著者
山口 直也
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.95-111, 1994

This note describes the background and concept of the Teen Court which is one of the diversion programs in American Juvenile Justice Systems, analyzes its meanings and functions and clarifies some problems of it. In 1983, the first Teen Court was established in Odessa, Texas, with the proposal of Prof. Rothstein. The aim of it is to turn peer pressure and peer power from something that has always had a very negative influence to something very positive. With the success of declining recidivism rates of juveniles who were referred to Teen Courts, the Courts were appraised by many communities and have widespread all over the U.S.A. This note, however, clarifies some problems of Teen Court. First of all, there is disagreement about the estimation of the decline of recidivism rates. Therefore, we can not conclude that Teen Court program is useful. Secondly, Teen Court does not deal with serious delinquents in a meaningful way. We must treat both felony and misdemeanor juveniles similarly in the Juvenile Justice Systems. Finally, teen juries tend to be tougher on juveniles that formal court judges. Juveniles who are referred to Teen Courts are forced to be exposed to tougher sentences than first-time juveniles and adult offenders dealt with in formal courts. We must overcome this problem of inequality.
著者
山口 直也 山崎 文雄 若松 加寿江
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1237-1240, 1997 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
8

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震による西宮市の建物被害を, 固定資産課税データを用いて分析した. その結果, 建物被害は木造が他の構造に比べて被害程度が非常に大きく, どの構造においても建築年代が古くなるほど被害の程度が大きくなっており, 震度7の帯にあたる地域の建物の全壊率は高いことが確かめられた. また, デルタ地域では扇状地や後背湿地に比べて木造建物の被害率が低くなるなど, 建物被害には表層地盤が大きく関係していることが認められた.
著者
山口 直也
出版者
中小企業会計学会
雑誌
中小企業会計研究 (ISSN:2189650X)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.4, pp.34-46, 2018 (Released:2020-10-05)

本論文は,調査対象を限定することによる研究成果の限界を認識しつつ,新潟県燕三条地 域,東京都大田区,大阪府東大阪地域の3 つの産業集積地域を対象として実施した郵送質問票調査に基 づき,これら原価計算・原価管理実践の現状を解明することを目的としている。 分析の結果,回答企業の多くが原価計算,原価管理を導入していることがわかった。ただ,「製造原 価の引き下げ」や「全社レベルのコスト低減」を経営課題として挙げているにも関わらず,原価計算, 原価管理を導入していない企業も相当数存在した。 原価計算の導入状況について,予算の導入状況との関係性を分析したところ,統計的に有意差がみら れた。全社レベルの予算だけでなく,事業単位,製品・サービス単位,部署単位といった部分レベルで の予算も導入している企業は,財務諸表作成目的の原価計算に加え,製品・サービス単位での原価計算 も導入している企業が多かった。 原価管理の導入状況について,原価計算の導入状況との関係性を分析したところ,統計的に有意差が みられた。製品・サービス単位で原価管理を行っている企業は,財務諸表作成目的の原価計算に加え, 製品・サービス単位での原価計算も導入している企業が多く,原価管理を行っていない企業は,財務諸 表作成目的のみの原価計算を行っている企業が多かった。
著者
山口 直也
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.94-112, 2014-08-30 (Released:2020-11-05)
著者
赤池 一将 福田 雅章 山口 直也 三島 聡 徳永 光 本庄 武
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究は、大別して、海外における民営刑務所についての調査・検討と、日本国内において進行していたPFI刑務所(2005年春以降、4施設が開設またはその準備の状況にあった)についての調査・検討とから構成された。上記の研究代表者、分担者の他に、岡田悦典(南山大学教授)、笹倉香奈(甲南大学専任講師)、萩原聡央(名古屋経済大学専任講師)、前者については、2005年度に、アメリカ合衆国、オーストラリア、イギリス、2006年度に、イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国、フランス、2007年度に、フランスにおいて現地における施設参観、関係者に対する面接調査等を行った。また、後者については、2005年度に、市場化テストモデル事業の実施された宮城刑務所、2006年度に、建設中の美祢社会復帰促進センター、2007年度に、開設後の美祢社会復帰促進センター、播磨社会復帰促進センター、を参観したほか、日本におけるPFI刑務所計画を推進してきた法務省担当者、参入企業担当者、施設受入れを決定した自治体関係者に対する面接調査を重ね、また、座談会を開催した。3年間の研究期間中に、30回を超える研究会を実施し、論文22件(内、雑誌における刑務所民営化関連特集掲載6件、関連紹介論文11件、関連単行本収録論文3件)、書籍1件(論文9件、座談会記録1件)、学会報告3件(主催国際シンポジウム1件を含む)の成果をあげた。また、2008年度刑法学会大会における分科会(刑務所への民間参入の意義と課題)での報告が予定されている。
著者
水谷 規男 山口 直也 上田 信太郎 岡田 悦典 京 明 緑 大輔 笹倉 香奈
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、刑事法研究者及び実務家からの聞き取り調査をアメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツ等の国々について行い、司法取引制度ないしそれに類似する実務が英米法系の国々においてだけでなく、従来は取引に否定的であると考えられてきた大陸法系の国々においても、司法の効率化のために存在していることを明らかにした。これに対して、我が国で導入が検討されている刑事免責制度や捜査・公判協力型協議・合意制度は、訴追側と弁護側の取引を容認するものであるものの、司法の効率化よりも供述の獲得にウエイトがある点に特徴があることを明らかにした。
著者
山口 直也
出版者
山梨学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、普遍的に採択されて国際人権基準として重要な意味を持っている「国連子どもの権利条約」(=子どもの人権論)の観点から少年司法手続におけるデュー・プロセスの保障を明らかにした。まず、デュー・プロセスの保障を検討する前提作業として、子どもの人権が、憲法上および国際人権法上、どのような意味を有しているのかを分析した。その結果、子どもは大人とは違って精神的にも肉体的にも成長発達の途上にあるということは誰もが認める疑いのない事実であり、その子どもが、人間として、個人として尊重されるということを当然の前提として、子どもが未成熟な子どもとして尊重され、成長発達していく権利(=子どもの成長発達権)を固有に保障されていることを明らかにした。そのうえで、そのような子どもの成長発達権を根拠にした少年司法におけるデュー・プロセスの保障の目的は、権利条約が成立した今日的状況に鑑みると、人間としてかつ子どもとしての尊厳を認める形で扱われることで、自己の人間としての成長を成し遂げて、将来、社会の中で建設的な役割を担うことができるようにすることにある。そしてその方式は、あらゆる段階での子どもの主体的な手続参加を確保して、自由に意見を述べることができる環境を提供すると同時に、流山最高裁決定で団藤補足意見が指摘したように、子ども自身が手続に参加したことで納得できるものでなければならないということを明らかにした。最終的に本研究では、子どもの成長発達権の観点から見た少年司法手続における適正手続の保障が重要であると結論づけている。特に、少年が、自分のために援助をしてくれる弁護人(=付添人)および親・保護者との健全な人間関係(=成長発達権を否定しない人間関係)の中においてこそ、少年自らの司法手続参加および意見表明が可能になると主張した。そしてその手続参加(=意見表明)は、権利保障および権利放棄における自己決定を認める「小さな大人」論を認めるものではなく、関係論的子どもの成長発達権に支えられたものであることを明らかにした。