著者
西銘 大喜 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.F-H34_1-8, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
20
被引用文献数
6

Facial expressions play an important role in communication as much as words. In facial expression recognition by human, it is difficult to uniquely judge, because facial expression has the sway of recognition by individual difference and subjective recognition. Therefore, it is difficult to evaluate the reliability of the result from recognition accuracy alone, and the analysis for explaining the result and feature learned by Convolutional Neural Networks (CNN) will be considered important. In this study, we carried out the facial expression recognition from facial expression images using CNN. In addition, we analysed CNN for understanding learned features and prediction results. Emotions we focused on are “happiness”, “sadness”, “surprise”, “anger”, “disgust”, “fear” and “neutral”. As a result, using 32286 facial expression images, have obtained an emotion recognition score of about 57%; for two emotions (Happiness, Surprise) the recognition score exceeded 70%, but Anger and Fear was less than 50%. In the analysis of CNN, we focused on the learning process, input and intermediate layer. Analysis of the learning progress confirmed that increased data can be recognised in the following order “happiness”, “surprise”, “neutral”, “anger”, “disgust”, “sadness” and “fear”. From the analysis result of the input and intermediate layer, we confirmed that the feature of the eyes and mouth strongly influence the facial expression recognition, and intermediate layer neurons had active patterns corresponding to facial expressions, and also these activate patterns do not respond to partial features of facial expressions. From these results, we concluded that CNN has learned the partial features of eyes and mouth from input, and recognise the facial expression using hidden layer units having the area corresponding to each facial expression.
著者
伊集 竜之 遠藤 聡志 山田 孝治 當間 愛晃 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.1M45, 2015

<p>Twitterを利用するユーザの年齢層を推定する場合、ライフスタイルによってツイートの投稿時間帯が異なるため、投稿時間帯が推定に有効な情報の一つと考えられる。この情報を活用する場合、同年齢層内で複数のライフスタイルが存在することを考慮すべきである。そこで、本研究では各年齢層内で期間毎の投稿率を素性としたユーザクラスタを作成し、作成したクラスタを基礎とする推定手法の提案を行う。</p>
著者
小野 裕作 當間 愛晃 遠藤 聡志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.269, 2008 (Released:2009-07-31)

ソーシャルブックマークの問題点として、タグの表記揺れやタグ付け自体に労力がかかる、などがある。 本研究はこれらを解決するために、ユーザーの履歴を利用してタグ付けを自動化するシステムの開発を目的とする。
著者
大川 康治 遠藤 聡志 谷口 祐治 久保田 恵子 庄司 博光 岸本 克巳
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2012-IOT-18, no.3, pp.1-5, 2012-06-21

琉球大学では,平成 22 年 3 月に千原キャンパスと上原キャンパスで新たな学内 LAN を構築した.この学内 LAN は各キャンパスそれぞれに設置する光集線装置と各研究室 (1600 カ所) をシングルモード光ファイバで直接接続するネットワークである.本稿では,GE-PON で隣接 ONU との通信ができない仕様の解決方法,およびスイッチネットワークと比較した運用時の課題解決について述べる.
著者
玉城翔 當間愛晃 赤嶺有平 山田孝治 遠藤聡志
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.47-49, 2015-03-17

入力データからの特徴抽出器としての機能を持つニューラルネットにおいて、深い階層構造の構築は、より抽象度の高い特徴表現の獲得を可能にしている。更に、この特徴の汎化能力の向上にDropoutという技術が大きく貢献している。このDropoutにおいて経験的観点でのパラメータ設定が通例だが、その理由や妥当性については十分な検証がされていない。パラメータ設定によっては学習コストが高くなることも想定されるが、問題の複雑さ、用意したニューロン数、接続前後のニューロン状況等に応じて適切なDropout率があると考えられる。そこで、我々はニューラルネットにおける評価関数の値を使い、最適なDropout率の設定が可能かどうかの検証をする。
著者
髙嶺 潮 遠藤 聡志 Kolodziejczyk Jakub 西銘 大喜
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.4I2J204, 2019

