著者
糸井 隆夫 祖父尼 淳 土屋 貴愛
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.1205-1217, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
25

胆膵内視鏡関連手技はERCPやEUSに大別され,今日では胆膵疾患診療に共に欠かせないものとなっており,診療レベルの均一化という点でその教育は極めて重要である.欧米を中心に胆膵内視鏡関連手技の教育はAdvanced endoscopic trainees program(AETP)が以前より用いられ,その評価方法として最近The EUS and ERCP Skills Assessment Tool(TEESAT)なるものも提唱されている.一方,本邦では未だ評価法はもとより,教育方法に関しても確立したものはない.こうした現状の中で近年,教育アシストツールとして,関連手技に関する成書,ビデオが数多く出版され,ライブセミナー,バーチャルシミュレーター,ドライ・ウエットモデルや実際の生体動物モデルによるハンズオンなどが盛んに行われている.本邦においては,これらを上手に利用して,自施設の症例で上級医のもとで胆膵内視鏡関連手技の研鑽を積むことが重要である.
著者
糸井 隆夫 良沢 昭銘 潟沼 朗生 岡部 義信 洞口 淳 加藤 博也 土屋 貴愛 藤田 直孝 安田 健治朗 五十嵐 良典 後藤田 卓志 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.337-365, 2017 (Released:2017-03-22)
参考文献数
227

日本消化器内視鏡学会は,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,「EPLBD診療ガイドライン」を作成した.EPLBDは近年普及している総胆管結石に対する治療法の一つである.この分野においてはエビデンスレベルが低いものが多く,専門家のコンセンサスに基づき推奨の強さを決定しなければならないものが多かった.本診療ガイドラインは「EST診療ガイドライン」に準じて,定義と適応,手技,特殊な症例への対処,偶発症,治療成績,術後経過観察の6つの項目に分け,現時点での指針とした.
著者
祖父尼 淳 森安 史典 佐野 隆友 藤田 充 糸川 文英 土屋 貴愛 辻 修二郎 石井 健太郎 池内 信人 鎌田 健太郎 田中 麗奈 梅田 純子 殿塚 亮祐 本定 三季 向井 俊太郎 糸井 隆夫
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.199-209, 2015-04-20 (Released:2015-05-08)
参考文献数
18

High intensity focused ultrasound(HIFU)治療は,その超音波発信源を多数取り付けた発信源から超音波を腫瘍の目的部位の1点に集束させ,体外から組織の焼灼を行う治療法である.焦点領域のみを80~100度に加熱し,熱エネルギーおよびキャビテーションの作用により組織を凝固壊死させ,焦点領域以外の介在組織にはほとんど影響を与えないという治療法である.われわれは切除不能膵癌に対するHIFU治療の安全性と有効性を検証するため,Yuande Bio-Medical Engineering社のFEP-BY02 HIFU Systemを用いて臨床試験を2008年12月より行った.膵癌に対するHIFU治療は問題点もあり,さらなる検討や症例の蓄積が必要であるが,われわれの検討では切除不能膵癌に対し安全にHIFU治療を行うことが可能であり,今後,予後不良な膵癌への低侵襲治療のひとつとなりうる可能性が示唆された.
著者
土屋 貴愛 祖父尼 淳 石井 健太郎 向井 俊太郎 糸井 隆夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.2388-2396, 2019 (Released:2019-10-21)
参考文献数
12

Lumen apposing metal stent(LAMS)である,Hot AXIOSTM(Boston Scientific社)が被包化壊死(walled-off necrosis:WON)や膵仮性嚢胞に対してEUS-TDを行う際に使用可能となり,WONの内視鏡治療戦略が大きく変化した.これまでのプラスチックステントや金属ステントよりも大口径であるため,より高いドレナージ効果を得ることができ,直接内視鏡を挿入し壊死物質を取り除くネクロセクトミーも容易に行える.また,WONへの適応を取得したデバイスが登場したことにより,安心して治療が行えるようになった.WONがそれほど大きくなく,ほとんどを液体成分が占め,ネクロセクトミーの必要がないと予想される時は,外瘻の経鼻ドレナージチューブか内瘻のプラスチックステント,または内外瘻同時留置を行い,WONが広範に及ぶ場合やネクロセクトミーの施行が予想される場合にはLAMSを留置する.WONの内視鏡治療には致死的な偶発症が起こり得るため,放射線科医や外科医のバックアップ体制を十分整えて行うべきである.
著者
森安 史典 糸井 隆夫 永川 裕一 土田 明彦
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.210-218, 2015-04-20 (Released:2015-05-08)
参考文献数
22

IRE(Irreversible electroporation)は,2008年に米国で市販され,軟部組織の悪性腫瘍の治療に広く使われるようになった.中でも膵癌は放射線療法以外によい局所療法がないことから,IREの治療対象として注目されている.IREはnon-thermal ablationの局所治療法であり,胆管,膵管,血管,消化管などの構造を温存して,細胞のみに細胞死を惹起せしめることから,切除不能局所進行膵癌の治療法として期待されている.本稿では,IREの原理から臨床応用まで,膵癌の新治療法について概説する.
著者
糸井 隆夫 土屋 貴愛 栗原 俊夫 石井 健太郎 辻 修二郎
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.39-46, 2013

<b>要旨:</b>胆管ステンティングおよび胆嚢ステンティングの際の注意すべきポイントについて解説した.胆管ステンティングにおいてはステントの種類と特性を理解しておくことが肝要である.特に胆管メタルステントに関しては近年様々な種類のものが登場しており,ステントの特徴(カバーの有無,編み込み型かレーザーカット型か,再収納の可否など)を理解した上でのステンティングが極めて重要である.胆嚢ステンティングにおいてはまず胆嚢内にガイドワイヤーを送り込むことが重要であり,胆嚢管の分岐パターンを理解して効率よく確実な胆嚢管挿管を心がけることが大切である.<br>