- 著者
-
浦上 克哉
谷口 美也子
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.11, pp.841-844, 2009 (Released:2009-12-28)
- 参考文献数
- 16
アルツハイマー型認知症(AD)は"ありふれた疾患"と位置づけられている.現在ADの根本治療薬の開発が急速な勢いで進展中であり,ADの早期診断マーカーの開発が期待されている.本稿では,ADの早期診断マーカー研究の現状と展望を述べる.ADの早期診断マーカーの役割として2つあると考えられる.より確定診断に役立つもの,スクリーニングに役立つもの2つである.より確定診断に役立つバイオマーカーとして単独では,髄液中リン酸化タウ蛋白の測定がもっとも信頼性が高いと考えられる.スクリーニング検査としてはタッチパネル式コンピューターをもちいた認知症の簡易スクリーニング検査法(物忘れ相談プログラム,日本光電社製)が有用と考えられる.ADの早期診断マーカーの今後の展望として血液で測定可能なものが期待される.われわれのグループはWGA結合トランスフェリンを血液中で測定し,ADとコントロール間で有意差をみとめ,さらにアミロイドβ蛋白より先行する変化であることをみとめた.今後,血液中のバイオマーカーとして期待される.