著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.178-185, 1996-08-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

昆布だしの抽出法の迅速化・合理化・実用化を目的に、食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した加熱抽出法を試み、昆布だしの溶出成分と嗜好の関係を調べ、好適な調製条件を検討した。1)超音波照射を併用した加熱法は対照の照射無しの加熱法に比べ成分溶出量がやや多く、良好なだしが得られた。2)超音波照射有りのだしは対照の照射無しのだしに比べ明度の低下が進行し、色差の値に差が見られ、照射の影響が認められた。3)だしの好適調製条件では、加熱時間は照射有りの場合8分間と対照の照射無しの場合15分間であった。これらだしは総窒素量・5'-ヌクレオチド・無機質の含量は近似値を示したが、照射8分間のだしは遊離アミノ酸が顕著に多く、嗜好的にも優れていた。その上、加熱時の消費電力量を28%低下させ有利であった。従って超音波を併用した加熱法は、従来の加熱法や浸水法よりも嗜好性に優れた昆布だしが得られ、抽出時間も短縮及び消費電力量も低減できることが示唆された。
著者
佐々木 弘子 原 千晶 菅原 龍幸
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.286-297, 2011-03-30 (Released:2011-04-27)
参考文献数
9

The mineral components and other properties were analyzed for 50 samples of domestic and 11 samples of foreign mineral water available on the Japanese market. When these samples were classified according to the Bottled Water Guideline of Japan, 45 brands of natural mineral water (NMW) and 5 brands of mineral water (MW) of the domestic mineral waters were determined. Of the foreign mineral waters, there were 8 brands of NMW, 2 brands of MW and one brand of bottled water.   The means of the residue upon evaporation, hardness and the free carbon dioxide of the domestic mineral waters were significantly lower than those of the foreign mineral waters.   As for the minerals, the Na, Mg and Ca contents of the foreign mineral waters were significantly higher than those of the domestic mineral waters. On the other hand, the P contents of the domestic mineral waters were significantly higher than that of the foreign mineral waters.   The contents of the trace minerals, presumed to be always found in the NMW, are expressed in the detection percentage of the mineral waters of Japanese origin and the mineral waters of foreign origin in parentheses. B was 97. 8% (100%), V 80% (37. 5%), As 80% (12. 5%), Sr 97. 8% (75. 0%), Li 66. 7% (37. 5%), Zn 62. 2% (62. 5%), Ge 62. 2% (12. 5%), Se 60. 0% (12. 5%), Rb 71. 1% (12. 5%), Mo 71. 1% (25. 0%), Sb 57. 8% (62. 5%) and U 57. 8% (25. 0%).   Of the mineral waters of foreign origin, only B had a trace mineral detection percentage exceeding 80%.
著者
木村 友子 福谷 洋子 菅原 龍幸 佐々木 弘子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.24-31, 1995-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
11

To develop a new cooking method for rapid rehydration of dried radish (strips of dried radish), several conditions for rehydration including a step of ultrasono-irradiation were studied. The conditions for the best rehydration were determined at 5,25 and 40°C and the effects of ultrasonication on physical properties and palatability of the cooked radish were investigated. The results were as follows:(1) The amount of water absorbed into dried radish increased as the rehydration time goes up. The irradiated radish showed further improved swelling in shorter time and their tissues were softened faster than those in the control without irradiation.(2) When rehydration was conducted under the suitable conditions at the water temperature of 25°C, no difference was observed between the subjects irradiated for 15 min and those soaked for 30 min without irradiation, with regard to in the contents of moisture, total sugar, free sugar, crude protein, free amino acids and ashes, and the remaining proportions of mineral components in both subjects were 81% for Ca,70% for iron and 69% or more for Mg.(3) For texture characteristics, ultrasono-irradiated radish after cooking exhibited large rupture strain and chewiness than the control without irradiation. In addition, the permeability of seasonings was a little higher in ultrasono-irradiated radish and also the odor specific to the dried radish was somewhat decreased, resulting in superior taste evaluation.
著者
木村 友子 福谷 洋子 菅原 龍幸 佐々木 弘子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.24-31, 1995-02-20
被引用文献数
1 1

