著者
辻井 弘忠 浅井 貴之
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.p91-98, 1985-12

放牧地における自然交配時の木曾馬の性行動のパターン・回数および複数の牝馬が発情している時の性行動について調べた。その結果、乗駕回数が最も多い時間帯は14:00~16:30、射精の多い時間帯は11:00~14:00であった。種牡馬が発情牝馬に対して、求愛→ペニスの勃起→乗駕→ペニスの挿入→射精の完全な性行動を示したものは約11%にすぎず、他はかなり変則的であった。特に求愛行動なしに乗駕・射精に至る例が19%も存在した。一方、複数の牝馬が発情している場合、種牡馬はランダムに求愛、乗駕行動を示した。また、82回の乗駕行動のうち、種牡馬の一連の性行動が途中で中断し、直ちに別の発情中の牝馬を相手に性行動を始め乗駕する場合が13例みられた。The present investigation was carried out on the patterns and its frequency of sexual behaviour in Kiso stallion under natural mating. Most mounting behaviour occurred from 14:00 to 16:30, and most ejaculation behaviour occurred from 11:00 to 14:00 (Fig. 7). The stallion exhibits distinct phases to estrus mare : courtship, erection and mounting, intromissin and ejaculation. But, the perfectry sexal behaviour in stallion was only 11%, the other was irregular sexual behaviour. Specially, the most irregular sexual behaviour which the stallion mounts to estrous mare; brought in the wake of intromission and ejaculation without courtship behaviour was existence 19% (Table 2). When the plural mares are behavioral signs of estrous, the stallion exhibits at randam courtship and mounting to estrous mares. The stallion breaked on the part of the way internuption behaviour on the first estrous mare, at once he began the sexual behaviour to other mare. These cases existed thirteen-eighty seconds. (Table 3.4).
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-99, 2003-03 (Released:2011-03-05)

鹿追町のエゾシカ牧場の概要について記述した。主な点は、野生鹿のエゾシカを飼育繁殖し、全国の鹿牧場のモデルとなるシカの健康管理および血液検査など実地している。雄シカの幼角(鹿茸)を毎年採取して健康酒の原料提供を行っている。また、鹿肉処理場を設置し冬場の農作業の余剰労力を使って、有害駆除で捕獲されるエゾシカの肉を解体し、部位別の肉の処理ならびにソーセージなどの肉加工を行い、全国向けに販売を行っているなどであった。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-99, 2003-03

鹿追町のエゾシカ牧場の概要について記述した。主な点は,野生鹿のエゾシカを飼育繁殖し,全国の鹿牧場のモデルとなるシカの健康管理および血液検査など実地している。雄シカの幼角(鹿茸)を毎年採取して健康酒の原料提供を行っている。また,鹿肉処理場を設置し冬場の農作業の余剰労力を使って,有害駆除で捕獲されるエゾシカの肉を解体し,部位別の肉の処理ならびにソーセージなどの肉加工を行い,全国向けに販売を行っているなどであった。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.111-113, 1987 (Released:2011-03-05)

木曾馬の歩法を連続撮影して分析を行った。その結果,純系に近い木曾馬は側対歩で,やや純系に近い馬は半側対歩であった。また外国種の血が入った木曾系種は,サラブレッドと同じ常歩を示した。木曾馬は先天的な側対歩であると言われている。従って,歩法は今後,木曽馬の種牡選抜の際の一つの指標になると思われた。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.p111-113, 1987-12

木曾馬の歩法を連続撮影して分析を行った。その結果,純系に近い木曾馬は側対歩で,やや純系に近い馬は半側対歩であった。また外国種の血が入った木曾系種は,サラブレッドと同じ常歩を示した。木曾馬は先天的な側対歩であると言われている。従って,歩法は今後,木曽馬の種牡選抜の際の一つの指標になると思われた。
著者
辻井 弘忠 吉田 元一
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.p103-110, 1984-12

木曾馬は,戦後外部からの移入を完全に閉じた閉鎖繁殖集団を形成し,体型を昔の形に戻そうとする努力と,母集団が小さいことも手伝って近親交配がかなり行われている。本調査は,1969年から1984年までの登録簿からの各馬の3代前の先祖が明らかな牡5頭,牝26頭と,一部先祖が不明な牡4頭牝43頭についてWrightの式によって各近交係数を算出した。その結果,先祖が明らかなものにおける平均近交係数は木曾馬種牡で0.156,木曽系種牝で0.070と木曾馬種で特に近交係数が高まっていた。一部先祖が不明なものにおける平均近交係数は木曾馬種牝で0.030,木曽系種牝で0.032であった。登録馬全体の平均近交係数は0.066,現存する馬全体の平均近交係数は0.081,また,牡馬の平均近交係数0.095,牝馬の平均近交係数0.060といずれも近交係数が高まっているのが判明した。産年次別に平均近交係数をみると,ほぼ一直線に増加していた。今後,これらの結果を参考にして近交係数の高い馬同士の交配を避けなければならない。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.5, pp.71-76, 2007-03

