著者
田中 絵里 綿引 大祐 吉松 慎一 渡久地 彩子
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.27-36, 2020-02-25 (Released:2020-03-01)
参考文献数
45
被引用文献数
1

The masson pine moth, Dendrolimus punctatus(Walker)(Lepidoptera: Lasiocampidae), is a notorious pest of pine trees in Asian countries and was recorded in Japan for the first time from Ishigakijima Island and Iriomotejima Island. We performed taxonomic studies involving the male and female genitalia and clarified the distinguishable features among the following four Japanese species of the genus Dendrolimus: D. superans(Butler), D. spectabilis(Butler), D. okinawanus Sonan, and D. punctatus based on many specimens including the lectotype of D. punctatus. As for DNA barcoding, five of the analyzed Japanese haplotypes from Ishigakijima Island and Iriomotejima Island and three of the Chinese haplotypes registered in GenBank as D. punctatus belonged to the same clade in the NJ tree. The intraspecific divergence value within D. punctatus was higher than the interspecific divergence value between D. okinawanus and D. spectabilis. In addition, we revealed that D. punctatus induced severe damage in Pinus luchuensis Mayr on Ishigakijima Island in 2016.
著者
伊藤 千夏 小泉 暁子 田中 絵里香 金子 佳代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.221-227, 2006-08-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
26
被引用文献数
9 3

9歳から22歳までの男女3468名の骨量を超音波法により測定し, 骨量の年齢別推移および骨量と身長, 体重, BMI, 除脂肪量, 体脂肪率との関連を検討した。骨量は乾式踵骨超音波骨評価装置 (ALOKA 社AOS-100) を用い, 超音波伝播速度 (SOS) と透過指標 (TI) を測定して音響的骨評価値 (osteo sono-assessment index 以下OSIとする) を算出し骨量に相当する指標とした。OSIは9歳から14歳までは男女間に差はなく年齢とともに増加し, 15歳以降は男子の方が女子よりも有意に高値を示した。女子では初経発来者は未発来者に比べてOSIが有意に高値を示していた。年齢を4区分 (9-12歳, 13-15歳, 16-18歳, 19-22歳) にわけ, OSIと身長, 体重, BMI, LBM, 体脂肪率との相関を検討したところ, 女子ではすべての年齢区分で, OSIと体重, BMI, LBM, 体脂肪率との間に, 有意な正の相関関係が認められたが, 男子の19-22歳では, OSIと身長, 体重などの身体組成とは相関が認められなかった。
著者
田中 絵里子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.171, 2004

