著者
増永 高晴 篠崎 公秀 高山 嘉宏 竹田 亮祐
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.150-159, 1998-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1

内視鏡検査前処置剤として使用されるグルカゴンの糖尿病患者における安全性を検討する目的で,糖尿病患者33例を対象にグルカゴン投与の血糖値と血中総ケトン体に及ぼす影響および胃蠕動抑制効果について検討した.グルカゴン1mg筋注後血糖値は60から120分で最高血糖値(頂値)に達した.頂値,血糖上昇度は食事療法群(6例),経口血糖降下剤群(19例),インスリン群(8例)の順で高い傾向を示した,頂値の最大は340mg/d1,上昇度の最大は138mg/dlであった.前値150mg/dl以上の症例における血糖上昇率は134%~178%であった.血中総ケトン体は経口血糖降下剤群とインスリン群で低下傾向を示した.グルカゴン1mg筋注10分後の蠕動消失率は約7割であった.以上より,糖尿病患者においても"fair"controlの範囲内であれば,グルカゴン注射によって,高血糖性昏睡等の急性合併症をおこす可能性は少なく,グルカゴンは前処置剤として安全に使用できると思われた.
著者
小竹 要 大江 国広 長谷田 恭子 吉野 公明 万見 新太郎 黒田 満彦 松田 保 竹田 亮祐 村上 元孝
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.487-494, 1974

Studies on platelet functions of 21 patients with renal insufficiency have been preformed. Platelet counts were significantly decreased in uremic patients, although severe thrombocytopenia less than 100&times;10<sup>3</sup> platelets/mm<sup>3</sup> was detected only in two patients. Platelet adhesiveness to glass was remarkably decreased in uremic patients. Platelet factor-3 availability was impaired in some of these patients, while platelet factor-3 activity was not decreased. Clot retraction was slightly defective in few patients. The significant correlation was not found between platelet adhesiveness and BUN, creatinine, uric acid or inorganic phosphate level in the serum of these patients. The abnormalities of platelet functions were partially corrected after dialysis.<br>In vitro, urea at high concentration showed an inhibitory effect on platelet aggregation. Guanidinosuccinic acid had less inhibitory effect on platelet aggregation, and creatinine had no inhibitory effect.
著者
竹田 亮祐
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.182-187, 1993
被引用文献数
1

褐色細胞腫の記載者である故村上先生の本邦第1例の業績を記念し, 内分泌性高血圧のうち, 褐色細胞腫次いで原発性アルドステロン症及び Cushing 症候群をとりあげ, わが国における「副腎ホルモン産生異常症」疫学調査成績をもとにその臨床症候や検査成績を60歳前後で比較した場合の特徴について考案を加え, さらに上記3疾患について最近話題の2, 3の事項を紹介した. また本態性高血圧症を内分泌代謝学的に亜分類しょうとする観点から, 11β-hydroxysteroid dehydrogenase (11β-HSD)部分的障害仮説についてわれわれの得つつある最近の知見を付言し, 培養動脈平滑筋細胞に11β-HSD mRNAの発現を認めること, SHRの血管 (腸間膜動脈) にいおてはWKYラットに比べ11β-HSD活性が低下していること, 同遺伝子異常の可能性を示唆する実験的事実を報告した.
著者
清水 賢巳 元田 憲 多賀 邦章 神川 繁 炭谷 哲二 布田 伸一 酒井 泰征 竹田 亮祐
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.759-766, 1983-07-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

重症筋無力症の心電図所見を検討した.対象は8~65歳の男女16例で,男女比は5:3,罹病期間は1ヵ月~17年,平均5.6年であった.病型はOsserman分類にて型3例,IIA型8例,IIB型3例,III型1例,IV型1I例であった.胸腺腫は4例(良性2例,悪性2例)に認めた.抗コリンエステラーゼ剤投与歴は0~7年,2例に60Co照射歴があった.心電図所見では,(1)正常例は16例中4例(25%)であり,異常所見として伝導障害1例(6%),ST・T変化8例(50%),不整脈6例(38%)を認め,高電位差,QRS群のterminal notchingは5例(31%)と高率に認められた.(2)心電図異常は臨床所見のうち,年齢,罹病期間,抗コリンエステラーゼ剤服用歴とは関係がなく,重症例,呼吸機能低下例で多彩であった.(3)経過中に巨大陰性T波の出現を認めた1例を経験した.本例の陰性T波の成因として自律神経系の関与が推定された.