著者
鍬田 泰子 山村 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.I_1-I_9, 2019

<p> 2018年6月18日に発生した大阪府北部の地震では,平日朝の通勤時間帯に地震が発生したため多くの通勤・通学の鉄道利用客に影響が出た.当日午後に一部の鉄道は運転を再開したが,関西の鉄道システムは運転見合わせや間引き運転により終日ダイヤが乱れた.本稿では,神戸大学の学生を対象に地震当日の行動についてアンケート調査を行い,帰宅困難の実態把握を試みた.本調査で通学中であった回答者の多くは大阪や阪神間の鉄道沿線にいた学生であり,列車に乗車していた学生の約3割は駅間停車した列車に1時間以上閉じ込められていた.徒歩帰宅の意思決定に自宅までの距離だけでなく,自宅が震源近くにあることが要因になっていることがわかった.</p>
著者
上仲 亮 鍬田 泰子 竹田 周平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_171-I_181, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,地震動や津波による水管橋の被害が複数報告されている.本研究は,地震動で被災した水管橋の中で最も口径が大きい,茨城県水戸市那珂川を横断する那珂川水管橋に着目し,その被害メカニズムの解明を試みた.本水管橋の微動観測により振動特性を明らかにし,これらを固有値解析で検証するとともに,推定された地震波形に基づく3次元時刻歴応答解析を行った.水戸市周辺では,高振動数成分が卓越した強震動が観測・推測され,本水管橋の固有振動数での応答値はレベル2地震動の設計値を下回っていたが,高振動数成分で設計値を上回る地震動であった.本解析では,推定地震動を用いることで橋軸直角方向の支承の損傷状況を再現した.
著者
鍬田 泰子 山村 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.I_1-I_9, 2019 (Released:2019-09-24)
参考文献数
11

2018年6月18日に発生した大阪府北部の地震では,平日朝の通勤時間帯に地震が発生したため多くの通勤・通学の鉄道利用客に影響が出た.当日午後に一部の鉄道は運転を再開したが,関西の鉄道システムは運転見合わせや間引き運転により終日ダイヤが乱れた.本稿では,神戸大学の学生を対象に地震当日の行動についてアンケート調査を行い,帰宅困難の実態把握を試みた.本調査で通学中であった回答者の多くは大阪や阪神間の鉄道沿線にいた学生であり,列車に乗車していた学生の約3割は駅間停車した列車に1時間以上閉じ込められていた.徒歩帰宅の意思決定に自宅までの距離だけでなく,自宅が震源近くにあることが要因になっていることがわかった.
著者
渡部 龍正 鍬田 泰子 後藤 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_244-I_252, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
11

北海道では,軟弱な泥炭地盤が広がり,地震時には宅地や地中管路に被害が出やすい.北海道浦河町にも泥炭が堆積しており,1982年浦河沖地震や2003年十勝沖地震では建物被害だけでなく地中の水道管路にも被害が発生した.本研究では浦河町を対象にして,表面波探査から表層の泥炭地盤のS波速度や深さを推定し,泥炭地盤を有する断面の地震応答解析によって,表層の地盤ひずみを算出した.狭隘な谷筋に堆積した地盤の基盤面が不整形であることだけでなく,泥炭地盤のS波速度や深さが地盤ひずみに大きく影響することが明らかになった.さらに,基盤面の勾配が大きいところで過去の地震における管路被害が多く発生していることが分かった.
著者
澤田 純男 古川 愛子 中村 晋 鍬田 泰子 後藤 浩之
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

固体である地盤を伝播する地震波は重力の作用を無視するが,流体に近い性質を持つと考えられる液状化地盤では重力の作用を無視することができるとは限らない.重力の作用を考慮した数値解析手法によって,液状化地盤を伝播する波をシミュレートしたところ,せん断剛性の低下に対応して表面波が流体中の重力波に似た性質をもつようになること,またスロッシング現象が顕著になることを明らかにした.
著者
清野 純史 宮島 昌克 鈴木 崇伸 酒井 久和 五十嵐 晃 野津 厚 小野 祐輔 鍬田 泰子 古川 愛子 デュラン フレディ 奥村 与志弘
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011

線的・面的な拡がりを持つ線状地下構造物の地震被害は、都市型災害の嚆矢とも言える1923年関東大震災以降枚挙に暇がないが、その構造を3次元的な拡がりの中の点(横断方向)としてではなく,縦断方向の線や面あるいはボリュームとして捉え、その入力地震動から地震時挙動までを統一的に捉え、設計や地震対策へ結びつけることを目標に、地震被害の分析や各種解析に基づく詳細な検討を行った.