<b>1.研究の背景と目的</b> 昭和50年の文化財保護法の改正に伴って伝統的建造物群保存地区制度が発足して以降、歴史的町並み保全を契機とした地域づくりは全国に広まった。それらの地域では、歴史的建造物の修理、調和した街路景観の整備など、多くの事業が実施されている。なかでも街路景観の整備は、地域の歴史や文化を顕在化させる最も有効的な手段として扱われている。しかし、具体的にどのような街路整備が人々に評価され、その後の地域づくりへ影響を与えるかについては、街路整備事業がいずれの都市でも実施段階であるため、未だ明確にされていない。 そこで本研究では、既に街路整備事業が実施された埼玉県川越市を事例に、町並み保全としての街路整備事業による街路景観の変容およびそれに伴い観光地化した商店街の実態について報告する。なお、街路景観の評価に関しては、観光客、経営者、居住者の3視点から行うものであり、研究対象地域は、一番街、大正浪漫夢通り、菓子屋横丁の3街路とする。<br><b>2.街路整備事業による街路景観の変化と観光客・経営者・居住者による街路景観評価</b> 一番街は、蔵造り町屋や洋風近代建築などの歴史的建造物を多く残しており、川越の町並み保全の中心となってきた。そのため一番街においては、小江戸のコンセプトの基に、歴史的建造物の保全、舗装の整備、電柱の地中化、周辺建物の修景など多くの事業が実施されてきた。個人や企業で建物を修景する店舗も増え、その結果、一番街は日本瓦のスカイラインが美しい、統一性、連続性のある街路景観が形成され、観光客、経営者、居住者に高く評価されている。 一番街と同じような歴史的建造物を有する大正浪漫夢通りでは、一番街の後続的なまちづくりとしてアーケードの撤去、歴史的建造物の保全、舗装の整備、電柱の地中化などが実施されてきた。しかし、道路幅員が広く開放的な割にスカイラインに統一性がみられないことや、コンセプトが大正という掴みどころがないことなどから観光客の評価はあまり高くなかった。 菓子屋横丁には、蔵造りのようなシンボリックな建造物はないが、石畳舗装が実施されただけでも十分に雰囲気の感じられる通りになっている。原色の派手な建築物もあるが、道路幅員が狭いことと主な通行人である観光客の視線は店先の商品に注がれることが影響して、それほど大きな問題にはなっていない。<br><b>3.観光振興がもたらした商店街の変容</b> 一番街は、従来、地元客を対象とした店舗で構成されていたが、近年、観光地化が進行するに従って、観光客を対象とした店舗が多数進出してきた。特に重要伝統的建造物群保存地区選定以降の変化は著しく、なかには地域に関係のない土産物店もあり、地元商店主たちの間では戸惑いの声も出始めている。顧客数および売上は、一部の観光客を対象とした店舗では「増えた」ものの、従来からあった地元客対象の店舗では「変わらない」という回答が多かった。大正浪漫夢通りでは、9割近くが地元客を対象とした店舗である(図)ことから、川越の観光客が増えても、顧客数、売上に変化はないという回答が多かった。一方、菓子屋横丁においては、店舗の100%が観光客を対象に菓子の製造・販売を行っている。そのため近年の観光客の増加は、そのままダイレクトに顧客数、売上の増加につながり、いずれも「増えた」との回答が多かった。<br><b>4.まとめ</b> 川越は街路整備事業を実施したことによって、各通りで時代的コンセプトに合わせた統一性のある街路景観を形成してきた。観光振興をしたことにより、一番街や菓子屋横丁は、商店街の活性化に成功したと観光客・経営者・居住者全てに評価されている。しかし、一番街では観光客を対象とした店舗が急増し、従来の商店街としての性格が変化するという事態が生じている。大正浪漫夢通りは、観光客が集まらず観光地化しなかった結果、商店街への影響も見られず活性化しているとはいえない。すなわち、町並み保全に伴う観光振興は、街路景観の統一を促進し、商店街活性化にも貢献したが、商店街の性格を変える原因ともなり得ることが明らかになった。
著者
田中 絵里子 畠山 輝雄
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.953-963, 2015-12-25 (Released:2016-01-27)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

This study clarifies contemporary perceptions of Mount Fuji on the basis of the sensibilities of the Japanese people, who are influenced greatly by subjective and sentimental ways of viewing landscapes. Over the course of history, the way in which the Japanese have perceived Mount Fuji has changed due to experiences in each successive era, whether these have been natural disasters that accompanied eruptions, the shifting vista of Mount Fuji as seen from moving political capitals, or the development of mountain-climbing routes; in other words, reflecting of subjective factors such as individuals' perceptions of nature and culture within the context of such experiences. This study is a quantitative analysis based on a questionnaire survey of contemporary Japanese perceptions of Mount Fuji following its registration on the UNESCO World Heritage List. From the results of the analysis, when considering the way Mount Fuji is perceived from the Japanese sense of landscape, a comparison with ways Mount Fuji was perceived in the past indicates the following: while some aspects of contemporary perception of Mount Fuji have been inherited from a past that reflects underlying Japanese views of nature and culture, there are also newer aspects that have originated from a more recent overall national experience of the movement for World Heritage registration and the social background revealed in media coverage following registration. However, no significant differences are found as to whether individual respondents' had ever climbed to the summit or lived in a region where Mount Fuji is visible. This appears to be a result of increased exposure to various of information on Mount Fuji in the mass media, which have provided supplementary information to citizens living far away or who have no personal experience of Mount Fuji. This can be said to have formed a unified national view of Mount Fuji.