<p>機械が現実世界の空間情報を獲得するための重要な手段の一つが単眼深度推定である。人間は深度推定に使用できる情報の種類を増やし、問題領域を分割することで精度の高い深度推定を実現している。これを受け、深度以外の情報をRGB画像から獲得することによって単眼深度推定を改善しようとする試みが幾つか存在する。Semanticラベルを用いた実験では、解釈可能な意味の種類が多いラベルが入力画像の幅を制限することがわかり、人間の主観によって定義された情報の欠点を浮き彫りにした。対して、深度勾配を扱った実験は、推定結果の外れ値の削減に大きく貢献している。これらの結果は、数値的に定義可能なオブジェクト情報が、人間が深度推定を行う際に獲得する冗長性の再現に繋がることを示唆している。本研究は、物体の前後関係情報の推定を行うことで深度推定を分類問題の分野に落とし込み、単眼深度推定の精度向上を狙うものである。Multi-Scale Modelを用いた対照実験により、重なり情報の有効性が証明された。</p>
著者
大島 真 山田 孝治 遠藤 聡志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.84-87, 2011-10-28

本研究では囲碁のヒューリスティックとして碁石をポテンシャルと見なした静的解析手法の実験を行っている.囲碁の解法に物理モデルを用いた研究は幾つか成されているが、従来研究では群や領域や石の影響度といった局所を構成する要素の評価を目的としているのに対し,本研究では対局序盤での勝敗に関わる碁盤の重要な領域の直接的な抽出を目標としている.実験では計算機同士の対局に提案手法を適用した場合の勝率の変化傾向や,モンテカルロ碁による評価と提案手法が抽出する領域との一致率などを求め,碁盤上の石の配置と勝敗に関わる重要な領域との間に幾何学的な規則性がある事を例証した.
著者
髙嶺 潮 遠藤 聡志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.B-KC6_1-9, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
11

Scene understanding is a central problem in a field of computer vision. Depth estimation, in particular, is one of the important applications in scene understanding, robotics, and 3-D reconstruction. Estimating a dense depth map from a single image is receiving increased attention because a monocular camera is popular, small and suitable for a wide range of environments. In addition, both multi-task learning and multi-stream, which use unlabeled information, improve the monocular depth estimation efficiently. However, there are only a few networks optimized for both of them. Therefore, in this paper, we propose a monocular depth estimation task with a multi-task and multistream network architecture. Furthermore, the integrated network which we develop makes use of depth gradient information and can be applied to both supervised and unsupervised learning. In our experiments, we confirmed that our supervised learning architecture improves the accuracy of depth estimation by 0.13 m on average. Additionally, the experimental result on unsupervised learning found that it improved structure-from-motion performance.
著者
髙嶺 潮 遠藤 聡志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.B-KC6_1-9, 2021

<p>Scene understanding is a central problem in a field of computer vision. Depth estimation, in particular, is one of the important applications in scene understanding, robotics, and 3-D reconstruction. Estimating a dense depth map from a single image is receiving increased attention because a monocular camera is popular, small and suitable for a wide range of environments. In addition, both multi-task learning and multi-stream, which use unlabeled information, improve the monocular depth estimation efficiently. However, there are only a few networks optimized for both of them. Therefore, in this paper, we propose a monocular depth estimation task with a multi-task and multistream network architecture. Furthermore, the integrated network which we develop makes use of depth gradient information and can be applied to both supervised and unsupervised learning. In our experiments, we confirmed that our supervised learning architecture improves the accuracy of depth estimation by 0.13 m on average. Additionally, the experimental result on unsupervised learning found that it improved structure-from-motion performance.</p>
著者
澤崎 夏希 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.668-677, 2020

<p>深層学習によって様々な分類問題が解決されているが,分類カテゴリ毎のデータ量が不均衡な問題を扱う場合,多くの課題がある.不均衡データへの対策として,少量カテゴリのデータ量を増加させ均衡化する手法がある.これをかさ増しと呼び画像処理分野ではノイズの付与や回転による方法が一般的である.最近ではGenerative Adversarial Network: GANによる画像生成手法を用いる場合がある.一方で,自然言語処理の分野では有効なかさ増し手法はいまだ確立されておらず,人手によるかさ増しが行われている.人手によるかさ増しではルールの設計など負担が大きく,機械的なかさ増し手法が必要となる.しかし,文章生成における機械的なかさ増しは画像生成に比べ不安定である.これは文章の特徴獲得の難しさが原因だと考えられる.そこで本論文ではグラフ情報に注目した機械学習による文章生成手法を提案する.CaboChaによって生成されたグラフ情報をGraph Convolutionにより畳み込み処理する.提案するGANにより生成されたかさ増し文章を3つの計算実験により評価し有効性を示した.</p>
著者
澤崎 夏希 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.668-677, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

