著者
菊池 節子 鍬野 信子 佐原 昊 近藤 榮昭
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.337-340, 1987-12-20

会津の郷土料理、つと豆腐について、市販豆腐の包装方法と同様に包装し、5℃±5℃の冷蔵庫で保存してその保存性について検討を加えた。その結果、次のような知見を得た。1. 官能検査の結果、保存5日目に品質の劣化が認められた。2. つと豆腐の色は、保存により次第に黄味を帯びる傾向にあったが、品質劣化には大きな影響を与える因子とは考えられなかった。3. 食感は、官能検査結果では4日目から有意な差が認められたが、カードメーターによる硬さにおいて、差は認められなかった。4. つと豆腐浸漬液の吸光度は、日数の経過とともに大きな値を示し、日持ちの判定の一つの指標になるものと思われた。5. pHは、保存にともない低下する傾向を示した。
著者
菊池 節子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.251-260, 1985

福島県を会津, 県北, 県南, 浜通りの4地区に分け, それぞれの中心都市の小・中学生を対象に豆腐摂取の実態を把握する目的で調査を行った。内容は, 小・中学生には豆腐の嗜好について, その家庭の調理担当者には豆腐料理, 喫食の理由ならびに頻度および購入方法などについて調査を行った。結果は次のとおりである。<br>1) 豆腐の嗜好は, 好きが, 小学生66.9%, 中学生38.0%, ふつうが, 小学生27.8%, 中学生53.4%, 嫌いが, 小学生5.3%, 中学生8.6%であり, 小学生に好きと答えた人が多く, 小・中学生間に危険率1%で有意差がみられた。小・中学生の好きな豆腐料理は, 味噌汁, 麻婆豆腐, 冷奴, 湯豆腐などである。<br>2) 調理担当者の作る豆腐料理は, 味噌汁, 湯豆腐, 冷奴, 麻婆豆腐で約85%を占め, 炒り豆腐, 煮物, 白和え, 揚げ出し豆腐は, それぞれ6%以下であった。<br>3) 豆腐喫食の理由は, 栄養があるが約50%を占め, 豆腐は栄養的にすぐれた食品であると認識されていることがわかった。次いでおいしい, 好き, 調理が簡単, 経済的などの理由があげられた。<br>4) 豆腐料理の喫食頻度は, 小学生の家庭では, 週2回27.6%, 週3回25.6%, 中学生の家庭では, 週2回29.9%, 週3回27.1%で, 平均すると週2.9回であった。<br>5) 豆腐の種類別嗜好は, 地区平均では, 木綿豆腐59.6%, 絹ごし豆腐39.2%であった。しかし会津地区では, 木綿豆腐26.6%, 絹ごし豆腐68.8%で, 他地区との間に危険率1%で有意差がみられた。その他県北と県南, 県南と浜通り間にも危険率1%で有意差がみられた。<br>6) 豆腐の購入先はいずれの地区でもスーパーマーケットからの購入がほとんどで, 豆腐屋からの購入は少ない。また購入店の指定については, いずれの地区も指定していない家庭が多い。<br>7) 現在の豆腐に対する要望は, 固さ, 大きさ, 形, 包装について, 今のままでよいが約80%であったが, 固さにおいてもっと固く, 形において料理別にほしいという要望があった。
著者
菊池 節子 鍬野 信子 佐原 昊 近藤 榮昭
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.337-340, 1987

We discussed about preservative properties of Tsuto-Dofu, the local dish in Aizu. Tsuto-Dofu was preserved at 5± 5°C in electric refrigerator. The quality of Tsuto-Dofu was evaluated by sensory test and instrumental analysis.<BR>The results obtained were as follows:<BR>1. The deterioration of Tsuto-Dofu was recognized by sensory test at the fourth day in the preservation.<BR>2. The color of Tsuto-Dofu became yellowish in the preservastion but this phenomenon didn't have influence on the quality judged by the sensory test.<BR>3. Significant difference of texture was recognized by the sensory test at fourth day but there is no significant difference in the hardness determined by curd-meter. Seemingly this came from that sensory evaluation of texture involved not hardness but the other factors.<BR>4. The absorbance of water, in which Tsuto-Dofu was soaked for the preservation, increased with the lapse of time, while the pH decreased on the contrary. From these results, it seems that the values of absorbance and pH are usefull as indices of deterioration.
著者
阿部 優子 石川 雅子 会田 久仁子 小林 睦子 菊池 節子 半澤 明子 角野 猛 石村 由美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153, 2005

<BR>目的 福島県は地理的環境などから山間部の会津地方、平野部の中通り地方、海岸部の浜通り地方の3地域に区分される。これらの地域は気候風土が異なり、それぞれの食生活にも強い地域性が存在することが知られている。しかし、近年の高速交通網の発達、人的交流などによって、その地域性も解消しつつあることも考えられる。本調査は、近年の福島県内の食生活、食文化の地域性を魚介類の種類とその調理方法において、調査・考察することを目的として実施し、先に会津地方の魚介類調査結果について報告した。今回、いわき市での食生活の特徴、魚介類の調理・加工の特徴、更に、本地方独特の魚介類の料理・加工方法などの調査結果を報告する。<BR>方法 平成15年2_から_3月にアンケート調査及び聞き取り調査を併行して行なった。調査は福島県いわき市内に10年以上居住している18世帯で、調査対象者は各世帯の主たる調理担当者に対して行った。<BR>結果 いわき市は太平洋に面した地域で、小名浜漁港をはじめとして、多くの漁港が存在し、日々多種類の魚が水揚げされている。従って、日常食としては、多種の魚介類が刺身、煮魚、焼き魚などで食されていた。また、大量に水揚げされた魚介類は塩漬け、干物、みりん干しなどに加工して販売されており、各家庭において保存食として日常的に用いられていた。行事食としては正月・祭事時に「鮟鱇鍋」、「鯛の塩焼き」「喜知次の煮付け」などが食されていた。また、土用の丑の日に「鰻の蒲焼き」が食されていた。本地方独特の料理・加工法として、「秋刀魚のぽうぽう焼き」、「秋刀魚鍋」、「秋刀魚のみりん干し」、「秋刀魚のなめろう」、「鮟鱇鍋(鮟鱇のどぶ汁)」、「鮟鱇の供酢」、「どんこ汁」、「メヒカリの天ぷら」などが食されていることがわかった。なお、本地域では一世帯あたり年間平均42種類の魚介類を食し、平均78種類の魚介類調理法が存在した。