著者
高橋 幸利 藤原 建樹 西村 成子 藤原 建樹 西村 成子 角替 央野 久保田 裕子 今井 克美 重松 秀夫 下村 次郎 池田 浩子 大谷 英之 山崎 悦子 大谷 早苗 高橋 宏佳 美根 潤 池上 真理子 向田 壮一 高山 留美子
出版者
独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

脳炎は感冒などの後に発病し後遺症を残す病気で、病態解明と治療法の開発が重要である。非ヘルペス性急性辺縁系脳炎では、グルタミン酸受容体(GluR)のひとつであるGluRε2分子の幅広い領域を抗原とする抗体が産生されていて、感染ウィルスに対する抗体がGluRε2に交差反応しているのではないことが分かった。ラスムッセン脳炎では抗GluRε2 抗体を含む髄液IgGがアポトーシスを誘導している可能性が示唆された。
著者
高橋 宏佳 高橋 幸利 美根 潤 向田 壮一 池上 真理子 池田 浩子 大谷 英之 下村 次郎 久保田 裕子 藤原 建樹
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.273-276, 2010-07-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

 Dravet症候群に対するtopiramate (TPM) の治療効果を検討した. Dravet症候群と診断された11症例 (7.1±6.2歳) を対象とし, 投与前2カ月と投与後2カ月, 投与後6カ月目を含む2カ月間の発作回数を比較した. けいれん発作に対する投与後2カ月での評価は, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が6例, 50%未満~無効が3例, 悪化が1例であった. 服用を6カ月間続けたのは10例で, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が7例, 50%未満~無効が2例, 悪化が0例であった. TPMはDravet症候群のけいれん発作抑制に有効と思われた.
著者
高橋 幸利 山崎 悦子 西村 成子 角替 央野 丹羽 憲司 Josep Dalmau 今井 克美 藤原 建樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.926-929, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
8
被引用文献数
7 6

非傍腫瘍性非ヘルペス性急性辺縁系脳炎・脳症(NPNHALE)(成人69例+小児26例)と,卵巣奇形腫を合併する脳炎・脳症症例(NHAE-OT)(19例)を比較検討した.NHAE-OTの臨床特徴は,発病年齢,先行因子から脳炎発病までの日数,初発神経症状,急性期神経症状,髄液所見などの点で,成人のNPNHALEときわめてよく似ていることがわかり,卵巣奇形腫に合併する脳炎・脳症は,急性辺縁系脳炎の特徴を示すことがわかった.抗GluRε2抗体についても,共通性がみられ,両群とも高率に,NMDA型GluRのうちのGluRε2(NR2B)の細胞外ドメイン(N末)をエピトープとする自己抗体を有していた.
著者
高橋 宏佳 今井 克美 高山 留美子 美根 潤 大谷 早苗 池田 浩子 久保田 裕子 高橋 幸利 井上 有史 藤原 建樹
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.305-308, 2011-07-01

乳児期に発症した難治性のてんかんに対して緩和ケトン食が著効した1例を経験した. 生後8カ月からてんかん性スパズムが出現し, 一時ACTH療法にて発作は消失したが, 1歳1カ月時に部分発作で再発し, 2歳以後は部分発作とスパズムの複合発作となり, 種々の抗てんかん薬に抵抗性であった. 2歳6カ月時に絶食期間をおかず, カロリー制限・水分制限をせず, MCTオイルを使用した緩和ケトン食を開始し, 20日目に発作消失かつ脳波も著明改善した. 従来の古典的ケトン食を緩和した緩和ケトン食療法は副作用が少なく継続しやすいため, 難治性のてんかんにおいて試してみる価値のある治療法であり, わが国においても再評価されるべきである.