著者
近藤 敏之 長嶺 伸 大村 優慈 矢野 史朗
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.87-97, 2016-09-05 (Released:2016-10-31)
参考文献数
33

本解説では,誰もが手軽に導入可能なポータブル実験系の一例として,没入型ヘッドマウントディスプレイ(head mounted display; HMD)の活用を取り上げる.Oculus Riftに代表される没入型HMDは,(1)周辺視野まで覆う広視野角,(2)左右独立の映像提示による立体視ならびに(3)頭部運動トラッキングによる映像追従機能等により,従来のHMDとは一線を画す没入感を実現しており,認知心理学実験において視覚刺激を提示する手段として十分利用可能である.またスマートフォンを用いて没入型HMDを実現するGoogle Cardboardなどの技術もあり,誰もが比較的容易に導入することが可能である.本解説では,現在我々のグループで取り組んでいる没入型HMDの活用事例について述べるとともに,具体的な実装手順について紹介する.
著者
市川 貴邦 近藤 敏之
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.191-198, 2013-05-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
11

Nowadays sophisticated mobile devices have been gradually popularized, which enable us to carry and refer flood of personal data collections such as music tunes, bibliographic list, cashbook, weight log, etc. anytime, anywhere. In this paper, to further innovation in our lifestyle, we develop a smart phone application to build a personal clothing database that is expected to enhance our daily dressing, shopping behavior, and social communication. For the purpose we invent a hierarchical touch-screen menu interface for categorizing personal clothing data. Although there are vast number of clothing category names may be considered, we adopted minimum necessary set based on our questionnaire results. Moreover we introduce a novel shooting method to take clothing pictures, in which a target clothing is overlaid on a human silhouette frame in the shooting screen to keep size and alignment of the pictures homogeneous.
著者
淺間 一 田中 宏和 井澤 淳 近藤 敏之 矢野 史朗
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

四肢の欠損した患者や統合失調症の患者は,自分の身体への所有感が低下することや自分の運動に対して主体感が持てなくなり,健常者と比べて脳内身体表現が変容していることが知られている.本年度はこの身体所有感や運動主体感が脳内身体表現の変容に対してどのように影響を与えるのか定量的に評価し,数理モデルの構築を行った.具体的には,健常者に対してラバーバンド錯覚という現象を起こした上で,身体所有感と運動主体感がそれぞれ感じられない条件で,脳内身体表現がどのように変化するか調べた.その結果,被験者が能動的に動くことで,運動主体感は増し,ラバーバンド錯覚で呈示する腕の映像が実際のものと異なる時には,身体所有感が低下することがわかった.次に脳内身体表現の変容に対して,身体所有感と運動主体感が与える影響を定量的にモデル化した結果,対象とする被験者の数回の試行データを用いることで,変容がどの程度進むかを推定することができるようになった.またこのような知見を実際のリハビリテーションに応用可能なプラットフォームとして,バーチャルリアリティ環境の運動介入システムの実装を行った.これは使用者の腕の運動と筋活動を計測し,それをリアルタイムで使用者にフィードバックするシステムである.このシステムを使うことで,実際に使用者が行っている運動とは異なる結果を返したり,あえて運動を過剰に表示することで,運動を誘導することができることが分かった.
著者
塚本 昌克 近藤 敏之 伊藤 宏司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.577, pp.41-44, 2006-01-20
被引用文献数
3

パターン識別を用いた筋電義手は, 高い動作識別精度を実現しているが, EMGは実際の運動より100msec程早く観測されるので, データ長を100msec未満にしなければ高い識別率の代わりに義手の動作遅れを発生させてしまう. 本研究ではこの問題を取り上げ, 動作遅れのない義手実現を目指し, 前腕部に装着した複数対の電極から計測される筋活動開始時におけるEMGの立ち上がり部分を用いてニュールネットワークによる動作識別と義手制御のシステムを提案する.