著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.178-185, 1996-08-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

昆布だしの抽出法の迅速化・合理化・実用化を目的に、食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した加熱抽出法を試み、昆布だしの溶出成分と嗜好の関係を調べ、好適な調製条件を検討した。1)超音波照射を併用した加熱法は対照の照射無しの加熱法に比べ成分溶出量がやや多く、良好なだしが得られた。2)超音波照射有りのだしは対照の照射無しのだしに比べ明度の低下が進行し、色差の値に差が見られ、照射の影響が認められた。3)だしの好適調製条件では、加熱時間は照射有りの場合8分間と対照の照射無しの場合15分間であった。これらだしは総窒素量・5'-ヌクレオチド・無機質の含量は近似値を示したが、照射8分間のだしは遊離アミノ酸が顕著に多く、嗜好的にも優れていた。その上、加熱時の消費電力量を28%低下させ有利であった。従って超音波を併用した加熱法は、従来の加熱法や浸水法よりも嗜好性に優れた昆布だしが得られ、抽出時間も短縮及び消費電力量も低減できることが示唆された。
著者
木村 友子 福谷 洋子 菅原 龍幸 佐々木 弘子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.24-31, 1995-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
11

To develop a new cooking method for rapid rehydration of dried radish (strips of dried radish), several conditions for rehydration including a step of ultrasono-irradiation were studied. The conditions for the best rehydration were determined at 5,25 and 40°C and the effects of ultrasonication on physical properties and palatability of the cooked radish were investigated. The results were as follows:(1) The amount of water absorbed into dried radish increased as the rehydration time goes up. The irradiated radish showed further improved swelling in shorter time and their tissues were softened faster than those in the control without irradiation.(2) When rehydration was conducted under the suitable conditions at the water temperature of 25°C, no difference was observed between the subjects irradiated for 15 min and those soaked for 30 min without irradiation, with regard to in the contents of moisture, total sugar, free sugar, crude protein, free amino acids and ashes, and the remaining proportions of mineral components in both subjects were 81% for Ca,70% for iron and 69% or more for Mg.(3) For texture characteristics, ultrasono-irradiated radish after cooking exhibited large rupture strain and chewiness than the control without irradiation. In addition, the permeability of seasonings was a little higher in ultrasono-irradiated radish and also the odor specific to the dried radish was somewhat decreased, resulting in superior taste evaluation.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.585-593, 1994-07-15
被引用文献数
7

Dried shiitake mushrooms were rehydrated with ultrasonic-irradiation in search for rational rehydration methods. Its effects on the texture properties and the preference test were studied. The following results were obtained ; water absorption by the shiitake mushrooms, the color of yellowing of the rehydration liquid and its browning were greater with ultrasonic-irradiation than in the control without the irradiation. The irradiated shiitake mushrooms had less hardness and gumminess and were softer. Irradiation time was 20 min and total immersion time was 2h for Jyodonko adn 1h for Jyokoshin at 5℃ and 25℃ which are within a suitable rehydration range. Under these conditions, water absorption reached 90% of the maximum and the shiitake mushrooms scored high preference points in such properties as softness and gumminess. Irradiation slightly affected on the content of RNA and the composition of 5'-GMP, 5'-AMP, 5'-UMP, 5'-CMP and free amino acids in steam-cooked shiitake mushrooms.
著者
木村 友子 福谷 洋子 菅原 龍幸 佐々木 弘子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.24-31, 1995-02-20
被引用文献数
1 1

干し大根(割り干し)の迅速な水戻し法を見出す目的で, 超音波照射を取り入れた水戻しを行い, 水温5, 25及び40℃設定での好適条件を探索し, 更に煮物にした製品の理化学的性状と食味変化に及ぼす超音波照射の影響について検討し, 次の結果を得た。1) 干し大根は水戻し時間経過と共に吸水量が増加するが, 照射した方が短時間で膨潤し組織は速く軟化した。2) 水戻し時間が長くなると, 一般成分の全糖・遊離糖, 粗蛋白質, 遊離アミノ酸, 灰分, 無機質の含量は著しく減少する傾向を示したが, 超音波照射有無の差はわずかであった。3) 干し大根の水戻しの好適条件は水温25℃設定の15分照射と対照の照射なしの30分浸漬で, 両試料の一般成分値はほぼ同等値を示し, 無機成分の残存率もCa81%, Fe70%, Mg69%以上で良好であった。4) 煮物調理では照射した製品は照射なしの製品に比しテクスチャー特性の破断歪率が有意に大きく, 歯応えがあり, 調味液の浸透割合がやや高く, 干し大根の特有の臭気も多少緩和され, 食味評価も優れていた。以上の結果から, 干し大根の水戻し法に超音波照射を行うことは水戻し時間が短縮でき, 嗜好にも関与し効果的であると考えられた。
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.585-593, 1994

