著者
窪田 英樹 桑原 浩平 濱田 靖弘 中村 真人 中谷 則天 雨宮 智史
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.137, pp.9-17, 2008-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
20
被引用文献数
2

暑い環境では汗が滴り落ちる無効発汗現象が見られる.ぬれた人体表面からの蒸発密度よりも発汗密度が大きいときに皮膚表面に残留する汗量が発生し裸の時は体から滴り落ちて無効発汗となる.着衣時には,この残留汗量の一部が着衣を濡らし,結果的に人体表面で蒸発する汗の量を増加させる.本論文は,着衣の一部がぬれることにより有効発汗が増加する現象を有効発汗増加率なる概念を導入して人体表面における熱収支式に組み込み,人体の平均皮膚表面温度の予測を可能にしたものである.被験者実験を行い,着衣のぬれと残留汗量との関連を確認し,平均皮膚温の理論的予測値が実測値とよく一致することを確認した.
著者
窪田 英樹 石戸谷 裕二 石尾 和央 位下 功
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.384, pp.12-19, 1988-02-28 (Released:2017-12-25)

In order to evaluate ambient temperature for office and house heating, experiments on thermal sensation of bare hands and fingers, and impression of freshness were conducted under the two kinds of clothing condition. Test A: six male subjects selected clothing ensemble to keep thermally neutral sensation. Test B: the subjects wore normal winter clothing. The subjects were exposed for three hours to four ambient temperature conditions of 7°, 10°, 14° and 18℃ for test A and 10°, 14°, 18° and 22℃ for test B. The following results were obtained I the subjects felt their hands and fingers thermally neutral at the ambient temperature of 21℃, which is the lowest ambient temperature for eliminating discomfort due to coolness of bare hands. The subjects felt fresh below the ambient temperture of 20℃, and the authors found that the optimum ambient temperature for freshness was 18℃, accepting slight discomfort of cold hands.
著者
窪田 英樹 萱野 茂 岸下 浩治 小笠原 康志
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.41, pp.1-10, 1989-10-25 (Released:2017-09-05)

本論文は,伝統構法に基づいて復元されたカヤぶきのチセ(3.7×5.4m)における14箇月間にわたる調査の結果に基づき,その結果の一部を暖房環境を中心にまとめたものである.冬期採暖時のグローブ温度は炉端の居住者の位置では約20℃であるが,炉端から離れると急激に低下した.しかし,室中央のグローブ温度は,二風谷の最寒期(外気温約-10℃)においても外気温より15Kほど,また床上50cmの気温も約10K,それぞれ高い値を示した.また,居住域のガス粉じん濃度はそれぞれCO20ppm,CO_20.06%,粉じん2mg/m^3であり,日本産業衛生学会基準の10〜40%程度であった.換気量は1.3×10^3m^3/h程度と推定された.
著者
栗原 浩平 谷地 誠 窪田 英樹 池田 光毅 相建 太郎 濱田 濱弘 長野 克則
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.209-212, 2010-11-22

素材構成の異なる衣服の日射反射率Pd,日射透過率Tcl,日射吸収率りを実測し,素材により表色値と日射熱特性の関係が異なる力り証した。色彩色差計により衣服の表色値を測定し,アルベドメーターと全天日射計より日射反射率,日射透過率を測定した。衣服はA(綿100%),B(ポリエステル74%・綿26%),C (ポリエステル100%)のTシャツである。素材に関わらず太陽高度の上昇に伴い日射透過率は上昇し,日射反射率は低下した。視感反射率と日射反射率,日射透過率,日射吸収率の関係を比較したところ,日射反射率は殆ど差が見られなかったが,日射透過率はTシャツBがやや高い結果となった。同ルでTclとαclを変化させ日射作用温度へ及ぼす影響を計算した結果,衣服の日射透過を低減させると日射作用温は低下することを示した。
著者
栞原 浩平 谷 地誠 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.229-232, 2012-11-21

