著者
福田 亮子 原田 文雄 奥村 太作
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.259-278, 2018-09-01 (Released:2019-02-28)
参考文献数
113

Frequent traffic accidents caused by older adults became a serious social problem in Japan. In order to decrease the number of traffic accidents and victims, older adults are now encouraged to give up their driver’s license, when they become anxious about their driving ability or are diagnosed as dementia. However, it poses problems for their social lives, and even takes away their fun or something to live for. In worst cases, not only quality of life (QOL), but also activities of daily living (ADL) may deteriorate. Technologies such as driver assistance systems or automated driving system compensate declined functions of human beings and secure their mobility. Especially full automation driving system is expected to secure higher safety. However, their fun and something to live for are not brought back by such a full automation system. To ensure both safety and fun, the idea of “person-centered care” would be a good reference. Within person-centered care, the care recipient is considered as an independent and capable individual with his/her own abilities to make informed decisions. Caregivers take the whole person into account including one’s abilities, or resources,wishes, health and well-being as well as social and cultural factors. Advanced driving assistance system in near future is expected to sense the “driver” continuously, to give some suggestions or to support discreetly regarding both his/her condition and moods at the right time, so that the person can drive safely with fun.
著者
梅室 博行 徃住 彰文 福田 亮子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「ユーザに感情反応を引き起こす技術製品・サービス」をアフェクティブ・テクノロジーと定義し、その概念および方法論を確立することを目的とした。まず概念を定義した後、製品・サービス側の要因(原因系)とユーザの感情反応(結果系)それぞれについて要因を分類・体系化するとともに測定方法を確立した。さらに原因系・結果系の両要因の関連を明らかにし、実際にアフェクティブ・テクノロジーを造り出すための方法論を提案した。また造り出す組織に求められる資質やその評価方法について明らかにした。
著者
福田 亮子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は人間の持つ感情、情緒を生体信号測定に基づき客観的に評価する手法の提案を目的としている。感情・情緒に関する従来の研究は情報を受容するいわば受動的な状態において行ったものがほとんどであるが、感性を考慮したインターフェイスや環境の設計を行うには、人間がこれらと受動的にも能動的にも関わることから、何らかの行動をしている際、すなわち能動的な状態でどのような感情・情緒が生起するかを把握することも重要である。前年度までのデータをさらに詳細に分析したところ、各種生体信号データのうち精神性発汗量が能動的に作業する際の感情の継時変化をよく反映していることが明らかになった。また実験課題については、比較的単純で練習効果も大きくない電卓を用いた計算作業が行動による感情の変化を観察する上で適しているとの確証が得られた。そこで本年度は、当該課題を遂行する際の行動観察と生体信号計測、ならびに作業前と作業後の主観評価を組み合わせた実験を行った。その結果、印象評価因子には作業前と作業後で共通するものとそうでないものが存在することが示された。前者は対象物の本質的な印象に関わる因子であるのに対し、後者は使用前は見た目をもとにした印象、使用後は課題遂行という行動経験をもとにした印象であり、課題遂行によりその際用いた道具の印象が変化することが明らかになった。このような変化が作業過程のどの部分で生じたかを分析したところ、押すべきボタンが見つからず探しているときなどで精神性発汗量が増加していた上、試行全体においてその変化の頻度が高く変化量も大きい場合は作業後の印象がネガティブなものとなる傾向が認められた。このような手法により感情の変化を引き起こす行動をある程度特定することが可能となったが、その結果は使いやすさを超え利用者の感情に影響を与えるようなインターフェイスや環境の設計に活かすことができるものと考えられる。