干し大根(割り干し)の迅速な水戻し法を見出す目的で, 超音波照射を取り入れた水戻しを行い, 水温5, 25及び40℃設定での好適条件を探索し, 更に煮物にした製品の理化学的性状と食味変化に及ぼす超音波照射の影響について検討し, 次の結果を得た。1) 干し大根は水戻し時間経過と共に吸水量が増加するが, 照射した方が短時間で膨潤し組織は速く軟化した。2) 水戻し時間が長くなると, 一般成分の全糖・遊離糖, 粗蛋白質, 遊離アミノ酸, 灰分, 無機質の含量は著しく減少する傾向を示したが, 超音波照射有無の差はわずかであった。3) 干し大根の水戻しの好適条件は水温25℃設定の15分照射と対照の照射なしの30分浸漬で, 両試料の一般成分値はほぼ同等値を示し, 無機成分の残存率もCa81%, Fe70%, Mg69%以上で良好であった。4) 煮物調理では照射した製品は照射なしの製品に比しテクスチャー特性の破断歪率が有意に大きく, 歯応えがあり, 調味液の浸透割合がやや高く, 干し大根の特有の臭気も多少緩和され, 食味評価も優れていた。以上の結果から, 干し大根の水戻し法に超音波照射を行うことは水戻し時間が短縮でき, 嗜好にも関与し効果的であると考えられた。
著者
石黒 弥生 藤原 しのぶ 佐々木 弘子 松本 仲子 菅原 龍幸
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.247-254, 2006 (Released:2007-01-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

シイタケ, マツタケ, ブナシメジ, エリンギ, マイタケ, ツクリタケの6種類のキノコ類を緩慢凍結した後に加熱すると, 実験に用いた6種類のキノコ類全てについて, RNAは生キノコを加熱調理したものより有意に, 或いは, より低下の傾向を示した。これに伴い, 生キノコを加熱したものに比べ, 緩慢凍結してから加熱したキノコの5'-GMPは, 実験に用いた全てのキノコについて有意に増加した。これは, SEMによる観察から凍結したキノコの場合, 加熱調理時にドリップの生成が多く, 酵素作用が活発に行われるためと考えられる。  冷凍したキノコと生キノコを用いてキノコ飯を作り, 両者についてその受容性を比較したところ, 冷凍キノコを用いたものが生キノコを用いた場合より味が好まれたのは, シイタケであり, 味, テクスチャー, 総合で好まれたものは, ブナシメジであった。香りで好まれたものは, マツタケ, ブナシメジ, 醤油味のマイタケであった。  逆にマイタケを用いた塩味の場合は, 生キノコが色, テクスチャー, 総合において冷凍キノコを用いた場合より有意に好まれていた。しかし, 醤油味にした場合は, 香りについて逆に冷凍キノコが好まれた他, 両者の間で有意な差は見られなかった。マイタケを味噌汁の具にした場合は, 冷凍キノコが生キノコを用いた場合より, 色, 汁の味, キノコの味, 総合評価共に有意に冷凍キノコが好まれた。  以上の他に, テクスチャー, 総合の評価では, 冷凍キノコを用いた場合と生キノコを用いた場合とを比較した場合, 両者間に有意な差は見られなかった。これらの結果から, キノコ類を家庭でブランチング処理をせずに冷凍して短期間保存し利用することは可能であると考えられる。
著者
佐々木 弘子 酒井 登美子 青柳 康夫 菅原 竜幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.107-112, 1993-02-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

干し椎茸の水もどしおよび加熱加工におけるγ-GT活性,香り物質であるレンチオニン量の変化について検討を加えた. (1) 干し椎茸の水もどし後のγ-GT活性の変化は,温度が高温であるほど,減少が著しく,加熱過程中においては,加熱5分後にほぼ完全に失活していた. (2) 干し椎茸のレンチオニン量は,水もどし直後では浸漬温度が高いもの程多く,低温のもの程少なかった.また10分加熱後のレンチオニンの増加の割合は水もどし温度が高いもの程小さく,低温のもの程大きかった.20分加熱時ではレンチオニンは急激に減少したが,5℃で水もどしをしたものには比較的残存していた.40分加熱時ではレンチオニンはほとんど残存していなかった.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

鶏骨スープの調製法の迅速化・合理化・実用化を目的に, 食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した熱水抽出法を試み, 鶏骨スープ (鶏骨20%濃度) の溶出成分と嗜好性の関係を調べ, 好適な調製条件を検討した.(1) 鶏骨スープの色調は経時的に明度の値が低下しこの傾向は照射ありのスープが顕著に低くなり, 色相のa値, b値では抽出温度および照射の有無で, 相違が認められた.(2) 鶏骨スープ中の抽出成分では照射ありの試料が照射なしの試料に比べ全エキス, 総窒素, ヒドロキシプロリンの含量がやや多く, また80℃・98℃設定は60℃設定に比べ溶出量が多かった.(3) 遊離アミノ酸量では照射ありの場合は30分間でグルタミン酸, アラニン, グリシン, セリンなどが大幅に増加し, 5'-IMPの溶出でも照射30分間で最大となり, 以後下降する傾向を示した.(4) 官能検査で高い評価を得た鶏骨スープは, 98℃設定の照射ありの30分間処理であり, 旨味成分などの理化学的測定値とよく対応した.(5) 超音波照射を併用した調製法は, 対照の照射なしの調製法に比し抽出時間が1/3に短縮され, しかも良質なスープが得られ有利であることが示唆された.
著者
木村 友子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.933-943, 2004

