著者
有川 真弓 繁田 雅弘 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.170-177, 2006
参考文献数
31

感覚統合療法(Sensory Integration Therapy.以下SIT)の効果研究の現状を把握し,今後の研究で望まれる標的集団や方法を検討することを目的とし,わが国で発表されたSIT効果研究論文のレビューを行った。医中誌Webにて検索語を感覚統合として検索した結果,121論文が該当した。そのうち,SITを行っていない69編,総説や解説14編,会議録や海外の報告5編,対象が小児以外の6編,効果の記載がない4編,行動の観察のみで検討した10編を除外し,13編を対象に検討した。その結果,レベルIVおよびVのエビデンスが示され,SITは「行うよう勧められるだけの根拠が十分でない」(勧告C)にあたると考えられた。今回検討した論文では,学習障害などの疾患で効果があったとする見解に統一が見られ,今後は,まずはこれらの疾患を対象に,研究デザインを工夫した,レベルの高いエビデンスの蓄積が望まれる。
著者
有川 真弓 繁田 雅弘 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.170-177, 2006-12-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
31

感覚統合療法(Sensory Integration Therapy.以下SIT)の効果研究の現状を把握し,今後の研究で望まれる標的集団や方法を検討することを目的とし,わが国で発表されたSIT効果研究論文のレビューを行った。医中誌Webにて検索語を感覚統合として検索した結果,121論文が該当した。そのうち,SITを行っていない69編,総説や解説14編,会議録や海外の報告5編,対象が小児以外の6編,効果の記載がない4編,行動の観察のみで検討した10編を除外し,13編を対象に検討した。その結果,レベルIVおよびVのエビデンスが示され,SITは「行うよう勧められるだけの根拠が十分でない」(勧告C)にあたると考えられた。今回検討した論文では,学習障害などの疾患で効果があったとする見解に統一が見られ,今後は,まずはこれらの疾患を対象に,研究デザインを工夫した,レベルの高いエビデンスの蓄積が望まれる。
著者
関 一彦 鶴田 和仁 稲津 明美 福本 安甫 繁田 雅弘
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.243-248, 2013 (Released:2013-08-23)
参考文献数
26
被引用文献数
1 4

目的:パーキンソン病(PD)では,罹病初期から非運動性症候の一つである嗅覚障害が顕著に認められ,またその自覚がないことは広く知られているが,低下する嗅覚の種別などについては検討されていない.よって,今回は,PDにおいて低下する嗅覚の種別(臭素)について健常者と比較し障害のプロフィールを明らかにすることを目的とした.方法:対象は,神経内科外来に通院中で臨床的にPDと診断されている女性患者14名(平均年齢71.6±6.1歳)と,精神疾患及び神経疾患に罹患してない健常高齢者女性11名(平均年齢68.9±6.9歳)であった.検査には,スティック型嗅覚同定能力検査法(OSIT-J)(Odor Stick Identification Test for Japanese)を用いた.結果:PD,健常者ともに低下していた臭素は材木・みかん・家庭用のガスであった.PDは,香水に対する嗅覚は保たれていた.一方,墨汁・メントール・カレー・ばら・ひのき・蒸れた靴下(汗臭い)・練乳(コンデンスミルク)の臭素は,健常者に比べ有意に低下しており,PDの補助診断指標となる可能性が示された.結論:PDで低下している嗅覚の内容を把握しておくことは,日常生活における危険の回避において,また効果的なリハビリテーションのプログラムの遂行において重要であると考えられた.
著者
山崎 幸子 藺牟田 洋美 橋本 美芽 繁田 雅弘 芳賀 博 安村 誠司
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.20-27, 2008-06-25

本研究では,都市部在住高齢者における閉じこもりと家族関係,社会関係の特徴を検討し,閉じこもり予防・支援のための基礎資料を得ることを目的とした。東京都A区在住の65歳以上の住民に対する郵送調査の有効回答者3,592名から,要介護者等を除き,訪問許可のあった閉じこもり95名,性別と年齢,移動能力をマッチングさせた非閉じこもり95名を対象とした。調査完了者は閉じこもり69名,非閉じこもり73名であった。分析の結果,閉じこもりは,1.同居家族との会話が少なく,同居している他世代との家計が一緒である傾向が示され,2.同居家族がいる場合には家庭内における役割が少なく,3.居宅から30分以上の距離圈における交流人数や,情報的サポート,外出援助に非閉じこもりと差異があることが確認された。以上から、閉じこもりの同居家族に対する情緒的依存傾向や,周囲との関係性が非閉じこもりと異なっていることが推察された。
著者
石 岩 谷村 厚子 品川 俊一郎 繁田 雅弘
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.82-89, 2013-09-25

本研究の目的は,日本における1995年1月から2010年3月までの文献をレビューし,在宅高齢者の主観的健康感に関連する要因の先行研究を整理・検討することにより,高齢者の主観的健康感の促進施策に資する知見および今後の研究の方向性を探索することである。文献から抽出した主観的健康感の関連要因をKJ法に準じて整理した結果,(1)医学的な心身機能,(2)身体機能の維持・促進習慣,(3)趣味・活動への参加,(4)社会的・人的環境,(5)人生観,(6)基本属性の6つのカテゴリーが生成された。高齢者の主観的健康感を高めるためには,医学的な心身機能を維持・改善するだけではなく,社会性を維持すること,ポジティブな考え方を持つことの重要性が示された。今後は,日本におけるライフスタイルや社会文化的背景を踏まえた研究が必要であると考えられる。