- 著者
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竹内 延夫
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
浮遊粒子状物質(SPM)は地球環境の熱収支、大気汚染に影響し、その組成はディーゼルエンジン等の元素状炭素(EC)の寄与の同定などに関連し、重要である。都市大気の例として千葉のエアロゾルを捕集分析し、ECの混入の割合が微小成分(2μm以下)で25%、粗大成分(2μm以上)で9%と、以上に大きいことを確かめた(特に冬季に多い)(Yabuki, et al., CLEO 2003)。ECが多いと吸収の割合が大きくなり,後方散乱対する消散係数(吸収+散乱)の割合S_1(ライダー比)が大きくなる。都市性のエアロゾルモデルを仮定し、2波長での同時観測ライダーデータから、解析により求めた消散係数/後方散乱係数比と消散係数の高度分布プロファイルを実測ライダーデータから,他の補助データ無しで求める手法を開発した。これは理論計算に基づいて求めたパラメータと実測データの隣接する高度間の関係がエアロゾルモデルによる波長間の関係を満たす条件から、各高度でのパラメータが求められる(Yabuki, et al, JJAP,2003)。エアロゾルのモデルを仮定し、消散係数を用いた光学的な濃度分布から重量濃度分布への変換係数が求められると、各高度におけるエアロゾル濃度分布の導出が可能となる。実大気中では湿度によりエアロゾルの状態が変化するので地上で測定した湿度を用いてエアロゾルの膨張・光学的性質の湿度による変化を考慮し、連続観測ライダーの値と地上における観測値の変化の相関関係を取ることによって大気の境界層の中ではエアロゾルの混合が短時間(1時間より遥かに短い時間)でおこり、532nmにおける変換係数が0.08〜0.1(g/m^3)/(m^<-1>)であることが求められた。これにより、湿度が分ると、都市域上空の境界層内のエアロゾル量の空間分布が求められることが可能となった(Nofel, et al, AE, 2004)。