100%綿Tシャツ,100%ポリエステルTシャツ,40%ポリエステル/60%綿混紡ズボンの近赤外光および可視光の透過率と反射率を屋外日射環境下にて実測した。近赤外光域(800~2800nm)の透過率・反射率はIRフィルターで日射計を覆うことにより測定した。3つの生地の平均近赤外光反射率は0.61,平均近赤外光透過率は0.28,平均近赤外光吸収率は0.11であり,近赤外光の透過率,反射率,吸収率は色に依存せず素材によりほぼ一定値を取ることが示された。衣服,皮膚表面の正味の近赤外光,可視光吸収率を考慮した日射作用温度の式を提案した。
著者
持田 徹 垣鍔 直 堀越 哲美 桑原 浩平 窪田 英樹 松原 斎樹 くわ原 浩平
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

世界の二大指標であるISO-7730のPMV指標と,ASHRAE(米国暖冷房空調学会)の基準であるSET^*指標の長所・短所を整理した。そして,平均皮膚温およびぬれ面積率と心理量の関係を,熱伝達論および人体の温熱生理特性から検討し,椅座の被験者実験の結果から,新しい温冷感の評価法を提案した(持田・桑原・窪田・長野)。また,屋外における夏服と冬服の着用実験から,著者らが提案した日射の影響を組み込んだSET^*が屋外においても適用可能であることを確認すると共に,屋外熱環境評価のための新しい温熱指標として予想温冷感ETSを開発した。札幌・名古屋での温冷感・快適感申告データから,SET^*の温冷感中立域・快適域を決定した(桑原・堀越・持田)。汗による水分吸収により着衣の電気抵抗が変化すると考え,着衣面の電気抵抗を測定することにより吸汗量を推定する方法を実験により検討した。また同方法を用い,軽装時において,冬期と夏期に40℃に曝露したときの胸部,上腕部,大腿部の局所の放熱過程を測定した結果,皮膚面の受熱量は着衣の表面温度が低下し始めてから,冬期の実測では約10分,夏期の実測では約6分遅れて低下することを確かめた。(垣鍔)。さらに,人体と環境との対流熱交換量を正確に算定するために,椅座・立位時の対流に関与しない面積(非対流伝熱面積)の実測を行った。姿勢による部位別の対流伝熱面積の違いを明確にし,対流伝熱面積を考慮した立位と椅座時の平均皮膚温算出用の重み係数を提案した。全体表面積に比し,対流伝熱面積が小さいほどHardy-DuBoisの平均皮膚温との差が大きいという姿勢に依存する特性を示した(松原)。
著者
桑原 浩平 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則 池田 光毅 林健 太郎
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

個人差(心肺能力,暑熱順化)が生理量に及ぼす影響を既往の研究データと被験者実験により検討した。暑熱環境における直腸温を,作業強度起因の直腸温と暑さ起因の直腸温の増分として定義し,個人の心肺能力(最大酸素摂取量)を考慮することを可能にした。次に暑熱順化が発汗量および着衣のぬれに及ぼす影響について検討し,平均皮膚温36℃を境に暑熱順化前後の発汗量と着衣のぬれの特性に差が見られた。
著者
桑原 浩平 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則 池田 光毅 谷地 誠 南沢 慶一
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

芝生や路上で気候要素の垂直分布(50, 100, 150cm)の測定を行なった。50cmの気温と環境グローブ温(長波放射のみ考慮)は150cmよりも高いが,気温と環境グローブ温はほぼ等しいため,環境グローブ温の垂直分布は長波長放射よりも気温の影響が大きい。また吸汗速乾素材と綿素材の衣服が生理心理反応に及ぼす影響を評価するために被験者実験を行った。速乾素材の方が汗による着衣重量増加量は有意に少なかったが,平均皮膚温や不快感には有意な差が見られなかった。