深層学習によって様々な分類問題が解決されているが,分類カテゴリ毎のデータ量が不均衡な問題を扱う場合,多くの課題がある.不均衡データへの対策として,少量カテゴリのデータ量を増加させ均衡化する手法がある.これをかさ増しと呼び画像処理分野ではノイズの付与や回転による方法が一般的である.最近ではGenerative Adversarial Network: GANによる画像生成手法を用いる場合がある.一方で,自然言語処理の分野では有効なかさ増し手法はいまだ確立されておらず,人手によるかさ増しが行われている.人手によるかさ増しではルールの設計など負担が大きく,機械的なかさ増し手法が必要となる.しかし,文章生成における機械的なかさ増しは画像生成に比べ不安定である.これは文章の特徴獲得の難しさが原因だと考えられる.そこで本論文ではグラフ情報に注目した機械学習による文章生成手法を提案する.CaboChaによって生成されたグラフ情報をGraph Convolutionにより畳み込み処理する.提案するGANにより生成されたかさ増し文章を3つの計算実験により評価し有効性を示した.
著者
西銘 大喜 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.3L43, 2015 (Released:2018-07-30)

本研究では、ディープニューラルネットワーク(DNN)と表情画像を用いて喜び、悲しみ、驚き、怒り、嫌悪、恐怖、無表情の7感情の推定を行う。6層のDNNでは、65%の認識精度が確認され精度が良い表情は喜び、驚き、無表情の3種類であった。人間との比較実験でも同様の結果が確認され、画像だけの情報では悲しみ、怒り、嫌悪、恐怖の4感情は認識が難しいと考えられる。より多層のDNNを用いた実験と共に報告する。
著者
長嶺 一輝 遠藤 聡志 山田 孝治 當間 愛晃 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.3K4J201, 2019

<p>近年,深層強化学習エージェントは驚くべき発展を見せ,素晴らしい成果を挙げている.一方で,エージェントの行動のみを視認して,根拠となった画像特徴を推測するのは困難であるという問題がある.これに対し,エージェントが持つニューラルネットの入出力を用いて判断根拠を可視化することで,行動を分析しようとする試みが行われている.可視化手法の一つに顕著性マップの生成がある.しかし,行動毎に顕著性マップを得る手法はあまり研究されていない.本稿では,深層強化学習エージェントの行動を視覚的に分析する際に,エージェントの持つニューラルネットから各行動ごとに顕著性マップを得る手法を提案する.実験の結果,環境から得られる状態観測内のオブジェクトが,エージェントの各行動に及ぼす影響を可視化する顕著性マップを得られた.</p>
著者
西銘 大喜 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.F-H34_1-8, 2017
被引用文献数
6

<p>Facial expressions play an important role in communication as much as words. In facial expression recognition by human, it is difficult to uniquely judge, because facial expression has the sway of recognition by individual difference and subjective recognition. Therefore, it is difficult to evaluate the reliability of the result from recognition accuracy alone, and the analysis for explaining the result and feature learned by Convolutional Neural Networks (CNN) will be considered important. In this study, we carried out the facial expression recognition from facial expression images using CNN. In addition, we analysed CNN for understanding learned features and prediction results. Emotions we focused on are "happiness", "sadness", "surprise", "anger", "disgust", "fear" and "neutral". As a result, using 32286 facial expression images, have obtained an emotion recognition score of about 57%; for two emotions (Happiness, Surprise) the recognition score exceeded 70%, but Anger and Fear was less than 50%. In the analysis of CNN, we focused on the learning process, input and intermediate layer. Analysis of the learning progress confirmed that increased data can be recognised in the following order "happiness", "surprise", "neutral", "anger", "disgust", "sadness" and "fear". From the analysis result of the input and intermediate layer, we confirmed that the feature of the eyes and mouth strongly influence the facial expression recognition, and intermediate layer neurons had active patterns corresponding to facial expressions, and also these activate patterns do not respond to partial features of facial expressions. From these results, we concluded that CNN has learned the partial features of eyes and mouth from input, and recognise the facial expression using hidden layer units having the area corresponding to each facial expression.</p>
著者
赤嶺 有平 遠藤 聡志 上原 和樹 根路銘 もえ子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.438-447, 2014-01-15

