著者
中西 英之 吉田 力 西村 俊和 石田 亨
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1356-1364, 1998-05-15
参考文献数
18
被引用文献数
19

FreeWalkは休憩時間の雑談のような非形式的なコミュニケーションを支援する電子会合システムである.FreeWalkはだれもが互いに出会い,実世界と同じように振る舞うことのできる3次元仮想空間を提供する.会合の参加者は自分のカメラ画像が張りつけられた3次元物体として表され,位置と向きを持つ.参加者は空間内を自由に動き回ることができる.参加者の音声は,その音量が互いの距離に反比例して聞こえる.話したい参加者同士が互いに近づいて会話グループを構成するので,混乱することなく多くの人々が会合に参加することができる.FreeWalkのシステムは位置関係のみを管理するコミュニティサーバと各参加者に対応するクライアントからなる.カメラ画像や音声はクライアント同士の間で必要に応じて送受信される.FreeWalkの使用実験を研究室内に加え,大学間や海外を含む多地点間で行い,動作性能の評価を行った.FreeWalk is a desktop meeting system to support informal communication just like chatting at a coffee break.FreeWalk provides a three dimentional virtual space where everybody can meet and can behave just as they do in real life.Each participant is represented as a three dimentional object on which his/her live video is mapped,and has a location and a view direction.He/she can move and turn freely in this space.Voice volume is inversely proportional to the distance between sender and receiver.A participant approaches others and form a meeting organization in order to talk to them and so that many participants can talk without confusion.The FreeWalk system consists of a community server and clients.A community server controls information about locations and view directions.Live video and voice data are transferred between clients on demand.We held meetings experimentally with using FreeWalk in various environments to evaluate operational performance.
著者
西村 俊和 古村 隆明 八槇 博史 石田 亨
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1463-1471, 1998-05-15
参考文献数
12
被引用文献数
4

現在のモバイルコンピューティングの使われ方は電子メールやFAXの送信という1対1通信が中心である.本論文では,コミュニティ形成の状況を可視化し,コミュニティ全体で共有しうる情報を人々に適切にフィードバックすることを目的とする.コミュニティの構成員間の通信の状況を携帯端末上で可視化するCommunity Viewerを提案する.可視化の枠組みとして,(1)コミュニティの活動の場を仮想的に表すパーティルームメタファと,(2)プライバシーを守りながらも各人の活動を反映して表示するリフレクタアイコンを導入する.人々の静的な関係,あるいは動的な活動がこのパーティルーム上のリフレクタアイコンの動きとして表現される.初めての試みとして,実際にこのシステムを100台の携帯端末に搭載し,国際会議の会場で使用実用実験を行ったので,その結果について報告する.Mobile computing has been mainly utilized for point-to-point communication services,such as E-mail or FAX among people.To advance this field,the challenge is to encourage group communication by providing information that encourages community formation.As the first step towards this goal,we experimentally implemented the Community Viewer,which dynamically visualizes the communication interaction among people in the community.To design the Community Viewer,we introduced (1) the party room metaphor,which provides a virtual place for representing various community activities,and (2) the reflector icon,which reflects the activity of the corresponding individual while protecting his/her privacy.The static relationship among people and their dynamic activities are displayed in the spatial arrangement of reflector icons in the party room.We report our experiments on implementing and testing the community viewer in an international conference using 100 personal assistants.
著者
石田 亨 西村 俊和 八槇 博史 後藤 忠広 西部 喜康 和氣 弘明 森原 一郎 服部 文夫 西田 豊明 武田 英明 沢田 篤史 前田晴美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2855-2865, 1998-10-15

本論文では,国際会議におけるモバイルコンピューティング実験の報告を行い,その役割と効果について分析する.約100台の携帯電話付き携帯端末を用いて,実際の国際会議の参加者に通信/情報サービスを提供し,その際得られたログデータを解析した.ログデータのみでは十分知ることのできないユーザの使用感などは,事後アンケートにより調査した.以下の使用状況が観察されている.(a)ユーザは会議場ばかりではなく,会議後ホテルの部屋へ戻ってからも携帯端末を利用した.携帯端末は通常のデスクトップ型端末と比べて頻繁に使われ,かつ1回の使用時間は短かった.(b)情報サービスは,会議の進行を反映して利用にピークが現れるが,電子メールサービスは会議の進行にかかわらず定常的に利用された.
著者
中西 英之 吉田 力 西村 俊和 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.97, no.14, pp.35-42, 1997-04-22

FreeWalkは休憩時間の雑談のようなカジュアルな会議を支援するデスクトップ会議システムである.FreeWalkは誰もが互いに出会い,実世界と同じように振舞うことができる3次元共有空間を提供する.参加者は自分のカメラ画像が張りつけられた,3次元ポリゴンからなる四角錐として表され,位置と向きを持つ.参加者は自由に移動し,向きを変えることができる.参加者の音声は,その音量が互いの距離に反比例して聞こえ,多くの参加者が混乱することなく会話することができる.使用実験では,会話中の他の参加者に遠くから近づいて会話を盗み聞きするなど,様々な行動がみられた.