新食感の商蒻(a)と従来の商蒻(b)を用い, 加熱法に超音波照射有無の煮物を調製し, その煮物の物性や食味特性に及ぼす調味液や加熱処理の影響を検討した.<BR>(1) 商蒻の中心温度が75℃で1分間以上に達し安全と性状の両面からみて, 煮物の加熱時間は20分間必要であった.<BR>(2) 新蒟蒻の煮物は従来の商蒻煮物に比べ, 物理的特性は軟らかいが, 蒟蒻特有の弾力としなやかさをもち, 調味液の浸透も優れ, 官能評価でも好評を得たので新蒟蒻製品としての利用が期待できた.<BR>(3) 調味液が蒟蒻煮物に与える影響は2%食塩水と鰹調味液は物理的測定値が硬化し, 10%蔗糖液は変化なく, 酢酸緩衝液は著しく軟化した.<BR>(4) 超音波照射加熱は非照射加熱に比べ, 煮物の物理的性状の改良や調味液の浸透促進に有効であった.
著者
佐々木 弘子 中村 尚子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.90-97, 1988-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

干し椎茸の水もどし加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間におよぼす影響について検討し,次のような結果を得た. (1) 干し椎茸を25℃で水もどしを行うと,浸漬時間が長くなるに従い,タンパク態窒素量は減少し,一方,アミノ態窒素量は増加していた. (2) 遊離型のタンパク性アミノ酸は水もどしにより増加し,増加量は浸漬水温が高いほど,また浸漬時間が長いほど多かった. (3) 遊離非タンパク性アミノ酸は水もどしによる増減はみられないようである. (4) 水もどし後の加熱調理では遊離アミノ酸量の変化は殆ど見られなかった. (5) レンチニン酸は水もどしおよび加熱調理によっても減少した.
著者
藤原 しのぶ 桂 きみよ 佐々木 弘子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.115-122, 2010-09-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

The protein contents of diet meals containing various foods were calculated from the total nitrogen content using novel conversion factors that were suggested in our previous reports. Focusing on school lunch menus and convenience store lunch boxes, the total nitrogen contents in these foods were calculated by dividing the protein contents referring to the Standard Tables of Foods Composition in Japan by the traditional N : P factors. The total nitrogen content multiplied by the novel N : P factor was equal to the novel protein content.  The proportion of novel protein contents to the traditional protein contents was approximately 84%. On 11 school lunch menus, the equation between traditional protein contents and novel protein contents was the following : Novel protein contents=0. 878 × traditional protein contents–0. 937. The novel protein content of a convenience store lunch box could be estimated by this regression equation. The novel N : P factor, that is, the ratio of nitrogen contents to novel protein contents, for school lunch menus was 5. 16±0. 11 (mean±standard deviation). The N : P factors for two convenience store lunch boxes were 5. 15 and 5. 09. Therefore, the protein content of well-balanced meals should be calculated using the novel N : P factor of about 5. 2.  The results indicated that the novel calculation method for N : P factors could be applied to not only individual foods, but also to diet menus containing various foods. We conclude that this calculation method should be practical and suitable for the evaluation of the N : P factors.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15
被引用文献数
6

An ultrasonic treatment during extraction with hot water was investigated as a new procedure for preparing chicken-bone soup stock. The relationship between the preference and the soluble components of the chicken soup stock was studied to determine the most appropriate conditions for the preparation method. Compared to the conventional method without an ultrasonic treatment, the time for extraction was reduced to one third by the ultrasonic treatment, and a high-quality soup was obtained from chicken-bones. The combined method was thus found to be more suitable for preparing the soup stock. The best conditions for preparing the chicken soup stock with 20% bone involved hot-water extraction at 98℃ accompanying the ultrasonic treatment for 30 min. The resulting color tone of the soup was light with and slight clouding, and the dissolved components, including 5'-IMP, crude proteins, and free amino acids such as Glu, Ala, Ser and Gly were rich in the soup. A high evaluation of the resulting soup was given. (Received April 9, 1996)