著者
若松 加寿江 先名 重樹 小澤 京子
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_43-1_62, 2017 (Released:2017-02-27)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

本論文は, 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の分布の特徴を俯瞰すると共に, 液状化の発生と地震動強さ, 微地形区分, 土地条件の関係について検討している.液状化の発生は, 東北・関東地方の1都12県193市区町村に及んだ.液状化の広がりを250mメッシュ単位でカウントすると合計で8680メッシュとなった.東北地方より関東地方の方が圧倒的に多く約12倍である.液状化発生地点は, 東京湾岸地域や利根川, 阿武隈川, 鳴瀬川などの規模が大きい河川の沿岸地域に集中していた.本震の震央から最も遠い液状化地点は, 神奈川県平塚市で震央距離約440kmである.地震動強さとの関係を調べた結果, 液状化メッシュの約95%が推定震度5強以上, 98%が140cm/s2以上, 99%が15cm/s以上の地域であった.震度5強以上の地域における微地形区分ごとの液状化発生率は, 埋立地, 砂丘, 旧河道・旧池沼, 砂州・砂礫州, 干拓地の順に高かった.東北地方と関東地方で液状化の発生率等に大きな差異が生じた理由を探るために, 液状化発生地点において「宅地の液状化可能性判定に係る技術指針」に示された二次判定手法により液状化被害の可能性の判定を行った.その結果, 関東地方の方が東北地方に比べて液状化被害を受けやすい地盤が多いことが分かった.
著者
若松 加寿江 先名 重樹
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.2_25-2_44, 2015 (Released:2015-05-25)
参考文献数
42
被引用文献数
7 10

本論文は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって関東地方に発生した液状化とその被害、および液状化地点の旧地形、微地形区分、造成履歴、液状化履歴などについて述べている。関東地方で液状化が確認された市区町村は、1都6県130市区町村に及んだ。液状化発生地点は、東京湾岸地域および霞ヶ浦沿岸、利根川とその支流の小貝川・鬼怒川、那珂川、久慈川、涸沼川、荒川などの大河川の沿岸に集中しており、土地の埋め立て・盛土造成、砂礫や砂鉄の採掘履歴、河道の変遷、洪水実績など、液状化の発生が土地の改変履歴や旧地形と関係が深いことが分かった。関東地方全域の計測震度5.0(震度5強)以上の地域において250mメッシュ毎に算出した微地形区分毎の液状化発生率は、埋立地で最も高く25.7%、次いで旧河道、三角州・海岸低地、干拓地、砂丘、砂州・砂礫州の順となった。東北地方で最も液状化発生率が高かった自然堤防と、関東地方の埋立地を比べると、関東地方の発生率の方が約4倍高くなっていた。
著者
松岡 昌志 若松 加寿江 藤本 一雄 翠川 三郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.794, pp.794_239-794_251, 2005 (Released:2006-05-19)
参考文献数
29
被引用文献数
28 9

日本全国の任意の地点での地盤特性を評価するために, 全国的にS波速度に関する調査資料が得られている約2000地点について, 深さ30mまでの地盤の平均S波速度 (AVS30) と微地形区分との関係を検討した. 微地形の判読は, 全国の微地形を統一基準で分類した「日本全国地形・地盤分類メッシュマップ」の分類に従い, 大縮尺の地形分類図を用いて目視判読により正確に行った. その結果, 微地形ごとのAVS30には地盤の形成過程や堆積環境に起因する違いが認められ, 標高, 傾斜, 古い時代に形成された山地・丘陵からの距離を説明変量とした回帰式によって, AVS30が比較的精度よく推定できることを示した. さらに, 日本全国地形・地盤分類メッシュマップを利用して, 広域でのAVS30分布図を作成した.
著者
山口 直也 山崎 文雄 若松 加寿江
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1237-1240, 1997 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
8

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震による西宮市の建物被害を, 固定資産課税データを用いて分析した. その結果, 建物被害は木造が他の構造に比べて被害程度が非常に大きく, どの構造においても建築年代が古くなるほど被害の程度が大きくなっており, 震度7の帯にあたる地域の建物の全壊率は高いことが確かめられた. また, デルタ地域では扇状地や後背湿地に比べて木造建物の被害率が低くなるなど, 建物被害には表層地盤が大きく関係していることが認められた.
著者
若松 加寿江 濱田 政則 野勢 辰也 犬塚 真一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.421-424, 1999 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

液状化による流動量を予測する式はいくつか提案されているが, 地表面勾配など専門家による測量が必要なパラメータが導入されており, 予測式の適用は必ずしも容易ではない. そこで, 本研究では1m以上の水平地盤変位を伴う側方流動が発生するか否かを簡便に判定するクライテリアを作成することを目的として, 1964年新潟地震の際の液状化発生地域における地盤条件の分析を行った. その結果, 1m以上の地盤変位は液状化層厚や液状化層の換算N値との相関が高く, 従来, 液状化発生の簡易判定に適用されてきたN値と深度 (有効上載圧) の関係や, 液状化層厚とその上部に存在する非液状化層厚の関係に基づく限界曲線のみから, 1m以上の地盤変位発生の有無を判別することは困難であることなどがわかった.
著者
若松 加寿江 先名 重樹
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.2_124-2_143, 2014 (Released:2014-05-23)
参考文献数
42
被引用文献数
2 1

本論文は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって東北地方に発生した液状化とその被害、および液状化地点の土地履歴、微地形区分について述べている。東北地方で液状化が確認された市区町村は、東北6県63市区町村に及んだ。最も液状化が多く発生したのは、宮城県、次いで福島県、岩手県である。青森県、秋田県、山形県でも局所的に液状化被害が起きた。液状化発生地点は、北上川、鳴瀬川、吉田川、江合川、阿武隈川などの大河川の沿岸に集中していた。東北地方は、関東地方に比べて埋立地が少なく、海岸部は津波で浸水したこともあり、埋立地で確認された液状化は少なかった。仙台市では丘陵地帯の造成宅地の谷埋め盛土部分での液状化被害も多かった。宮城県の大崎平野には池沼の干拓地が多く存在するが、これらの旧池沼には液状化の発生は確認されなかった。
著者
古藤田 喜久雄 若松 加寿江
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.p19-24,図巻頭2p, 1988-12
被引用文献数
3