交通渋滞は,経済損失を発生させるだけでなく環境へ悪影響も与えるため,その解決が強く求められている.一方,スマートフォン等の普及により位置情報の取得と通信による情報共有が安価に実現できるようになっており,得られた交通情報を活用した渋滞解消策が望まれる.本論文は,プローブカー等により所要時間のリアルタイムデータの推定や過去の蓄積データが利用可能な状況下において,適切な出発時刻および経路をユーザに提示することで,時間・空間的に交通量を分散する手法を提案する.さらに,パーソントリップ調査に基づく実データを用いたシミュレーション実験によりその効果を検証する.Traffic congestion is a major problem in many modern cities because it causes large economic losses and negatively affects to the city environment. In the meantime, traffic information has been easily collectable in real time with popularization of mobile devices that are able to communicate and localize itself. A solution using the traffic information is desired. In this paper, we propose a method to spread traffic demand temporally with indication of appropriate departure time and route for user under the situation that hourly trip time is available in real time by probe cars. In addition, we prove the efficiency of the method by the traffic simulation using actual data of person trip census.
著者
伊志嶺拓人 赤嶺 有平 遠藤 聡志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.1986-1994, 2010-10-15

地方都市では,自家用車が主要な交通手段となっており,それによる交通渋滞・環境汚染が深刻化している.そのため,時差通勤やロードプライシングなど渋滞緩和,公共交通利用を促す施策が検討されているが,利用者への負担や社会的コストが大きく,普及するに至っていない.そこで本研究では,低コストで導入可能なモーダルシフト政策として,昼間時に遊休化している通勤車両を共同利用する新しい交通システム「通勤車利用型カーシェアリング(CSCC)」を提案する.本論文では,マルチモーダル交通シミュレータを用いて提案交通システムによるモーダルシフト効果の検証結果について述べる.交通シミュレータの現況再現性評価では,自家用車のみの経路配分,交通手段選択を含んだ経路配分のシミュレーションを行い,高い相関が得られた.CSCCのモーダルシフト効果のシミュレーション分析では,沖縄県那覇市と周辺地域においてモノレールと連携したCSCCの車両提供,利用需要を算出し実現可能性を検討した.次に,モノレール利用者数の算出を行い,モノレール利用の増加,自動車利用の減少が確認でき,CSCCによってモーダルシフト効果が期待できることを示した.In provincial city, people use private cars as the primary mode of transportation. it causes traffic congestion and environmental pollution. Staggered working hours and road pricing has been suggested to promote using the public transportation as the countermeasures. however, it has not spread since a user's burden and social cost are large. In this study, we propose a new transport system "Car Sharing System Using Commuter's Car" that share the commuter's car which is not used at the daytime as modal shift policy this paper describes the verification result of the modal shift effect by a proposal traffic system using multimodal traffic simulator. High reproducibility of traffic conditions has been resulted from both simulations that runs under only car distribution and distribution of various type of transportation. As preliminary experiment of simulation analysis of the modal shift effect by CSCC, we discuss feasibility study of CSCC cooperating with a monorail in the Naha city, Okinawa and the surrounding area by calcuclation of demand to provide commuter's car and to use car sharing. Finally, we estimated that the modal shift effect by CSCC is expectable by calculating monorail ridership using the simulator. The result shows that monorail user increased and private car user decreased.
著者
遠藤 聡志 山田 孝治 亀島 力
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. 数理モデル化と応用 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.110-118, 2004-02-15
参考文献数
15
被引用文献数
2

セルオートマトン(Cellular Automata : CA)を用いて複雑系現象を再現する場合,状態遷移則(CAルール)を解析対象に応じて適切に設計しなければならない.CAルール設計のテスト問題として,1次元CA密度分類タスクがある.このタスクは局所情報から大域的目的現象を再現しなければならないというCAルール設計特有の困難さがある.Juilleらの示した共進化モデルは,GAの解探索に加えて,解集団の効率的な進化を促す問題空間の探索を利用することで探索性能の改善を図り,当タスクのベストレコードを示すルールの自動設計に成功している.本研究では,CAルール群中の類似性を解集団(CAルール群)から抽出し,それらを「種」という形で具体化したうえで,すべての「種」を包含するような解を求める.この遺伝的操作は,現象内に内包される局所的規則性(サブタスク)を基にして,サブタスク解間のCAルール内での整合性を高めるものである.Juilleらの手法が問題依存型のクラスタリングとheuristicな適応度計算式の拡張を導人したのに対し,提案手法はモデル化する現象に応じたクラスタリングと,種統合のための適応度計算式の自動的な調整を行う点が特色である.