著者
小口 正義 藤森 愛子 小口 はるみ 跡部 治 永田 和也 両角 和雄 藤森 洋子 立花 直樹 蜂谷 勤
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.97-105, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

抗菌薬適正使用は感染患者の確実かつ安全な治癒,耐性菌出現と蔓延化の防止,および医療費の効率的運用の観点から対処するとされ,特に抗菌薬の使用法管理は経済的にも重要な問題となっている。そのため抗菌薬の使用法管理としての対策(抗MRSA薬・カルバペネム系薬の使用申請制度,監視制度,警告通知制度),DPC制度導入などがどの様に薬剤費に影響したかを調査・分析した。その結果,抗菌薬の総使用量は調査期間中ほぼ一定であったが,カルバペネム系薬の使用量,および抗菌薬の総使用金額は半減した。さらに平均在院日数も減少した。これらのことから当院の抗菌薬適正使用の取り組みにより,スペクトラムの広域な抗菌薬から狭域な抗菌薬への変更,および高価な抗菌薬から安価な製品への置き換えなど,適切な抗菌薬の選択が進んだものと考えられた。抗菌薬適正使用による抗菌薬の使用法管理は,薬剤費に大きなコスト削減効果を及ぼしていることがわかった。
著者
手代森 隆一 坂本 勇一 柴田 絵里子 高野 康之 三上 英子 赤平 恵美 立花 直樹 大西 基喜
出版者
Japanese Association of Medical Technologists
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.550-556, 2014

AmpC β-ラクタマーゼ産生菌の遺伝情報はプラスミドによって菌株,菌種を超えて伝達されるため,院内感染対策で問題となる.今回我々は,長期に抗菌薬投与をされていた肺炎患者において,<i>Klebsiella pneumoniae </i>Carbapenemase(KPC)型との鑑別を要したAmpC β-ラクタマーゼ産生<i>Klebsiella pneumoniae</i>を検出した一例を経験したので報告する.患者は62歳,男性.平成23年8月近医にて肺化膿症と診断され,治療中に肺出血を併発し当院へ転院した.患者は,入院2週間前からカルバぺネム系薬が投与されていた.気管内採痰から検出された<i>K. pneumoniae</i>は,カルバぺネム系薬を含む全βラクタム系薬に耐性であったことから,KPCなどのカルバぺネマーゼ産生菌が疑われた.しかし,Hodge's test,シカベータテスト,メルカプト酢酸の酵素阻害試験はいずれも陰性であった.本菌は,ボロン酸を用いた酵素阻害試験で阻止円の拡大が認められたことから,AmpC β-ラクタマーゼ産生株と推定された.さらに,遺伝子学的検査の結果,本菌はDHA型のAmpC β-ラクタマーゼ産生<i>K. pneumoniae</i>であることが確認された.今回の分離株におけるimipenem(IPM)のMIC値は4 μg/mLであり,2010年以降のCLSIのブレイクポイントで耐性と判定される株であった.AmpC β-ラクタマーゼでありながらIPMのMICが高かった理由は不明であるが,染色体性カルバぺネマーゼ保有の可能性も否定できないと考える.このような耐性菌に遭遇した場合に備え,検査室では酵素阻害試験などを追試できる体制を整えておくことが必要である.
著者
熊谷 忠和 橘高 通泰 中島 裕 井上 信次 大野 まどか 立花 直樹 河野 清志 CLEMINSON Timothy
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、わが国の社会福祉教育養成校における、医療ソーシャルワーカーの教育養成について、国際比較(英国、米国、日本)を通してその在り方を検討するものであった。結果、(1)英国、米国では専門特化した領域ごとの教育養成制度はなく、ジェネリックの力量を引き上げることに向けられていた(2)養成カリキュラムの構成では大きい差異は認められなかった(3)ただし、実習教育の在り方が量的・質的ともに英国、米国と日本では大きい差異があった(4)その中で、英国、米国の実習教育では、その教育法としてリフレクティブ・ラーニングの取り組みが標準化していることなどが明らかとなった。