著者
淡野 将太 磯部 美良
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.39-42, 2014-12-25

This study examined the effect of a psychoeducational intervention on displaced aggression with a university student sample. We predicted that separating the activation of the aggressive network evoked by provocation from a trigger would decrease displaced aggression. We conducted diary study consisted of psychoeducation about empirical studies and the theoretical model regarding triggered displaced aggression, and the efficiency of separating the activation of the aggressive network and the trigger, and asked participants to engage in distraction when they experienced a provoking event. As expected, aggression decreased through psychoeducational intervention and this decrease was maintained at the same level one week later.
著者
磯部 美良 江村 理奈 越中 康治
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.187-204, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、仲間外れ、無視といった関係性攻撃を示す幼児を対象とした社会的スキル訓練プログラムを開発し、その有効性を検討することであった。プログラムは全10セッションであり、(1)仲間入りスキルの習得や仲間協力児とのかかわりを通して排他的な仲間関係を解消すること、(2)関係性攻撃を適切な規律性スキルに置き換えること、の2点から構成された。訓練対象者は、関係性攻撃が顕著であるとして保育者から報告のあった年中女児1名であった。プログラムの効果は、訓練後と3か月後の保育者評定と行動観察によって検討された。その結果、対象児の関係性攻撃は低減し、多様な仲間とのかかわりが増加していた。また、ターゲットスキルも増加していた。この効果は3か月後のフォローアップ査定の時点でも安定して維持されていた。最後に、関係性攻撃を頻繁に示す幼児に対する社会的スキル訓練の有効性や意義について考察した。
著者
磯部 美良 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.13-21, 2003-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

本研究の主な目的は, 関係性攻撃を顕著に示す幼児の社会的スキルの特徴を明らかにすることであった。年中児と年長児の計362名の攻撃行動と社会的スキルについて, 教師評定を用いて査定した。関係性攻撃得点と身体的攻撃得点によって, 関係性攻撃群, 身体的攻撃群, 両高群, 両低群の4つの群を選出した。社会的スキルについて群間比較を行った結果, 両低群に比べて, 関係性攻撃を高く示す子ども (関係性攻撃群と両高群) は, 規律性スキルに欠けるものの, この他の社会的スキル (友情形成スキルと主張性スキル) については比較的優れていることが明らかになった。また, 関係性攻撃群は, 教師に対して良好な社会的スキルを用いていることが示された。さらに, 関係性攻撃群の男児は友情形成スキルが全般的に優れているのに対して, 関係性攻撃群の女児は友情形成スキルが一部欠けていることが見出された。これらの結果から, 関係性攻撃の低減には, 規律性スキルの習得を目指した社会的スキル訓練が効果的であることなどが示唆された。
著者
磯部 美良 佐藤 正二
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.13-21, 2003-03-30

本研究の主な目的は,関係性攻撃を顕著に示す幼児の社会的スキルの特徴を明らかにすることであった。年中児と年長児の計362名の攻撃行動と社会的スキルについて,教師評定を用いて査定した。関係性攻撃得点と身体的攻撃得点によって,関係性攻撃群,身体的攻撃群,両高群,両低群の4つの群を選出した。社会的スキルについて群間比較を行った結果,両低群に比べて,関係性攻撃を高く示す子ども(関係性攻撃群と両高群)は,規律性スキルに欠けるものの,この他の社会的スキル(友情形成スキルと主張性スキル)については比較的優れていることが明らかになった。また,関係性攻撃群は,教師に対して良好な社会的スキルを用いていることが示された。さらに,関係性攻撃群の男児は友情形成スキルが全般的に優れているのに対して,関係性攻撃群の女児は友情形成スキルが一部欠けていることが見出された。これらの結果から,関係性攻撃の低減には,規律性スキルの習得を目指した社会的スキル訓練が効果的であることなどが示唆された。
著者
磯部 美良 佐藤 正二 佐藤 容子 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.105-115, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究の目的は、児童の社会的スキルと問題行動を測定するための教師評定尺度を作成することであった。公立小学校65学級の担任教師に対して、担任する学級の全児童(小学校1〜6年生、計1,991名)の行動評定を依頼した。その結果、社会的スキル領域では5因子25項目(働きかけ・学業・自己コントロール・仲間強化・規律性)、問題行動領域では2因子12項目(外面化行動問題・内面化行動問題)が見いだされた。また、良好な内的整合性と構成概念妥当性が確認された。最後に、社会的スキルの性差や学年差、社会的スキル訓練の効果査定の測度としての有用性が論じられた。
著者
磯部 美良 菱沼 悠紀
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.290-300, 2007 (Released:2007-07-07)
参考文献数
25
被引用文献数
7 8

本研究では,大学生を対象に,自らの攻撃性の高低によって,他者に対する印象形成に違いが見られるのかどうかを検討した。また外顕性攻撃と関係性攻撃の2種類の攻撃タイプを取り上げ,自分自身が示しやすい攻撃タイプや仮想人物の示す攻撃タイプが,その仮想人物に対する印象や評価に関係するかどうかも検討した。研究1では,大学生132名を調査対象に,外顕性攻撃と関係性攻撃の自己報告尺度を作成した。研究2では,大学生245名を調査対象に,攻撃性の質問紙調査と印象形成課題を1週間の間隔をおいて実施した。その結果,攻撃性の高い個人は,自分と類似の攻撃を示す人物をポジティブに,自分とは異なる攻撃を示す人物をネガティブに捉える傾向を示した。しかし外顕性攻撃と関係性攻撃の両高群は,関係性攻撃を示す人物の敵意性を高く評定するとともに,怒りや抑うつを強く感じており,総じて関係性攻撃を示す人物をネガティブな方向に捉える傾向を示した。