著者
白鳥 義彦 岡山 茂 大前 敦巳 中村 征樹 藤本 一勇 隠岐 さや香 上垣 豊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題として設定した、①「大衆化」と「卓越化」との二律背反の相克、②高等教育の「自由化」政策の影響、③リベラル・アーツと教養教育、という3つのテーマを軸に日仏両国の比較研究を進めた。日本およびフランスのいずれの国においても、さまざまな「改革」の動きの一方で、ともすれば見過ごされているようにも見受けられるのは、「改革」を通じてどのような高等教育を目指すのか、あるいはまた、その新たな高等教育を通じてどのような社会を目指すのか、といった本質的、理念的な問いである。研究代表者および研究分担者は、こうした根本的な問いを共有しながら、それぞれの具体的な研究テーマに取り組んで研究を進めた。
著者
藤本 一勇
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脱構築思想を普及させたフランスの哲学者ジャック・デリダ(1930-2004)の基礎概念である「差延」は、伝統的な哲学における時間と空間の概念を変形し、両者が一体となり循環しあう関係を示す戦略素である。この概念を軸に、言語記号、テクスト、経験、情報、テクノロジー、政治権力など広範なデリダの思想を整理・読解し、彼の多様な思考の根底を「差延」というモチーフが貫いていることを明らかにした。その結果、初期の理論的段階、中期の文学的段階、後期の政治・倫理的段階を、表面的な変化にとらわれず、一貫したものとして把握することが可能となり、翻って同時代の多様な環境との相関関係を理解することを可能にした。
著者
藤本 一勇
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『存在と出来事』と『世界の諸論理』を研究対象とし、両者の連続性と差異を研究した。『存在と出来事』では数学的存在論の領域に議論が限定されており、たとえその限定作業が後の拡張に必要不可欠なものだったとはいえ、バディウの究極目標である主体化や出来事性にまでは届いていなかった。世界における出来事と主体化の論理を展開する『世界の諸論理』こそ、バディウが真に目指していた地点だということを解明した。