「学力」について,特にPISA の結果をふまえ,国際比較で上位国であるフィンランドの教育思想に関連させながら考察する。そして,そこから導き出された理念を音楽科教育において適用するとともに,その姿を生涯学習の視点からとらえ直し,望ましい音楽科教育のあり方を考えようとするものである。Japan has moved down the ranking list of the Programme for International Student Assessment (PISA)conducted by OECD the last three times the assessment has been administered. For that reason, a tendencyto question "academic ability" itself has arisen, as well as problems of declining academic ability, which hasbeen argued. However, because the term "academic ability" itself is ambiguous, its interpretation differsamong observers. What is "academic ability" has become an issue for the PISA.This paper presents examination of "academic ability" required for applicability to future society, based onPISA results in particular, relating to educational thought in Finland, which has attained a high ranking incrossnational comparisons. Subsequently, we intend to apply the ideas derived from that investigation.Additionally, we examine ideal music education through reconsideration of it from the perspective of lifelonglearning.
著者
玉木 裕二 森田 雅夫 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.672-673, 1990-03-14

当研究室では,システムやアプリケーションの開発に,主に言語Cを使っている.また,OS/omicron上で,当研究室で設計・開発した言語CコンパイラCATが存在する.一方,プログラムの入力手段として,プログラムの編集だけでなく,論文や仕様書などの文書やデータの作成などを行う汎用のテキストエディタのALTHEAを開発し,使用している.しかし,汎用であるがゆえ,括弧の対応付けもプログラマが自分で確認しなくてはならない.編集の対象を特定のプログラミング言語に限定すれば,専用のエディタ(構造化エディタ)を開発するアプローチがある.すなわち,プログラムを構文規則に対応した構造を持つものとして扱う.本研究の目標は,言語Cを対象とした構文要素を意識したエディタを開発し,プログラミング支援環境を実現することである.本稿では,そのための手段としての言語Cインクリメンタルパーザと,それによって実現されるプログラミング支援環境について述べる.
著者
若松 直樹 清水 洋子 玉木 裕二 小尾 俊之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.223-224, 1996-09-04

形式的仕様記述を用いて動作仕様を定義することにより、ソースコードの自動生成や仕様検証等の支援を可能にする研究が盛んに行われている。しかし、それら高度な支援を実現するために人間にとっての理解性を犠牲にして計算機にとって解釈が容易なものにする場合が多い。一つのシステムを複数に分割して記述した時、各仕様からソースコートを生成する際に、仕様上で同じ名前のものをソースコート上でも同じ名前にしなければならない。そのためにはネーミングに規則を設ける必要がある。また、検証を行うために、名前の意味を解析できることは重要である。ソースコードへの変換を考慮したり、記号に意味を持たせて、仕様上の名前に付加し、それにより解析を可能にするという規則は、人間にとっての理解性を低下させる。これを改善するために、我々日本人にとって最も理解しやすい日本語の文章で仕様を記述するネーミング手法を提案する。本報告では仕様上に記述された日本語の名前をソースコート上の名前に変換するためのネーミング規則、およびその解析アルゴリズム、また本提案による効果について、ATM (現金自動取引装置)向けCASEツールへの適用における、特にメッセージ名を例にとって述べる。
著者
山下 久実 細井 匠 武田 秀和 牧野 英一郎 玉木 裕子 石山 大介
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.B0904-B0904, 2005

