著者
谷村 真
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1-20, 2012-07-31 (Released:2014-09-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

In the Philippines, lack of fiscal discipline has been a major factor behind the nation’s macroeconomic instability. Since the mid-1980s, in particular, expanding fiscal as well as current account deficit has fuelled concerns over external debt sustainability, and has thus made the Philippines dependent on an International Monetary Fund program and Paris Club debt rescheduling.However, the fiscal consolidation policy initiated by President Arroyo’s administration, aimed at restoring macroeconomic stability, has resulted in significant improvements in fiscal balance and a marked decrease in public sector debt. Improvements in the Philippines’ fiscal position have contributed to containing the impact of the global financial crisis on the nation’s economy, while creating fiscal space for stimulus policy measures to counter the global recession.Yet, to date, fiscal consolidation under the Arroyo administration may not have been fully recognized in spite of its significant effect on the economy of the Philippines. Therefore, it is worthwhile analyzing how the Arroyo administration’s fiscal consolidation policy has contributed to improving the fiscal balance and attaining macroeconomic stability, and then proposing policy initiatives that the Aquino administration, which took office in 2010, needs to implement in order to successfully implement the fiscal consolidation policy.Against this backdrop, this paper makes a comprehensive study of the impact of the fiscal consolidation policy under the Arroyo administration and the challenges that remain to be addressed, with reference to past studies on the issue. To this end, this paper firstly examines how progress in fiscal consolidation under the Arroyo administration has contributed to macroeconomic stability and has led to significant improvements in the Philippines’ sovereign creditworthiness. This paper secondly evaluates the administration’s fiscal consolidation initiatives from revenue and expenditure side and points out that the tax reform policy did not bring about the level of increase in tax revenue expected due to a decrease in tax collection efficiency and the failure to enact key bills. Furthermore, this paper outlines that the fiscal deficit widened significantly in 2009 due to the introduction of a stimulus package to cope with the global recession and measures that undermined tax revenue. This paper undertakes a simulation using the debt sustainability analysis framework to quantify the desirable tax revenue needed for further fiscal consolidation and increased capital spending which is necessary for growth enhancement.Based upon the simulation result, this paper finally presents a medium-term scenario with a goal of increasing tax revenue by approximately 2 percentage points of GDP. To achieve this target, this paper emphasizes that the Aquino administration must present, before anything else, a clear roadmap to fiscal consolidation, together with specific policy measures to increase tax revenue, and implement these measures promptly.
著者
松原 斎樹 藏澄 美仁 澤島 智明 合掌 顕 大和 義昭 中谷 岳史 飛田 国人 下村 孝 松原 小夜子 下村 孝 松原 小夜子 小東 敬典 中村 知朗 宮田 希 青木 祐樹 井上 ともみ 地濃 祐介 谷村 真由美 櫻井 洵子 大山 哲司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

暮らし方による暖冷房使用期間の変更による省エネルギー効果は, 次世代モデルでは暖房で最大17%, 冷房で最大32%, 無断熱モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大28%であること推定された。また, 補助暖冷房器具を併用した場合の省エネルギー効果は, 次世代モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大22%, 無断熱モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大37%であると推定された。
著者
野中 泰二郎 高畠 秀雄 谷村 真治 平澤 征夫 三村 耕司
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1995年兵庫県南部地震ではそれ以前の地震では経験しなかったような構造物被害が発生した。其のうち特に特徴的な脆性的あるいは衝撃的破断が発生した芦屋浜高層住宅と神戸市の橋脚に焦点を当てて、得られた研究結果を以下に要約する。記録地震波と実構造に近い三次元連続体モデルの有限要素による動的数値解析を遂行したもので、耐震設計上考慮すべき事項を列挙する。1.激しい直下地震の場合などでは初期の過渡応答過程がその後の動的挙動に支配的な影響を及ぼすこと、またそれは、構造物の大きさや形、支持・境界条件と初期地震動のプロファイルによって著しく異なる事がわかった。これらの現象は構造物中を伝わる応力波の影響を考慮することで理解される。2.構造物に発生した顕著な被害箇所は急激なエネルギーの変化と密接に関係している。3.特に、高層骨組の極厚断面主柱の破断が特定の階(4階と8階)の段落した部分での溶接部に多発した原因はこれで理解できる。4.高層骨組みブレースと柱の接合部が一体となって破断した原因は、剛接ブレースに作用している軸方向力と剪断力から生じる鉛直成分の力によって、ブレースが上向きに引っ張られて破断し、次に、柱の破断を誘発した。この問題は、連続体を有限要素にする際、フレーム解析よりは高次のシェル要素を用いた解析結果から、破断過程を解明できた。5.骨組構造において、塑性ヒンジが初期に集中して発生する階では構造物の損傷を受けやすく、塑性ヒンジが発生していない階では被害は顕著でない。塑性ヒンジが集中的に作用する事を避ける必要がある。
著者
野中 泰二郎 高畠 秀雄 谷村 真治 梅田 康弘 河西 良幸 井元 勝慶 坪田 張二 中山 昭夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.最近発生した地震の現地調査と地震波形記録にもとづく破壊過程の検討から、キンデイオ地震では小さな破壊開始の約1秒後に大きな破壊があったこと、第2の大きな破壊がアルメニア市を直撃し、1000人を超える死者が生じた大きな被害を引き起こしたこと、30,000人が犠牲になったコジャエリ地震では100kmを超える断層が現れ、断層の近くでは最大加速度は水平方向で407Gal、上下方向で260Galに達したこと、鳥取県西部地震ではふたつの異なったフェイズが観測され、この地震の破壊は連続的に進展したのではなく、別途の破壊が新たに進行したと考えられ、大破壊によってせん断応力が開放されところに「地震のブライトスポット」が形成されたことなどがわかった。2.記録地震波と実構造に近い三次元連続体モデルの有限要素による弾塑性動的数値解析を遂行した結果、激しい直下地震の場合などでは初期の過渡応答過程がその後の動的挙動に支配的な影響を及ぼすこと、またそれは、構造物の大きさや形、支持・境界条件と初期地震動のプロファイルによって著しく異なる事がわかった。これらの現象は構造物中を伝わる応力波の影響を考慮することで把握できる。3.兵庫県南部地震で構造物に発生した顕著な被害箇所は急激なエネルギーの変化と密接に関係している。特に、高層鋼骨組の極厚断面主柱の破断が特定の階の段落し部分での溶接部に多発した原因が明らかにされた。4.この地震で高層骨組のブレースと柱の接合部が一体となって破断した原因は、剛接ブレースに作用している軸方向力と剪断力とから生じる鉛直成分の力によって、ブレースが上向きに引っ張られて破断し、次に、柱の破断を誘発した。5.骨組構造において、塑性ヒンジが初期に集中して発生する階では構造物の損傷を受けやすく、塑性ヒンジが発生していない階では被害は顕著でない。塑性ヒンジが集中的に作用する事を避ける必要がある。6.既存木造家屋を外部から耐震補強する工法を開発し、外部補強の支持部の水平載荷実験と3次元弾塑性解析によってその効果を評価確証した。7.衝撃速度を変えたシャルピー衝撃試験の結果、衝撃速度が大きいほど吸収エネルギーが大きくなる、すなわち、破壊靭性が増加することがわかった。8.塑性歪履歴を受けた鋼材を用いたシャルピー衝撃試験から、塑性歪が鋼材の脆性破壊発生に大きな影響を及ぼすこと、予ひずみが大きいほどエネルギー吸収能力が低くなり、予ひずみ材は衝撃荷重を受けると破壊し易いことなどを明らかにした。