著者
曽根 洋明 フェラン ティモシー・ジョン
出版者
宮城大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

日本人は英語の「冠詞」に関して,世界でも類を見ないくらい低い運用能力をもつ。「冠詞」(特に定冠詞)の誤用によって精緻な情報発信ができない日本人研究者も目立つ。言葉は使いやすい方向に進化する。冠詞のなかったフィンランド語では「定冠詞」が生まれつつある。本研究では,「定冠詞」が生まれつつあるフィンランドで人々がなぜそれを使うようになってきたか,どうやって定冠詞の感覚を習得したか等を定性調査する。定冠詞感覚は言語により多少のズレがあるかもしれない。しかし,定冠詞感覚を得た先人として彼らの例を大いに参考にし,これらの知見から英語の「定冠詞」を直感的に使えるようになるトレーニング法を開発していく。
著者
山本 まゆみ Horton William.B
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

過去30年の間行われてきた慰安婦研究は、新たな進展がないまま、政治言説をも根拠資料のように扱っている研究も多く、現在の価値観で77年前の社会を理解する状況に陥っている。本研究は、当時の社会の文脈で史料を分析し、慰安婦を総合的に理解することを目指す。研究対象地域のインドネシアは、日本軍政の史料が国内外で保存され、慰安婦研究史料も数多く保管されている。特に、オランダBC級戦犯臨時法廷の尋問調書等には当事者の「生の声」も散見できる。文化人類学の方法論に用い、時間軸に「声」を描き入れ、当時の医療体制と性病予防史料も分析し、日本占領期の法律も検証し、日本占領期インドネシアの慰安婦を理解する研究である。
著者
渡邊 基成 岡村 勝司
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学事業構想学部紀要 (ISSN:1344607X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.27-36, 2006-03-20

This thesis aims at proposing a new system of bus service on a regular route, clarifying several factors making for this proposal. It is noted that there has been a significant change in the transportation systems from public to private. This change has brought about inconvenience to the disadvantaged such as the senior citizens or the disabled persons. In this view efficient use of the bus service is regarded as one of the positive means to solve the problem.
著者
田村 正
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学事業構想学部紀要 (ISSN:1344607X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.95-116, 2003-03-28

Whereas the Ou region had a reputation for a large and fertile land in the 8^<th> century, it was said in the 19^<th> century that the whole region was worth the value of just one mountain. Giving a geopolitical overview of the Ou region from the Jomon period to the Edo period, this paper considers the reasons for the extremely different assessments of the region between the 8^<th> century and the 19^<th> century. Since the Tushima Current flew into the Sea of Japan 8,000 years ago, the region periodically went through four cold climate. While during these Neoglaciation the cold weather often damaged crops, the locals of the Ou region enjoyed the blessings of nature during the warm periods. This climate cycle, together with a political factor of whether the region was independent of the central authority, resulted in the different assessments of the region. The good reputation of the 8^<th> century was made in the region's politically autonomous and climatically warm period ; and the bad reputation of the 19^<th> century was corresponded with the period of subordination and cold climate. The prosperity of the Fujiwara clan at Hiraizumi in the 12^<th> century was the peak of the region's thriving period that began in the 8^<th> century. The I9^<th> century reputation stemmed from the 600-year cold climate period between the late 13^<th> century and the 19^<th> century as well as the consequence of the Tokugawa shogunate and domain system. The Ou region was severely damaged during the last 150 years of that cold period in particular. Even in this period, however, the population of the West side of the region slightly increased. This was partly because the damages caused by the cold weather were less severe than the East side of the region, and partly because that district yielded lots of commercial commodities. Thus, there was a differential between the East and the West parts of the Ou region at the time. This implies that Masamune Date, who understood the East-West differential, failed to take an opportunity for moving to the West part of the Ou region when the Mogami fief was deprived in 1622.
著者
日野 克美 陸 君 田浦 秀幸 日野 克美
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

研究課題「日本と中国における大学教養英語の教育比較研究:問題の特質を探る、展望と対策を提出」に平成17年度から平成19年度かけての3ヵ年取り組んだ。当初2懸念は今日と文教大学の陸君が研究代表者を務め、8年目は陸の在外【米国】研究のため宮城大学の日野克美が研究代表を務めた。3研究者は、平成17年9月に上海を訪問し、現地の主だった大学の教養英語の授業を見学・教員及び学生との面接調査を通して、現地学生・カリキュラム・教員の質を精査した。その結果、社会的要因に起因する学生の英語教育への強い動機付けと教員の質の高さ、特に教養英語の授業を全て英語で行える高い英語力が日本における英語教育との比較において秀でていることが判明した。そこで平成18年9月に再度上海地区の大学数校を訪問し、教養英語に加えて将来英語教員を目指す学生の受講する英語専門講義の観察も行い、更に学生・教員から聞き取り調査も行った。この2年間の現地調査と平行して、日本の大学3校と上海地区の大学数校の1回生対象に、入学時及び1回生終了時の2回TOEFL模擬テストをPrs/post-testsとして実施し、各大学・国における教義英語の効果の比較も行った。研究結果をまとめると、「なぜ中国の学生のTOEFLスコアーが高いのか」という端的な間に対して以下の3点に集約される。1)大学教養英語として統一したカリキュラムの基で体系だった教育がなされている2)教員が授業を全て英語で行うほど質が高い3)学生の学習動機が格段に高い(激しい選抜を勝ち抜いてきていることも大きな要因)教員の質が高いことは確かであるが、会議が少ないこと、授業以外に係わる雑務が日本と比べて非常に少ないことで授業に専念できる環境がある事も特笨すべきである事が浮かび上がってきた。3年間の調査研究は一応の一段落を迎えたが、さらに踏み込んだ研究はこれからであると考える。
著者
小嶋 秀樹 仲川 こころ
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

