著者
藤川 佳則 阿久津 聡 小野 譲司
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.38-52, 2012-12-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
48
被引用文献数
6

本論文は,サービス研究における「サービス・ドミナント・ロジック」の視点から,企業と顧客が共に価値創造に加わる「価値共創」プロセスについて論考する.既存研究の「単純,リニア,事前計画的」なプロセスと,我々の定性調査の初期知見が示唆する「複雑,ダイナミック,事後創発的」なプロセスを対比し,「アフォーダンス」,「コンテクスト」,「カルチャー」をキーワードとしたダイナミックモデルの構築への試論を展開する.
著者
藤川 佳則 小野 譲司
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.72-92, 2014-01-15 (Released:2020-11-13)
参考文献数
17

本論文の目的は,「サービス事業」を企業と顧客が共に価値創造を担う価値共創活動としてとらえ,その「グローバル化」を価値共創に関する知識の国際移転プロセスとして焦点をあて,その実際をフィールド調査を通じて明らかにすることにある。本研究は,世界48か国・地域(2013年3月現在)において教育事業を展開する株式会社公文教育研究会との共同研究に基づく定量調査(世界6か国・地域の指導者対象のサーベイ調査)と定性調査(日本本社,地域本社社長および関連部署責任者,担当者対象のインタビュー調査)によって構成される。定量調査は,国際知識移転の主体である人間(公文の場合,指導者)に焦点をあて,文化変数(高コンテクスト文化,低コンテクスト文化),能力変数(指導者の脱コンテクスト化能力,再コンテクスト化能力),行動変数(指導者の発信行動や受信行動),および,結果変数(指導者が運営する教室の業績評価)との関連性,を明らかにする。また,定性調査は,国際知識移転の対象である知識(公文の場合,指導方法)に焦点をあて,新しい知識が生成される背景や伝播される経緯について,事例を通じて明らかにする。
著者
小川 孔輔 照井 伸彦 南 知惠子 余田 拓郎 小野 譲司 藤川 佳則 酒井 麻衣子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは、米国版顧客満足度指数(ACSI)の理論モデルを参考に、日本版(JCSI)を完成させた。JCSIの開発完了後、日本の30業種約300社のサービス業に適用されている(2010年から商用開始)。蓄積データを用いて、研究メンバーは、各自の関心に従い理論・応用研究を推進してきた。研究成果としては、顧客感動・失望指数の開発、推定法の工夫、スイッチング・バリアへの影響、CS優良企業の事例研究等を挙げることができる。
著者
藤川 佳則 今井 紀夫 近藤 公彦 大川 英恵 堀内 健后
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.44-56, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
22

本論文の目的は,デジタル・トランスフォーメーション(DX)のダイナミック・プロセスモデル(Fujikawa, Kondo, & Imai, 2022)が捉えようとするDXの動的過程について,事例分析を通じて詳述することにある。Fujikawa et al.(2022)が提唱する概念モデルは,プラットフォームの有無とステークホルダーの広狭の2つの次元を組み合わせた4つの象限(段階)からなり,特定の段階から別の段階への移行(パス)を動態的に記述する。本論文は,この概念モデルを用い,理論的サンプリングの手法に基づき,「DXの発展段階を異なる移行過程(パス)を通じて経時的変化を遂げた事例」として選択した4事例(アスクル,パイオニア,コマツ,日本交通)を分析する。新たな発見をもたらす事例,ならびに,経時的な変化を扱う縦断的事例としての事例分析から得た新たな知見や論理を概念モデルに反映する可能性について議論する。
著者
西山 浩平 藤川 佳則
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.45-62, 2016-01-08 (Released:2020-04-28)
参考文献数
32

本論文は,クラウドソーシングやクラウドファンディングなどの技術を通じて,数多くの顧客がこれまでにない規模で価値共創に参画するプラットフォーム型のサービス・イノベーションの普及過程に焦点をあてる。企業でも顧客でもない,社会を構成する他者による反発がサービス・イノベーションの社会受容を阻む際,プラットフォームの運営管理に関する権限を持つ「レギュレーター」が果たす役割について議論する。理論上の貢献としては,従来のサービス研究における価値共創の議論,イノベーション研究におけるユーザー・イノベーションの知見に,規制科学(レギュラトリー・サイエンス)の視点を取り入れた,価値共創の「アクター・モデル」を提案する。また,実務上の知見として,レゴを通じた価値共創プラットフォーム「LEGO CUUSOO」の事例研究から,「第一のアクター」である企業,「第二のアクター」である顧客,「第三のアクター」であるレギュレーターの役割に関する仮説創造型の議論を展開する。