著者
真山 享 赤井 裕輝 渡辺 力夫 阿部 茂樹 門伝 昌巳 本郷 道夫 豊田 隆謙 後藤 由夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.1017-1022, 1987-11-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

糖尿病性自律神経障害による胃排出能の異常が食事摂取後のインスリン需要動態および血糖コントロールに与える影響について検討した. 胃排出能正常な糖尿病者 (N群) 4名, 胃無力症 (胃排出能高度異常) の糖尿病者 (G群) 7名の計11名を対象とした.胃排出能は99m-Tc-Tin colloidにより標識した試験食摂取後のアイソトープ胃内残存量をガンマカメラにて経時的に測定し, 全例に人工膵島 (Biostator®) によるfeedback controlを行い, インスリン注入動態を観察した.G群では食後のアイソトープ胃内残存率がN群に比較して高値であり, 150分後ではG群, 74.1±7.4%(M±SD), N群21.3±5.4%であった (p<0.01). 食後インスリン需要量はN群でG群よりも高値であり, 150分後ではN群11.7±5.3単位, G群5.6±2.1単位であった (p<0.05).prokinetic agentの投与により, 胃排出能が著明に改善した6例では, 血糖日内変動, HbA1ともに明きらかに改善し, 良好なコントロールが得られた.胃排出能の異常は血糖の不安定性の原因の1つであり, インスリン需要動態に大きな異常をもたらす. 胃排出能の改善により, 食後インスリン需要量が適正化し, 良好な血糖コントロ一ルを得ることが可能となる.
著者
新井 良一 赤井 裕
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum Ser. A Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.p199-213, 1988-12
被引用文献数
11

The fishes of the subfamily Acheilognathinae are classified into the three genera, Tanakia, Acheilognathus, and Rhodeus. Acheilognathus melanogaster BLEEKER, 1860,the type-species of Acheilognathus, is revived, and A. moriokae JORDAN et THOMPSON, 1914,is synonymized with it. Rhodeus oryzae JORDAN et SEALE, 1906,the type-species of Tanakia, is a name given to juveniles of Tanakia hmbata (TEMMINCK et SCHLEGEL, 1846)(=Acheilognathus limbatus).
著者
赤井 裕輝
出版者
医学書院
雑誌
糖尿病診療マスター (ISSN:13478176)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.96-101, 2017-02-15

POINT・正常個体で生理的範囲を超えた血糖低下が低血糖,臨床症状を伴えば低血糖症という.・低血糖症の確定診断はWhippleの三徴による.・低血糖に伴う症状は血糖低下につれて副交感神経症状,交感神経症状,中枢神経症状と進む.
著者
新井 良一 赤井 裕
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、日本産タナゴ類の分岐分類によって提唱された3属について、分析形質セットの特徴から、3属の仮説が中国や朝鮮半島のタナゴ類にも適用されるか否かを検証することを目的とする。結論として、3属の仮説は中国や朝鮮半島のタナゴ類にも適用されることが、形態形質およびミトコンドリアの遺伝子による系統解析によっても反証されなかった。以下に具体的な研究成果を年度ごとに報告する。1.平成7年度は中国の採集標本および海外の博物館から借用した標本を基にして分類学的に混乱している種の整理をした。すなわち、Rhodcus sinensisの地理的変異、体色斑紋を研究、また、中国から初めてTanakia lanccolataを発見した(Arai et al,1995)。2.平成8年度は中国、浙江省で染色体数2n=46の種を発見した(Ueda et al.,1996)。また、アジア大陸および日本のタナゴ亜科魚類の系統解析のため、日本産15種-亜種、中国産9種-亜種、朝鮮半島産1種、ヨーロッパ産1種の頭部感覚管の比較解剖を行った。3.平成9年度はアジア産および日本産のタナゴ類のミトコンドリアの12S rRNA遺伝子の塩基配列を研究し、分子系統樹を構築した。その結果、形態および分子による系統樹に矛盾は見られず、Acheilognathus属の単系統性が確認された。また、中国産タナゴ2種の核型を明らかにする(Ucda et al.,1997)とともに、Rhodeus sinensisの種の整理を終えた(Akai and Arai,1998)。
著者
新井 良一 鍾 俊生 楊 君興 劉 煥章 伍 漢霖 解 玉浩 陳 宜ゆー 赤井 裕 鈴木 伸洋 大嶋 雄治 館田 英典 上田 高嘉 YANG Junxing LIU Huanzhang WU Hanling XIE Yuhao CHEN Yiyu ZHON Junsheng 陳 宣瑜 鐘 俊生 植田 徹
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