自閉症児は人との関わりに問題を抱える一方で, モノ(玩具や機器)の理解や操作を比較的に得意とする. 本研究では, 注意と情動を表出するだけのシンプルなロボットを自閉症児(就学前) の療育教室にロボットを導入し, 計800 人回にわたる長期縦断的インタラクションを観察・分析した.その結果, モノ的なわかりやすさと人らしい応答性を兼ね備えたロボットであれば, 安心したモノ的なやりとりから社会的なやりとりを引き出せることが明らかになった.
著者
宮林 幸江
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学看護学部紀要 (ISSN:13440233)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-42, 2008-03

人間は多分に科学者のような論理〜実証モードではなく、物語モードで生きているとするナラティブセラピーに注目し、言語化も文章化にもなかなか馴じまない死別経験者の人生観を木の葉、幹として、擬人化して語らせる形で生死観の確認を促し、その結果を確認することを本研究の目標とした。方法では、まず導入ストーリーを読み上げ、寓話allegoryの作成を依頼した。次いで書かれた記述の内容分析を行った。喪失の対象者は配偶者、子供、親の15人。死後経過平均1.6年(SD1.4)。死因は自殺3人。事故死1人、病死10人、不明(死産)1人であった。回答者の平均年齢は48.5歳(SD13.0)その結果、まず1。葉の思い(推測による故人の思い)として最多のコアカテゴリーは"残される者へ"と"絶望"で7割、幹の思い(遺族自身の思い)として最も多いのは、"悲しみ・孤独"と"思慕"でそれぞれが8割を越え、3.物語の展開(今後)は"再会"が6割強近く、記述では「また一つの木になろう」、「人は生まれ死んで行く」、「土に返る」、「ずっと一緒」など輪廻転生の考えを据え心の安定を図っていた。全体に逝った人々への心情を思いやり、自らの人生観をためらいなしに綴り、9割以上の参加者が、死生観をまとめあげることに成功していた。
著者
山本 まゆみ 倉沢 愛子 Horton William.B 高地 薫 山崎 功 後藤 乾一 スリョメンゴロ ジャファール
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

歴史研究では、政治体制の変化で時間軸を「分断」する傾向があり、インドネシア近現代史では、第2次世界大戦で歴史の流れを「分断」する研究が通例となっている。だが、人脈や教育、社会活動という点から通観すると、スカルノと日本軍政監部の関係、インドネシア国軍やPETAの軍事教練、そして現在も存続する「隣組」のように、「分断」ではなく「連続性」や「継続性」を見出せる。本研究は、日本占領期を、独立後のインドネシアの播種期と捉え、占領期の軍の人脈、教育、文化・社会活動が、戦後社会に与えた影響を検証することを目的とする。本研究は、研究の国際貢献を念頭に、占領期研究の多言語史料や研究成果を英語で発表する。
著者
三石 誠司 吉田 俊幸 佐藤 奨平 鷹取 泰子 市村 雅俊
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、大災害に耐えうるローカル・フードシステムの成立条件を明らかにすることである。そのため、1)米を中心とする基礎的な食料の流通・供給システムの解明、2)東日本大震災の被災地である福島県・宮城県を中心とした被災地における関係者の連携の在り方、さらに、3)諸外国におけるローカル・フードシステムの特徴などを個別事例をもとに調査した。その上で、最終的には、米国農務省が公表したローカル・フードシステムの理論的背景・実践事例の報告書を翻訳し、国際的な視点で知見を共有可能としたものである。
著者
遠藤 芳子 武田 淳子 大池 真樹 三上 千佳子 塩飽 仁
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、東日本大震災後の幼稚園、保育園に通園する子どもとその保護者・保育者の心身の健康の実態から支援ニーズを明らかにし、総合的支援をすることを目的として実施した。保護者・保育者において津波と地震の被害のあった沿岸部にPTSDハイリスク者が多かった。沿岸部の園児や施設職員に気になる症状がみられたが、施設長から支援希望は出されなかった。また、保護者の健康状態が幼児の心身症状の出現に関連があった。保護者は幼児の心身の変化への対応について悩みを抱いていた。研究結果から、対象者に対して総合的支援の必要性があっても相手の気持ちや状況などの個々のニーズに応じて実施しなければならないことが示唆された。
著者
茅原 拓朗
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