【目的】 わが国の精神科医療機関では,数ヵ月の入院を繰り返す短期入院者と,10年を超える長期入院者との二極化が進んでおり,高齢化に伴う様々な問題が指摘されている.現在,精神病院に勤める理学療法士(以下,PT)は,PT総数の0.5%以下と非常に少ない.そこで,わが国の精神科医療機関における運動プログラム(以下,運動)の実態把握を目的にアンケートを行った.この結果,他施設の詳細な内容を教えてほしいとの要望が多く寄せられ,再調査を行った.今回,再調査の結果と精神科における理学療法士介入について報告する.<BR>【方法】先行調査で回答のあった228施設の中から,30施設に再度依頼し,運動の詳細な実施状況(対象,プログラム内容,工夫点,問題点他)を回答していただいた.対象者は,A:高齢者グループ,B:活動レベルの異なるグループ,C:積極的に実施できるグループ,D:活動性や意欲の低下しているグループの4つに分けた. <BR>【結果及び考察】今回のアンケート回収率は56%であった.<BR>回答者はほぼ作業療法士(以下,OT)で,PT1施設,レク指導員1施設であった.運動の対象は,B:活動レベルの異なるグループが31%と最も多く,次いでC27%,A18%,D9%となっており時間や曜日を決めて実施している.運動頻度は週に1回が57%と最も多く,週3~5日の実施は18%と少ない.1グループの参加数は10~40名と多い.内容をグループ別に見ると,Aはレクリエーションや散歩,Bは勝負性と活動性兼ねた球技,Cはソフトボールやテニス等のより活動性の高い球技と,自転車エルゴメ-タやトレッドミル等を使用,Dは風船バレー,ストレッチ,リズム体操,自転車エルゴメータ等その場から動かずに出来る活動を中心に実施している.<BR>運動を実施するうえで,対象者の活動度や症状,年齢,性別を考慮してルールを変更するなど,個別性が重要視されてきている.半面,個別対応の難しさに対する回答も多く,高齢化に伴う安全性や内容(運動種目)の問題が指摘された.<BR>【PTの介入について】精神科OTの基準では,2時間25人以内をOTRと助手の2名で算定可能であることから,集団活動が中心に行われる.例えば,対人関係や社会性へのアプローチを考えると,個別対応し難いことが分かる.この点,理学療法は個別,集団とも短時間で算定できること,運動はPTの主たる療法でありプログラムや目標設定の選択に幅がある等の介入のし易さが挙げられる.また,精神面に触れずに身体面へのアプローチが可能であることや,閉鎖的な入院生活による廃用性症候群の予防にも効果があることが分かっている. PTが精神科に介入することは,精神症状や抗精神薬の作用副作用等について理解を深め,精神疾患患者の身体特性を明らかにし,精神科の運動プログラムを治療活動として,方法論や評価法を確立することにつながると考える.
著者
玉木 裕
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-81, 2009

1994年に制定された音楽振興法注1)は,生涯学習社会への移行を意識して,学校教育や社会教育などでの音楽学習について環境を整備し,我が国の音楽文化の振興を図ることを目的としている。このために,音楽文化創造が設立されたが,その活動は主に社会教育の範囲内にあり,学校教育以外の場が中心である。一方,学校教育には,教育内容や学習事項の編成基準を示す法令として,学習指導要領が存在する。音楽振興法は,その学習指導要領にどのような変化をもたらしたのであろうか。本研究は,音楽振興法の理念が学校教育に対して与えた影響を,学習指導要領の教科・科目の目標の変遷をとおして考えようとするものである。そして,生涯学習からの視点で学習指導要領を考察することにより,学校教育でのこれからの音楽学習のあり方を見つめる。With consciousness of the transition to a lifelong learning society, the Law for the Promotion of MusicCulture1(1994) is intended to improve music education environments through school and social educationand to promote music culture in Japan. For that reason, the Ongaku Bunka Souzou (Music Culture Creation)Foundation was established. Their activities, however, remain primarily limited to social education, centeringon fields outside school education.Meanwhile, for school education, curriculum guidelines regulate and indicate the formulation standards ofeducational content and learning items. What changes has the Law for the Promotion of Music Culturebrought about to curriculum guidelines?This study undertakes consideration of the effects of the idea of the Law for the Promotion of MusicCulture on school education through examination of changes in goals of subjects and courses in thecurriculum guidelines. Future music education in school education is closely examined by scrutinizing thecurriculum guidelines from the perspective of lifelong learning.