著者
鷹野 敏明 山口 潤 阿部 英二 二葉 健一 横手 慎一 河村 洋平 高村 民雄 熊谷 博 大野 裕一 中西 裕治 中島 映至
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.257-262, 2008-04-01 (Released:2008-04-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 6

We developed a cloud profiling radar, named FALCON-I, transmitting frequency-modulated continuous wave (FM-CW) at 95 GHz for high sensitivity and high spatial resolution ground-based observations. Millimeter wave at 95 GHz is used to realize high sensitivity to small cloud particles. An FM-CW type radar realizes similar sensitivity with much smaller output power to a pulse type radar. Two 1m-diameter parabolic antennas separated by 1.4m each other are used for transmitting and receiving the wave. The direction of the antennas is fixed at the zenith at this moment. The radar can observe clouds up to 20 km in height with a resolution of 9 m. Beam size of the antenna is as small as 0.2 degree of arc, which corresponds to 15 m at the range of 5 km. Observation results showed that the sensitivity of -34 dBZ is realized at 5 km in range, and good spatial resolutions.
著者
高村 民雄 田中 正之 中島 映至
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.573-582, 1984 (Released:2007-10-19)
参考文献数
16
被引用文献数
16 17

エアロソルによる散乱光強度の角度分布の情報から,エアロソルの複素屈折率及び粒径分布が,Inversionlibrary法を用いて,求められてきた。ここでは,1978年2月から11月に至る,仙台•青葉山での250の観測例から,これらの粒子の光学的性質の湿度依存性についてまとめた。この期間のデータを一定の湿度範囲毎に分類してみると,エアロソルの光学的性質に,湿度に対する顕著な依存性のあることが明らかとなった。この依存性を説明する為に,Hänelの理論を適用した。この時,粒子の乾燥状態での複素屈折率を1.58-0.04iとし,質量増加係数を屈折率の観測値から推定した。この値は,これまでの他の結果と比較して,妥当なものである。これらの結果を確認する為に,実際の大気を用いて,数例の加湿実験を行なった。その結果は,2月から11月までの観測から得られた傾向を支持するものであった。
著者
中島 映至 太田 幸雄 竹内 延夫 高村 民雄 沼口 敦 遠藤 辰雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、ほぼ当初予定した計画以上の成果をあげて終了した。主な成果としては、(1)船舶用のスカイラジオメーターが全自動で稼動し、観測船白鳳丸やみらいによる観測のみならず日本-オーストラリア間の2つの商船航路において定期観測を実現できた。それによって幅広い緯度範囲においてエアロゾルの気性積算の光学特性が明らかになりはじめた、(2)エアロゾル気候モデルがほぼ完成し、自然起源と人為起源のエアロゾルの放射強制力がシミュレーションできるようになったことが挙げられる。その結果、エアロゾルの一次散乱アルベドがアジアの広域において0.8から0.9と言う低い値であり大きな太陽放射吸収を引き起こしていること、そのために、産業革命以降の人為起源エアロゾルの直接効果による全球平均放射強制力は今まで言われていたものよりもかなり小さく-0.20W/m2程度であることが明らかになった。人為起源の硫酸塩エアロゾルと有機炭素エアロゾルによる冷却効果(日傘効果)の約半分が黒色炭素エアロゾルによる加熱硬化によって相殺されている。また、人工衛星によるエアロゾルと雲の光学的特性のリモートセンシング手法が確立され、1990年の1,4,7,10月の4ヶ月に適用された。その結果、低層の水雲の光学特性がエアロゾル粒子の気柱総数に依存する「エアロゾルによる間接効果」をはじめて全球規模で確認できた。産業革命以降の人為起源エアロゾルが海上で引き起こした間接効果の大きさは-1W/m2程度であると推定される。
著者
高村 民雄 久世 宏明 鷹野 敏明 中島 映至
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成16年度は以下の研究成果を得た.[GMS-5を用いた放射収支及び雲の放射強制量の高精度評価の為の雲の光学的性質の再検討]これまで,GMS-5を用いて1996年以降の雲量,地表面輝度温度,地表面日射量(収支量)の毎時データを継続的に求めてきた.これらの物理量に対してSKYNET(本研究グループが中心となって,東アジアに展開・運営している高精度雲・エアロソル・放射観測網)による雲・放射に関する各種観測量を利用して,これまで作成したプロダクトの精度評価を行った.その結果,快晴時の推定精度が良好なのに対し,曇天時には,日平均量で50W/m2以上になる大きな誤差が認められる事が分かった.この誤差は短波放射収支に大きな誤差をもたらすことから,その原因究明とアルゴリズムの改善を図った.誤差の要因は,雲の評価,中でもその光学的厚さ推定の正確さにある.この推定に誤差が入る要因には,次のものが予想される;(1)センサーの劣化による感度低下,(2)量子化誤差,(3)推定アルゴリズム,(4)雲自身がもつ非均質性に由来するもの等.センサー劣化については,既に過去に幾つかの研究があり当研究室でも解析を行ってきた.その結果年間数%の割合で劣化を起こしていることが確認された.また,GMS-5と並行して取得されたMODISデータを併用して検討した結果,この誤差を定量的に評価することができた.一方,可視センサーは,6ビットA/D(64階調)変換能力しか持たず,特に低反射率時に高分解能になる様な感度特性を持っている.その結果,薄い雲では比較的精度良く推定できるのに対して,厚い雲では極めて誤差が大きいことが明らかになった.MODISとGMS-5の幾何学的位置の違いは,雲の3次元構造の影響を評価するのに効果的である.同一視野に対するこの影響を評価した.これらの結果は,衛星データの推定アルゴリズムの改善に反映される.