著者
田中 孝平 片山 翔 大倉 和貴 岡村 正嗣 縄田 佳志 中西 信人 篠原 史都
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.273-280, 2021-12-15 (Released:2022-01-15)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

重症患者において骨格筋は身体機能に重要な役割を果たし,骨格筋の評価は重要である.骨格筋の評価にはComputed Tomography(CT),超音波検査,生体電気インピーダンス法(BIA法:Bioelectrical Impedance Analysis),バイオマーカーなどが用いられる.CTは正確な骨格筋量の評価が可能であり,第3腰椎レベルでの骨格筋量評価がゴールドスタンダードである.CTでの評価は放射線被曝の影響やCT室への移動を伴い,後方視的に骨格筋量の評価が行われることが多い.一方,超音波や体組成計は非侵襲的で,ベッドサイドで骨格筋量の経時的な測定が可能であるが,正確な測定には知識や技術を要する.重症患者は水分バランスの変動が大きく体組成計での測定では浮腫に注意する必要がある.さらに近年では骨格筋量評価のためのさまざまなバイオマーカーも報告されている.適切な骨格筋評価を本邦でも普及させることで,重症患者の社会復帰につながる栄養やリハビリテーションへの介入が期待される.
著者
篠原 史都 飯田 有輝 森沢 知之 山内 康太 小幡 賢吾 神津 玲 河合 佑亮 井上 茂亮 西田 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.84-90, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
20

【目的】重症患者における入院関連能力障害(HAD)と退院後の介護予防の必要性との関連を調査することである.【対象と方法】2021年9月から2022年3月にICUにて48時間以上の人工呼吸管理を施行した20歳以上の患者を対象とする前向き観察研究である.HADの有無の2群で背景因子,退院3ヵ月後の転帰と生活状況等について比較した.生活状況の調査は基本チェックリストを用いて郵送にて行った.また,多重ロジスティック回帰分析を用いてHAD発生に関与する因子を抽出した.【結果】65例が解析対象者となった.HADは21例に発生した.HAD群で退院3ヵ月後の運動機能低下とフレイルの割合が有意に高かった.また,HAD発生の関連因子としてICU退室時の握力とFunctional Status Score for the ICU合計が抽出された.【結論】HAD群で退院3ヵ月後にフレイルを呈した症例が多かった.
著者
篠原 史都 水谷 公司 加賀谷 斉 幸村 英文 尾崎 祐輔 河合 佑亮 西田 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.521-526, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

【目的】術後管理目的にICUへ入室した患者を対象にし,抜管直前の呼吸機能検査における再挿管の関連因子を検討した。【方法】2016年6月から2018年7月の間に術後管理目的で人工呼吸器装着のままICUへ入室した症例のうち,抜管直前に呼吸機能検査を行えた症例を対象とした。対象者を抜管後72時間以内の再挿管の有無で再挿管群と非再挿管群に分けた。 APACHE Ⅱscore,性別,術式にて1:2でマッチングし,背景因子と抜管直前の呼吸機能検査値を比較検討した。【結果】全324例中再挿管群は9例(2.8%)であった。背景因子はマッチングした非再挿管群の18例との間に差を認めなかった。呼吸機能検査値では最大呼気圧(maximal expiratory pressure, MEP)のみ再挿管群で有意に低値であった。再挿管理由の半数以上が痰の喀出困難であった。【結論】MEPが低値であると再挿管に至る可能性が高いことが示唆された。