著者
福島 茂
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.105, pp.85-92, 2019 (Released:2020-07-11)
参考文献数
21

Income disparity is widening globally under neoliberalism. In most of major Asian cities, as housing and real estate prices have been rising faster than income, the housing gap between social classes and generations has been expanding. Under such circumstances, Singapore has maintained affordable public housing policy with strong government commitment, raised its quality level. This paper aims at reviewing characteristics of the public housing policy of Singapore and its evolution from viewpoints of (1) presence of public housing in Singapore, (2) affordable housing policies, (3) upgrading and renewal strategies of Housing & Development Board (HDB) towns and estates, (4) rapid ageing society and policy responses on public housing, and sustainable smart town development. Singapore's public housing policy is a device for social stability in the neoliberal economic society. The sale of subsidized public housing with a variety of housing grants based on the ability to pay also functions as a system of redistribution of wealth. Taking advantage of the quantitative base that public housing accounts for nearly 70% of the housing stock and 80% of the citizens and permanent residents live in the public housing, the government effectively makes policies on sustainable urban management and creating elderly people friendly society. All these contribute enhance the quality of life of Singapore
著者
瀬口 哲夫 福島 茂 高山 純一 宮崎 幸恵 宮崎 耕輔
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1999年以降に合併した、800km^2以上の行政面積を持つ市を研究の対象とした。これら、「合併巨大都市」は、行政規模が大きくなり、集約型の都市を志向する傾向がある。また、土地利用や都市計画、さらに、産業振興・地域活性化では、地域的差異を抱え込みながらも広域調整の点で成果が見られる。一方で、広大な過疎地や山間部を抱えていることから、「都市内分権」や住民自治の強化が求められており、地域自治に先駆的な試みが見られる。
著者
福島 茂之 廣瀬 勝一 池田 克夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.120-121, 1997-09-24

今日, 情報ネットワークの普及・拡大にともなって, 遠隔会議のような電子会議が行われるようになってきている. 遠隔会議では, 参加者が直接顔を合わせないため, 匿名で会議を行うごとが可能となる. 参加者が匿名で会議を行うことの利点は, 地位や人間関係にとらわれることなく, 自由に討論できることである. 一方, 匿名であることを悪用して, 会議の進行を妨げる発言をするなどの不正の行われる可能性があるという欠点もある. 本研究では, 暗号技術を利用して, 安全な匿名会議を可能とするシステムを提来する.
著者
福島 茂
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1980年代後半以降、クアラルンプル大都市圏とバンコク大都市圏の二つのアセアン大都市圏はグローバル経済と国内経済を結ぶ結節点となり、その産業経済構造と社会構造を大きく変容させていく。大都市圏郊外部では製造業集積、工場労働者や新中間層の拡大と核家族化、モータリーゼーション、郊外住宅開発や商業開発は一体的なダミナミズムのなかで生み出され、郊外都市社会とそのライフスタイルを形成してきた。急速な居住形態の変化は住宅需給構造の変化に起因している。就業構造のフォーマル化が居住形態のフォーマル化を促していった。就業構造のフォーマル化と教育水準の向上は若年層から起こり、しかも、都市圏人口の拡大はこうした若い世代を中核としている。これが住宅需要構造を一変させた最大の理由である。居住形態の急速な変化は量的に圧倒する若い世代の住宅需要とそれに対する住宅供給によるものである。一方、住宅需要の質的な側面に目をむけると、両都市圏とも学歴による職業・職階の階層化がなされており、これが世帯所得と住宅格差につながっている。クアラルンプル大都市圏では中学歴化が進んだ段階でグローバル経済化に接合したのに対して、バンコクでは初等教育水準の労働力が圧倒的に多かった。バンコクの低学歴層の賃金上昇は抑制され、低学歴層の住宅取得をより難しくした。所得格差を住宅格差に直裁的に結びつくことを抑制する、あるいは低所得者層の居住水準を向上させるメカニズムには、(1)公共住宅政策(補助政策)・住宅市場介入策(リンケージ政策)、(2)賃貸住宅市場、(3)住宅市場動向における購入のタイミング、(4)住宅ローンによる過去からの補助金、(5)コミュニティ改善という5つのシステムが確認される。クアラルンプルとバンコクではそれぞれメカニズム(1)(3)(4)、メカニズム(2)(4)(5)が働き、住宅水準の底上げに寄与している。