中国大陸におけるコイ目タナゴ亜科魚類の系統分類と生物地理学的研究(平成7年度〜平成8年度)のため、平成7年度は、新井、赤井および研究協力者の石鍋は平成7年6月7日から7月12日まで、また大嶋は平成7年6月8日から6月27日まで、研究協力者の木村は平成7年6月8日から7月13日まで訪中し、上海市、浙江省奉化市、湖北省武漢市、雲南省昆明市で、それぞれタナゴ類の採集を行い、形態学的研究、核型およびDNA実験の一部を行った。また、武漢市の中国科学院水生生物研究所および昆明市の中国科学院動物研究所で中国各地のタナゴ類の保存標本を観察した。平成8年度は、新井、赤井および研究協力者の石鍋は平成8年9月3日から10月11日まで、また上田および研究協力者の滝沢は平成8年10月1日から10月11日まで、研究協力者の松井は平成8年9月3日から9月25日まで訪中し、山東省済南市、遼寧省遼陽市、湖北省武漢市、上海市、浙江省金華市で、それぞれタナゴ類の採集を行い、形態学的研究、核型およびDNA実験の一部をおこなった。また、天津市の自然史博物館および武漢市の中国科学院水生生物研究所で中国各地のタナゴ類の保存標本を観察した。平成7〜8年度の主な成果を以下に示す。1.浙江省で採集され、形態的特徴からRhodeus atremiusと同定された標本の染色体がn=23であることが判明した。n=23のタナゴ類は中国では初記録であり、核型からも、従来、九州特産とみなされていたカゼトゲタナゴが中国にも分布することが支持された(Ueda et al.,in press)。2.n=23と考えられるタナゴ類が山東省、遼寧省、湖北省でも採集された。3.Rhodeus lightiおよびTanakia himantegusの核型が詳しく調べられた(Ueda et al.,in press)。4.従来、中国の固有種と考えられていたRhodeus lightiおよび朝鮮半島の固有種と考えられていたR.uyekiiが中国産のR.sinensisと同一種であり、命名の古さから、R.sinensisが本種の有効名であることが判明した(Akai and Arai,in press)。5.Acheilo-gnathus meridianusのシノニムが整理された。A.meridianusの総基準標本は2種からなるので、後基準標本を指定し、急いで発表する必要がある。6.中国で無視され、これまで日本と朝鮮半島にのみ分布すると考えられていたヤリタナゴが遼寧省から再発見された(Arai and Akai,1995)。7.上海市から初めてアブラボテ属のタナゴ類が採集された。8.中国産のAcheilognathus tabiro(=A.tabira)を日本産のA.tabiraと比較研究した結果、中国産のA.tabiroは未記載種であることが判明した。9.中国で初めて秋に産卵するタナゴ類が発見された。10.中国産9種・亜種、日本産15種・亜種、朝鮮半島1種、ヨーロッパ産1種の成魚の頭部感覚管及び眼下骨の比較解剖を行い、頭部感覚管で9分析形質、眼下骨で6分析形質を識別することができた。バラタナゴ属では、幼魚の特徴を維持している種がみられることから、幼形成熟と種分化の関係が示唆された。11.頭部感覚管について、日本産より特殊化の進んだ種が中国産にみられた。なお、今回採集したタナゴ類のDNAおよび核型の分析を続行中である。