干し椎茸の合理的な戻し方を見出す目的で, 超音波照射を取り入れた方法を用い, 椎茸の物性及び嗜好性などに及ぼす影響を検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 水戻しに超音波処理を用いると, 超音波処理しない椎茸に比し吸水量が増加し, 戻し汁は黄味度が増し褐変が進行した.<BR>2) 蒸し調理した椎茸のテクスチャー特性では超音波照射したものの方が硬さ・ガム性の値が小さく軟化した.<BR>3) 水温5℃と25℃の水戻しの条件では超音波照射時間は20分が望ましく, 全浸漬時間は上冬薙が2時間, 上香信が1時間で最大吸水量の90%に達し, 官能評価では椎茸は柔らかく歯ざわりが適当で, 戻し汁の色の濃度が濃く感じ, 味は旨味があり良好と評価された.<BR>4) 蒸し調理した椎茸中のRNA含量や5'-GMP, 5'-AMP, 5'-UMP, 5'-CMP, 遊離アミノ酸含量に及ぼす超音波照射の影響はわずかにすぎなかった.<BR>以上の結果から, 干し椎茸の水戻しに超音波照射を取り入れることは有効であると考えられる.
著者
木村 友子 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.151-159, 1991-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

鶏肝臓をマリネに加工して食べやすくする目的で, マリネ調味液 (食酢・サラダ油に醤油を付加し, さらに清酒を25, 50, 75%添加したもの) に5℃の冷蔵庫で168時間漬け込んだ.その間の望ましい調製条件ならびに清酒がマリネに及ぼす影響について検討した, (1) マリネ調味液の食塩水を醤油に置換したマリネは官能評価において有意に好まれる判定であった.(2) マリネの清酒の浸透は清酒添加量増加に伴いほぼ比例してアルコール量が増加することを認めた.(3) おいしいマリネの調製条件は食酢12.5%, サラダ油12。5%, 醤油25%, 清酒50%の調味液に24時間漬けたマリネで硬さ, 舌ざわりが好まれ, 肝臓特有の臭気が緩和され, かすかな酸味 (pH5.3) があり, 清酒無添加マリネよりタンパク質の含有量が多く遊離アミノ酸の増加が著しく, アンモニア量も少なく味も良好で, 色も赤味度と彩度の値が高く, Aw値0.95, 細菌数104/gで保存性も優れていた.(4) マリネの清酒添加の影響は, とくに物性の硬さの値や色相の赤味度が漸増し, 食味にも関与し無視できない要因であった.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

鶏骨スープの調製法の迅速化・合理化・実用化を目的に, 食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した熱水抽出法を試み, 鶏骨スープ (鶏骨20%濃度) の溶出成分と嗜好性の関係を調べ, 好適な調製条件を検討した.(1) 鶏骨スープの色調は経時的に明度の値が低下しこの傾向は照射ありのスープが顕著に低くなり, 色相のa値, b値では抽出温度および照射の有無で, 相違が認められた.(2) 鶏骨スープ中の抽出成分では照射ありの試料が照射なしの試料に比べ全エキス, 総窒素, ヒドロキシプロリンの含量がやや多く, また80℃・98℃設定は60℃設定に比べ溶出量が多かった.(3) 遊離アミノ酸量では照射ありの場合は30分間でグルタミン酸, アラニン, グリシン, セリンなどが大幅に増加し, 5'-IMPの溶出でも照射30分間で最大となり, 以後下降する傾向を示した.(4) 官能検査で高い評価を得た鶏骨スープは, 98℃設定の照射ありの30分間処理であり, 旨味成分などの理化学的測定値とよく対応した.(5) 超音波照射を併用した調製法は, 対照の照射なしの調製法に比し抽出時間が1/3に短縮され, しかも良質なスープが得られ有利であることが示唆された.
著者
木村 友子 加賀谷 みえ子 福谷 洋子 小杉 信之
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.887-895, 1990-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