木曽馬は、昭和10年以降、在来種系の小格な種牡馬は全て去勢され、アングロアラブ系の中間種の種付が強行された。昭和20年以降、去勢されなかった神明号を種牡馬として本来の木曽馬に戻す努力がなされてきた。本研究は、木曽馬が古来の馬に戻りつつあるのかを骨の大きさから判断することを目的に行った。昭和30年ごろに埋葬された木曽馬の骨を開田村西野の馬の共同墓地跡から回収し各骨の大きさについて調べた。各部位の骨の大きさをノギスで測定し、平均値を求めた。また岡部らが報告している昭和15年頃の木曽馬の骨の大きさと比較検討を行った。その結果、各部位の骨の大きさは全て小さくなっていることを確認した。この結果は、著者らが昭和59年に実施した木曽馬の体格調査の結果において得られた木曽馬の大きさが小さくなりつつあるという結果と一致した。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.p65-69, 1986-12

木曾馬(牡)とアラブ(牝)の交雑の一例があったので,体尺測定を試みた。その結果,交雑で産まれた仔は,母馬であるアラブの特徴を有し,木曽馬の平均より体高,尻高,尻幅が大きく,胸幅,胸深が小さかった。
著者
辻井 弘忠 吉田 元一
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.p37-48, 1984-07

昭和28年に報告された(昭和23年時)の調査データーと比較し,35年間で木曾馬の体型がどのように変化したかを調べた。開田村,上松町,田立村,名鉄木曾馬牧場の4才以上の木曾馬牝30頭について体高,体長,尻高,頭幅,腰幅,尻幅,頭長,尻長,胸深,胸囲,管囲を測定した。毛色等は牡5頭を含む総計45頭について測定した。毛色は鹿毛色が圧倒的に多く,月毛や芦毛はみられなかった。背に鰻線を有するものが17頭もおり,額に刺毛,星等を有する馬はいなかった。木曾馬種,木曾系種ともに昭和28年時と比べて殆どの部位で差が認められ,後軀に対する前軀の充実がみられた。これから木曾馬の体型に近付きつつあることが推察された。まだ明治時代の体型よりひとまわり大きいものの,大正,昭和23年時より明治時のそれに近付く傾向がみられた。
著者
辻井 弘忠 吉田 元一
出版者
信州大学農学部
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.103-110, 1984 (Released:2011-03-05)

木曾馬は,戦後外部からの移入を完全に閉じた閉鎖繁殖集団を形成し,体型を昔の形に戻そうとする努力と,母集団が小さいことも手伝って近親交配がかなり行われている。本調査は,1969年から1984年までの登録簿からの各馬の3代前の先祖が明らかな牡5頭,牝26頭と,一部先祖が不明な牡4頭牝43頭についてWrightの式によって各近交係数を算出した。その結果,先祖が明らかなものにおける平均近交係数は木曾馬種牡で0.156,木曽系種牝で0.070と木曾馬種で特に近交係数が高まっていた。一部先祖が不明なものにおける平均近交係数は木曾馬種牝で0.030,木曽系種牝で0.032であった。登録馬全体の平均近交係数は0.066,現存する馬全体の平均近交係数は0.081,また,牡馬の平均近交係数0.095,牝馬の平均近交係数0.060といずれも近交係数が高まっているのが判明した。産年次別に平均近交係数をみると,ほぼ一直線に増加していた。今後,これらの結果を参考にして近交係数の高い馬同士の交配を避けなければならない。
著者
辻井 弘忠 吉田 元一
出版者
信州大学農学部
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.37-48, 1984 (Released:2011-03-05)

昭和28年に報告された(昭和23年時)の調査データーと比較し,35年間で木曾馬の体型がどのように変化したかを調べた。開田村,上松町,田立村,名鉄木曾馬牧場の4才以上の木曾馬牝30頭について体高,体長,尻高,頭幅,腰幅,尻幅,頭長,尻長,胸深,胸囲,管囲を測定した。毛色等は牡5頭を含む総計45頭について測定した。毛色は鹿毛色が圧倒的に多く,月毛や芦毛はみられなかった。背に鰻線を有するものが17頭もおり,額に刺毛,星等を有する馬はいなかった。木曾馬種,木曾系種ともに昭和28年時と比べて殆どの部位で差が認められ,後軀に対する前軀の充実がみられた。これから木曾馬の体型に近付きつつあることが推察された。まだ明治時代の体型よりひとまわり大きいものの,大正,昭和23年時より明治時のそれに近付く傾向がみられた。
著者
吉田 真弓 濱野 光市 辻井 弘忠
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.98, pp.145, 2005