特にインタラクティブな映像作品制作を想定した効果的な音響デザインの指針を得るために、物理的な「正しさ」よりも聴感上の効果の面から、要素となる音を組み合わせることで狙い通りの効果をもつ雰囲気音(後景となる音)が合成できるか、また、後景となる音や前景となる音がそれぞれその時々の情動状態や他の前景情報の理解にどのような影響を与えるかを検討した。その結果、前者については要素の単なる加算を超えた何らかの直接的な音響的特徴による表現が必要なこと、後者については音がその時々の情動状態や前景となる情報に確かに影響を与え、またその与え方には一定の傾向があることが見いだされた。
著者
樋口 貞三 森田 明 川島 滋和
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

15名の異なるハーバードMBA取得者のほぼ全員がMBA教育を自らのキャリア開発において一定の有効性を認めているが、その内容・程度は、個々人の生い立ち、経歴、そして人生観によりかなり異なっている。インタビューを通じ、「最も競争の激しい環境に自分を置き、そこで生き抜いてこと意味がある」という視点から、「ハーバードの卒業生だから、こうならなければならないというプライドで、自分自身を縛ってしまうことの方が人生にはネガティブに作用する」といった、今後MBAを目指す若手に対しても極めて有益と思われる多くの示唆を得ることができた。
著者
田代 久美
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

都市戦略として「子ども・青少年にやさしいまちづくり(CFC)」を成功させている海外の都市を調査したところ、ユニセフが掲げる9つのCFC基本条件を元に行政内の横断的連携体制があり、子ども・若者の参画を地域の大人も支えていた。CFCの導入により地域全体が活性化している。日本で実施するためには、国際的な基準を踏まえつつも、日本の社会システムにあった評価スケールの開発や国内ネットワークの整備などが必要である。
著者
柳村 俊介 紺屋 直樹 吉野 宣彦 泉谷 眞実 東山 寛 相原 晴伴 吉野 宣彦 相原 晴伴 泉谷 眞実 小山 良太
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農業経営の収益性低下と高齢化による農業投資環境の悪化、急激な経営規模拡大、一般企業の農業参入といった傾向がみられるなかで、本研究では、新たな投資主体の形成という視点から地域農業の担い手のあり方を検討した。家族経営に代わる集落営農、農業法人経営等の経営体による農業投資が期待されるとともに、現状では萌芽的な動きにとどまるものの、経営体と分離した投資主体の形成を展望すべきことを明らかにした。
著者
大竹 秀男 遠藤 征彦 井上 達志
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

有機廃棄物資材としての間伐材等のチップと家畜糞(牛糞)に土着の微生物を混入した区(M区)、土壌動物を混入した区(A区)、両者を混入した区(MA区)、チップと牛糞のみの区(C区)を作り堆肥化を試み、できた堆肥を用いコマツナと飼料作物(ソルガムとオーチャードグラス)の生育への影響について調査した。コマツナおよびソルガムの生育はM区とMA区で若干高かった。オーチャードグラスの生育は虫堆肥区より化学肥料区の方が良く、虫堆肥間ではM区の生育が良かった。4種の糞(牛糞、鹿糞、豚糞および鶏の糞尿)を材料として切返しの間隔を3日にしたもの(短区)と1ヵ月にしたもの(長区)とで出現する土壌動物を比較した。3ヵ月後についてみると、短区ではすべての堆肥でダニ類が90%以上を占めていたのに対し、長区の牛堆肥と鹿堆肥ではトビムシ類が20〜30%を占めていた。虫堆肥の効果については、レタス圃場におけるセンチュウ密度との関係から検討した。土壌動物とセンチュウの移植前と収穫後の個体数の間には負の相関関係(r=0.695)がみられ、土壌動物個体数の増加した区ほどセンチュウ個体数は少なくなる傾向を示した。また、市販堆肥より虫堆肥や落葉堆肥を施用した区の方が、土壌動物個体数が多く、センチュウ個体数は少なくなる傾向が認められ、センチュウ密度を抑制するためには堆肥の質と量を考慮する必要がある。土壌動物のトビムシ類とダニ類(ササラダニ類とトゲダニ類)はセンチュウを抑制している可能性が示唆された。以上のことから、虫堆肥を畑地に施用することにより土壌動物の多様性が増し、センチュウの多発を抑制できるものと考える。
著者
田代 久美 恩地 宏 金子 孝一
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学事業構想学部紀要 (ISSN:1344607X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.137-150, 2005-03-20

This research aims to evaluate the present standings and propose future development of the internship program at Miyagi University (MYU). This will be presented to the management while it analyzes the circumstances and display the enforcement plan carried through since 2003. Although business internship is in practice in the metropolitan area by the major big companies, this case at MYU, we designed it as a solution type internship for sophomore students. The acceptance was higher than we expected and it can be expected further educational effect by the effort of the faculty and local companies located in the Sendai area. The MYU internship model is a program for the selected members, and they valued for its various resources and well planned program rather than expansion of enforcement for bigger scale.