女子大学生の昼食行動と食生活との関連を調べる目的で, 女子大学生の昼食の取り方について弁当群 (A群) 146人, 外食群 (B群) 140人の計286人に昼食行動に関する意識調査を行い, さらに岡じ対象者のA・B群より弁当群 (a群) 60人, 外食群 (b群) 60人を無作為抽出し, 生活行動調査と食物摂取量調査を実施し, 次の結果を得た.(1) 対象者は自宅生が94%と多く, 昼食のとり方は弁当群 (4日以上弁当/週) 51%, 外食群 (4日以上外食/週) 49%であり, それぞれ簡便化を志向し, 習慣化していた.(2) 月額の小遣い額は弁当群27,911±13,381円, 外食群31,589±13,027円であり, 外食群の昼食代は小遣いの22~33%に相当した.(3) 身体状況では弁当群・外食群ともに, 体型は太っていると思う傾向が強く痩身型志向が多くみられ, 生活行動調査でも消費エネルギー量は摂取エネルギー量を弁当群が 253 kcal, 外食群が292 kcal上まわり, 痩身体型の現状を裏づけた.また両群ともに疲労感のある者は91%に及んだ.食欲は, 外食群では弁当群に比し, 食欲のない者が5%高率であった.休養では, 休養不足がちと思う学生は外食群のほうが弁当群より21%多かった.(4) 生活行動調査では弁当群は学業時間が53分長く, 一方, 外食群では休養に関与する睡眠時間が17分と余暇時間が31分長く, 両群の生活時間に若干の相違を認めた.(5) 食事調査による欠食率は, 外食群のほうが弁当群に比し, 朝食10%, 昼食6%, 外食3%高かった. 1日あたりの栄養素摂取量では, 栄養的には弁当群のほうが多少良好とはいえ両群ともにエネルギー量が低く, カルシウム, 鉄の不足が顕著であった.摂取食品数も両群ともに22品目前後にとどまっていた.(6) 買取り調査での昼食内容は弁当群では食品数平均10品目をとっていたが摂取重量301gと少なく, また所要量の1/3量に対し, エネルギー量や栄養素不足の現状にあった。一方外食群は, エネルギー量は充足していたが, 食品数は弁当群に比し平均8品目と少ない.(7) 外食内容の選択は両群ともに好み・見た感じを優先していた.(8) 食生活の満足感では満足者は弁当群42%, 外食群33%にすぎず, 不満足者は外食群が3%多かった.総合的にみると, 外食群は家事的生活時間や余暇時間がやや長く, 一方, 弁当群は外食群に比し勉学時間が長く, 1日あたりの食事調査からは欠食者も少なく, 栄養素摂取量ではやや良好と判断された.しかし総体的には両群ともにやせ志向を根底に摂取食品数, 食事量, 安易な食選択等々, 昼食行動に慎重さが欠け必然的に1日のエネルギー量や栄養素不足になっていることがうかがわれた.今後いっそう自己管理能力を高めるための積極的アドバイスを加えた実践的教育の強化の必要性を痛感するとともに, 近い将来健康な母親となるべき女性としての反省と努力を望みたい.
著者
木村 友子 加賀谷 みえ子 福谷 洋子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.110-117, 1992-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10

For the purpose of improving the taste, chicken livers were preserved in raw rice miso, raw soybean miso, cooked rice miso or cooked soybean miso at 5°C for 168 hrs. During the preservation, the properties of chicken livers were examined. The results are as follows.(1) As to the varieties of rice miso, the chicken liver preserved in Shinsyu rice miso contained sligtly more protein, amino-nitrogen and sodium chloride and showed a higher hardness and achieved better evaluation for taste, as compared with that preserved in Saikyou rice miso, though the former was somewhat inferior in color to the latter.(2) The optimal preservation period of the chicken liver in miso was 48 his, regardless of the varieties of miso.(3) The chicken liver preserved in raw soybean miso contained more protein and amino acids, and higher protease activity at pH 5.7, and was superior in color, taste and preservability, as compared with those preserved in the other miso.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15
被引用文献数
6

An ultrasonic treatment during extraction with hot water was investigated as a new procedure for preparing chicken-bone soup stock. The relationship between the preference and the soluble components of the chicken soup stock was studied to determine the most appropriate conditions for the preparation method. Compared to the conventional method without an ultrasonic treatment, the time for extraction was reduced to one third by the ultrasonic treatment, and a high-quality soup was obtained from chicken-bones. The combined method was thus found to be more suitable for preparing the soup stock. The best conditions for preparing the chicken soup stock with 20% bone involved hot-water extraction at 98℃ accompanying the ultrasonic treatment for 30 min. The resulting color tone of the soup was light with and slight clouding, and the dissolved components, including 5'-IMP, crude proteins, and free amino acids such as Glu, Ala, Ser and Gly were rich in the soup. A high evaluation of the resulting soup was given. (Received April 9, 1996)