【目的】リラキシンはペプチドホルモンの一種であり、分娩時の恥骨間靱帯の伸長や産道拡大などの働きを持つ。その一方で、脳や雄性生殖器にも受容体が存在することが報告されており、多機能なホルモンであることが分かっている。スナネズミは、癲癇や脳虚血等の疾患モデル動物として有用な実験動物であるが、近年LHやFSHの配列が決定されたところであり、生理学分野における研究の歴史は浅い。そこで本研究では、スナネズミにおけるリラキシン研究の導入とするべく、スナネズミのリラキシン塩基配列を決定し、既に配列の分かっているマウス・ブタ・ヒトなどを対照とし、塩基・アミノ酸配列の比較を行った。【方法】妊娠15,19,23日目のメススナネズミから卵巣・胎盤・子宮・脳を採取し、LN<SUB>2</SUB>で急速に凍結した。サンプルからISOGENを用いてTotal RNAを抽出した。RT-PCRを行いFirst strand cDNAを作成した。ハムスターリラキシンから構築したプライマーを元にPCRを行った。cDNAのプールの評価のために、G3PDHプライマーを用いた。PCR産物はアガロースゲル電気泳動を行い、目的のバンドからPCR産物の抽出を行ったのちシークエンスを行い、配列決定をした。【結果】全ての実験区に於いて、First strand cDNAがもたらされたが、そのうち、メススナネズミの卵巣由来のcDNAからリラキシンのB-chainを含む塩基配列が増幅され、この塩基配列を決定することが出来た。また、この塩基配列及びそれから推定されたアミノ酸配列は特にハムスターのものと高い相同性を示した。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-5, 2005-03
被引用文献数
1

近年,放牧を見直そうとする背景がある。そこには,乳用牛および肉用牛の飼養戸数の大幅な減少に対して飼養頭数は大幅な増加傾向にある。つまり,多頭飼育傾向が見られ,放牧場の存在は各農家の省力化のだめに必要かつ重要である。本論文は全国の放牧場について,地域別に見た放牧場数,放牧頭数,放牧面積,放牧場の立地条件,放牧場の草種,放牧期間ならびに放牧の持つ多角的価値などについて解析を試みてみた。その結果,各地域の放牧場は飼育している牛の種類の違いと地域の地理的または自然的な条件による違いが見られた。
著者
辻井 弘忠 末成 美奈子 増野 和彦
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.1, pp.73-79, 2003-03

長野県林業センターで系統維持しているヤマブシタケ(Hericium erinaceum)6系統(国内産4,台湾産1,中国産1)を供試し,ヤマブシタケ子実体の収穫所要日数および収量ならびに子実体抽出エキスのHeLa細胞に対する細胞毒性活性を調べた。すなわち,栽培培地基材であるコーンコブミール含有量の違いや栄養剤添加が,子実体の収穫所要日数および収量に及ぼす影響ならびに各系統の子実体抽出エキスのHeLa細胞に対する細胞毒性活性に及ぼす影響を調べた。その結果,実験に用いたヤマブシタケ6系統の子実体抽出エキスともHeLa細胞に対する細胞毒性活性がみられた。子実体の収穫所要日数が少なく,子実体の収量の多い系統はY5とY6,子実体エキスのHeLa細胞に対する細胞毒性活性の強い系統はY1とY2であった。栽培培地基材であるコーンコブミールを添加すると子実体の収穫所要日数は短かくなり,子実体の収量は少なかったが,コーンコブミール添加によって子実体抽出エキスのHeLa細胞に対する細胞毒性活性は高まった。栄養剤(フスマ)添加によって,子実体の収量は少なくなったが,子実体抽出エキスのHeLa細胞に対する細胞毒性活性は高くなった。これらのことから,ヤマブシタケの系統は台湾産および中国産より国内産のY1~3系統のものを使用し,栽培培地基材としてはコーンコブミールを,栄養剤としてはフスマをそれぞれ添加して栽培すれば,HeLa細胞に対する細胞毒性活性の強い子実体を生産出来ることが判明した。
著者
辻井 弘忠 赤羽 明子
出版者
信州大学
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-138, 1994-12

本実験では,日本在来馬のうち木曽馬を中心に電気泳動法を用いて血液蛋白質型を分析し,遺伝形質としての特徴を解析することを試みた。供試馬は,木曽馬24頭の他に,北海道和種,対州馬,トカラ馬,サラブレッド,ブルトンおよびペルシュロンを用いた。血液蛋白質型の分析に用いた電気泳動法は,水平式ポリアクリルアミドグラジェンゲル電気泳動法(HPAGE法),ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGIEF法),澱粉ゲル電気泳動法の3種を用いた。各血液蛋白質型の対立遺伝子頻度を算出した結果,遺伝子構成には馬種間の差異があることが判った。特に,Tf(トランスフェリン)型,Es(エステラーゼ)型およびHb(ヘモグロビン)型においては,馬種間の差異のみならず,日本在来馬とサラブレッドおよび重種馬の遺伝子構成の違いを認識することができた。つまり,Tf型に関しては,TfF は木曽馬のみに,TfH1は北海道和種のみに,TfF1 はサラブレッドのみにみられた。Es型に関しては,EsH は木曽馬および北海道和種に,EsO は木曽馬のみにみられた。また,Hb型に関しては,HbAはトカラ馬を除く日本在来馬のみに見られた。また,木曽馬において従来報告されたものと比較して,頭数の急激な減数が始まる前と後では遺伝子構成に変動がみられた。特にTf型では,消失したと思われる対立遺伝子を2種類確認できた。これは集団サイズの急激な縮小による機会的遺伝浮動の影響であると考えられた。