著者
早川 由紀夫 藤根 久 伊藤 茂 Lomtatize ZAUR 尾嵜 大真 小林 紘一 中村 賢太郎 黒沼 保子 宮島 宏 竹之内 耕
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.536-546, 2011-06-25 (Released:2011-09-06)
参考文献数
11

Two wood trunks, one charred and 75 years old and the other not charred and more than 199 years old, were collected from Hayakawa ignimbrite of Niigata Yakeyama Volcano. They were investigated using the radiocarbon wiggle-matching method to determine the age of the eruption. The result was 1225-1244 cal AD (95.4%), which is over 200 years younger than previous estimates. The eruption, including the Hayakawa ignimbrite, was the largest during the volcano's life period of 3000 years. Co-ignimbrite fallout KGc ash has been found at many archaeological sites spreading on the eastern flanks of Myoko Volcano and the Takada Plain. The age obtained here will provide a useful time constraint for archaeologists and volcanologists studying this area.
著者
早川 由紀夫 中村 賢太郎 藤根 久 中村 賢太郎 ナカムラ ケンタロウ Nakamura Kentaro 藤根 久 フジネ ヒサシ Fujine Hisashi 伊藤 茂 イトウ シゲル Ito Shigeru 廣田 正史 ヒロタ マサシ Hirota Masashi 小林 紘一 コバヤシ コウイチ Kobayashi Koichi
出版者
群馬大学教育学部
雑誌
群馬大学教育学部紀要. 自然科学編 = Science reports of the Faculty of Education, Gunma University (ISSN:00175668)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.35-39, 2015

Radiocarbon wiggle matching method was applied for precise dating of a tephra which was designated asone of the important key beds for archaeology. The FA tephra is a pyroclastic deposit from the Shibukawaeruption of Haruna Volcano during the Kofun period of Japan. The age of FA has been investigated usingarchaeological remains and also historical records of Japan and China. It has been estimated roughly as early6th century. Three tumbled logs were found being buried in the tephra whose thickness was about 4 m. Thelogs were cut in many groups with five tree rings and every two groups were sampled for C measurement. Asthese trees were thought to have the same age from the occurrence,all data were used for wiggle matchinganalysis. The age of the outermost tree ring group is determined as AD 491-500(AD 497/+3/-6).
著者
藤根 久 小坂 和夫
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.55-62, 1997-02-28 (Released:2009-08-21)
参考文献数
42

生駒山地西麓地域(東大阪市河内地域)から産出する縄文時代後期および晩期の土器の中には,その胎土が暗褐色~茶褐色を呈し,角閃石類を多量に含むという特徴を有する土器群があることが知られている.これらの特徴を有する土器は,“河内の土器”と一般的に呼称されており,他地域の土器とはもちろん,この地域のほかの土器とも容易に識別される.これらの土器について,土器薄片を作成し,偏光顕微鏡下において観察と記載とを行った.その結果,(1)これらの胎土中の粒子の大きさ分布は5μmから250μmの範囲で,破砕物が一般的に示すフラクタル性(スケーリング則)を有すること,(2)粘土の質・量とも断層内物質の一般的特徴を有すること,(3)粘土は一般的に用いられていたものとは異なり,接着性が非常に高い特異なものであることが明らかになった.さらに,鉱物・岩石片からなる粒子には,破片状の尖った外形を呈するものが多く,断層岩に特徴的な粒内微小断層や微角礫状組織あるいはカタクラサイト状組織を呈するものもあり,顕著な不連続的波動消光や双晶面のたわみ・キングバンドや機械的双晶という変形岩・断層岩を特徴付ける組織が多いこと,が明らかになった.以上のような土器胎土の特徴から,その材料として断層内物質が用いられた可能性がきわめて大きいと考えられ,胎土材料としてほかの材料を考えることは困難である.その産地としては,岩石学的・地質学的特徴から生駒山地西縁を南北に走る生駒断層の破砕帯が最も可能性が高いものとしてあげられる.
著者
藤根 久 遠藤 邦彦 鈴木 正章 吉本 充宏 鈴木 茂 中村 賢太郎 伊藤 茂 山形 秀樹 Lomtatidze Zaur 横田 彰宏 千葉 達朗 小杉 康
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.253-270, 2016-12-01 (Released:2017-01-12)
参考文献数
46
被引用文献数
3

有珠火山の南麓には善光寺岩屑なだれ堆積物(Zd)が多数の流れ山をなして分布する.Zdは従来,9kaから6kaに発生した有珠山外輪山の崩壊によるとされてきた.海岸の近くの岩屑なだれの流れ山に囲まれた標高約4.5mの低地においてボーリングコアを2本採取し,その層序,年代,堆積環境,植生変遷を検討した.両コアはほぼ岩相が同様で,標高+2~-6mにわたり連続的に泥炭層および有機質シルト・粘土層が見られた.AMS法による14C年代測定の結果,最下部の有機質シルト・粘土層から20calkaBP頃の年代が得られた.泥炭層下部には15calkaBP頃に濁川カルデラから飛来した濁川テフラ(Ng)が,泥炭層中部には駒ヶ岳から6.6calkaBPに飛来した駒ヶ岳gテフラ(Ko-g)が,同上部には白頭山苫小牧火山灰(B-Tm)などのテフラが認められた.コアの基底には洞爺火砕流堆積物(Toya(pfl))と同質の軽石に富む軽石質火山灰層が捉えられた.珪藻化石は,20~10calkaBPに湖沼~沼沢湿地が継続し,10calkaBP頃に沼沢湿地に移行し,以後0.4calkaBPまで継続したことを示し,先行研究で明らかにされている最終氷期から完新世にかけての北海道の植生変遷と矛盾しない.花粉化石は,20~15calkaBPに亜寒帯性針葉樹林が卓越し,15calkaBP頃からカバノキ属が増大する移行期を挟み,10calkaBP頃に温帯落葉広葉樹林へと推移したことを示した.以上から,2本のコアの泥炭層および有機質シルト・粘土層は,Zdの岩屑なだれで閉塞された凹地に形成された湖沼~沼沢湿地の堆積物で,岩屑なだれの発生は20calkaBPのLGM(最終氷期最寒冷期)の頃である可能性が極めて強い.また,有珠外輪山の活動は20calkaBPより以前に始まって山体を形成していたことになる.