- 著者
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山田 明義
久我 ゆかり
小倉 健夫
増野 和彦
- 出版者
- 信州大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2004
1.マツタケ菌根合成系にエビオス(窒素源)を添加することで,苗の生育不良を回避できることを明らかにした.2.新たに開発した二層培養法により大量調製したマツタケとショウロの土壌接種源を野外の自然土壌条件下でアカマツ実生に接種した結果,ショウロでは外生菌根の形成に成功し本技術が実用的側面を有することを明らかにした.3.アミタケ,ショウロ,シモフリシメジ,ホンシメジの菌根苗を直接野外条件下に大量に植え付けた結果,菌株によっては十分な菌根の増殖が見られ,菌根苗定着の実用的な技術になりうる事を明らかにした.4.マツタケ類、イグチ類、チチタケ類を含む39種64菌株について菌根苗をポット培養し順化した結果,シモフリシメジ,ミネシメジ,クマシメジ,スミゾメシメジの4種で子実体発生に成功した.5.マツタケ,アミガサタケ,チャナメツムタケで複数の菌株を確立し培養特性を把握した.このうちマツタケでは,チョウセンゴヨウ,ヒメコマツ,ならびにドイツトウヒとも菌根形成する事を明らかにした.6.ハルシメジがウメの実生根系にも菌根を形成することを明らかにし,また,ウメ苗木根系に胞子散布することで菌根形成させうる事も明らかにした.これにより,ウメ苗木とハルシメジ胞子を用いた実用的な菌根苗作出が可能なことを明らかにした.7.マツタケのシロに接してアクリルチューブを埋設し,ミニリゾトロンを用いて継続観察した結果,チューブ近傍でのシロの回復は必ずしも速やかではなく,他の菌根菌が散発的に増殖しうることを明らかにした.8.ミニリゾトロンを用いてクリタケの土壌中での動態を長期継続観察した結果,菌糸束の発達,分枝,分解と再形成といった動的挙動があり,菌糸束が地中での菌糸体拡散において重要な役割を果たしうることを明らかにした.発達した菌糸束の顕微鏡観察により,主に外層と内層からなる二重構造が形成されることを明らかにした.