著者
守殿 貞夫 松島 敏春 岡本 了一 青木 信樹 小田切 繁樹 荒川 創一 相川 直樹 岩田 敏 坂巻 弘之 石田 直文 池田 俊也 矢島 秀一 池上 直己 森 和彦 紺野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.517-553, 2002-08-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
28

過去5年間に当院で入院治療を行った市中肺炎, 院内肺炎の経験をふまえて, 呼吸器感染症 (肺炎) に対する抗菌薬治験の進め方について発表し, 以下の結論を得た。80歳以上の高齢者および重症感染症に対する抗菌薬の治験はまったく実施されていないといえるが, もっとも抗菌薬が必要とされる対象であり, 有効性安全性の検討が第III相までにある程度なされるべきであろう。市中肺炎のみの臨床治験の実施で薬剤が製造承認され, 院内肺炎に対して使用されている。院内肺炎に対する臨床治験も今後必要となろう。内服βラクタム薬の投与量は体内動態, ブレイクポイントMICなどを考慮し再考を要する。
著者
三宅 美行 西田 幸一 東谷 房広 宇治 達哉 兵頭 昭夫 石田 直文 釆見 憲男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.156-163, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vivo抗菌力を既存のβ-lactam系抗生物質と比較検討した。マウス全身感染治療実験においてTAZ/PIPCの治療効果はβ-ラクタマーゼ非産生のEnterococcus faecalisでpiperacillin (PIPC) と同等であったがβ-ラクタマーゼ産生株では優れていた。E. faecalisとEscherichia coliの混合感染およびStaphylococcus aureusとPseudomonas aeruginosaとの混合感染でTAZ/PIPCはPIPCより優れた治療効果を示した。尿路感染治療実験でTAZ/PIPCはP. aeruginosa単独, Proteus vulgarisとP. aeruginosaの混合感染共にPIPCより速やかな腎内生菌数の減少が観察され, 感染5日後ではPIPCより1/100以下に低下していた。Klebsiella pneumoniaeを用いた呼吸器感染治療実験でTAZ/PIPCはsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) とほぼ同等の効力を示しPIPCより有意に優れていた。以上によりTAZ/PIPCは全身, 局所感染治療実験において優れた治療効果が認められた。特にβ-ラタマーゼ産生菌との単独, 混合感染において優れていた。
著者
佐川 久美子 佐々木 徹 大谷 敏夫 兵頭 昭夫 石田 直文 西川 昌子 梅野 幸彦
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.263-276, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
13

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC; tazobactam: piperacillin=1: 4) の体内動態を解明するために, bioassay法およびHPLC法により, tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の分別定量法を検討した。Bioassay法において, TAZはそれ自身の抗菌力が弱いため, 培地中にcefoperazone (CPZ) を150μg/ml添加し, CPZ高度耐性でβ-lactamaseを産生するEscherichia coli 603を検定菌とする方法により, 定量が可能であった。PIPCはMicrococcus luteus ATCC 9341を検定菌とするbioassay法により, TAZの影響をほとんど受けずに測定可能であった。HPLC法においては, Inertsil ODS-2カラムを用いることによって, TAZ, PIPCおよびPIPCの活性代謝物desethyl-PIPCを同時に分別定量することが可能であった。また, TAZの非活性代謝物M-1についてはDevelosil ODS-5カラムを用いることにより定量可能であった。Bioassay法とHPLC法の相関関係について, ヒトの血漿および尿を用いた添加回収試験で検討した結果, 両者間には良好な相関関係が認められた。
著者
三宅 美行 朝長 正志 東岡 俊之 山田 雄次 石田 直文 兵頭 昭夫 井上 松久 三橋 進
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement5, pp.128-139, 1988-10-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
14

新しいセファロスポリン系抗生物質であるCefodizime (THR-221) のin vivo抗菌力を調べたところ, 正常および実験的感染防御能低下マウスでの感染に対し優れた治療効果を示した。更にTHR-221のin vivoでの優れた効果を解明するために, 生体防御因子との関連について検討を行い, 以下の知見が得られた。1. THR-221は感染防御能低下マウス (X線, Adriamycin処理) においても優れた治療効果を示し, ED50値は正常マウスに近く, Cefotaxime (CTX), Cefoperazone (CPZ) よりもはるかに優れていた。2. K. pnemoniu感染治療時におけるマウス腹腔内浸出細胞 (PEC) のacid phosphatase活性は, THR-221 500mg/kg治療群において上昇し, CTX, コントロール群のそれよりも高かった。3. THR-221 1/4MIC存在下においてPECのK. pneumoniaeに対する殺菌作用は増強した。その殺菌作用はTHR-221単独に比べ40.7倍強く, CTXの7.1倍よりも優れていた。4. THR-221前処理菌はPECのNitro Blue Tetmolium (NBT) 還元能をCTX, 無処理菌のそれよりも有意に上昇させた。5. THR-221前処理菌はマウス腹腔内において食細胞に食菌されやすくなり, 感染後, 菌の再増殖は認められなかった。CTX前処理, 無処理菌は感染後6時間で再増殖し, マウスは全数死亡した。K. pneumoniaeのマウス感染力はCTX前処理, 無処理菌に比較して, THR-221前処理において著しく低下した。PECのライソゾーム酵素の上昇, PECとの殺菌増強作用, NBT還元能の上昇等これらの結果より, THR-221の優れたin viro作用は生体防御因子との協力的な殺菌作用に優れていることが一因と考えられた。
著者
宇治 達哉 古川 哲心 清水 千絵 兵頭 昭夫 石田 直文 戸塚 恭一 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-310, 1994

<I>Klebsiella pnemonn</I>に対するgentamicin, cefodizimeおよびceftazidimeの再増殖抑制作用におよぼす白血球の影響を<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>で検討した。各薬剤の4MICで前処理した菌の増殖は白血球存在下で薬剤非処理菌に比べ抑制された。一方, マウスの敗血症モデルにおいて, 菌の増殖は各薬剤投与によりX線照射マウスに比べて正常およびG-CSF投与マウスで有意に抑制された。これらのことより, gentamicinとともにcefodizime, ceftazidimeにおいても生体防御因子との協力作用により, 再増殖抑制効果の増強が認められることが明らかとなった。