- 著者
-
藤川 佳則
小野 譲司
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.3, pp.72-92, 2014-01-15 (Released:2020-11-13)
- 参考文献数
- 17
本論文の目的は,「サービス事業」を企業と顧客が共に価値創造を担う価値共創活動としてとらえ,その「グローバル化」を価値共創に関する知識の国際移転プロセスとして焦点をあて,その実際をフィールド調査を通じて明らかにすることにある。本研究は,世界48か国・地域(2013年3月現在)において教育事業を展開する株式会社公文教育研究会との共同研究に基づく定量調査(世界6か国・地域の指導者対象のサーベイ調査)と定性調査(日本本社,地域本社社長および関連部署責任者,担当者対象のインタビュー調査)によって構成される。定量調査は,国際知識移転の主体である人間(公文の場合,指導者)に焦点をあて,文化変数(高コンテクスト文化,低コンテクスト文化),能力変数(指導者の脱コンテクスト化能力,再コンテクスト化能力),行動変数(指導者の発信行動や受信行動),および,結果変数(指導者が運営する教室の業績評価)との関連性,を明らかにする。また,定性調査は,国際知識移転の対象である知識(公文の場合,指導方法)に焦点をあて,新しい知識が生成される背景や伝播される経緯について,事例を通じて明らかにする。