著者
川瀬 成吾 石橋 亮 内藤 馨 山本 義彦 鶴田 哲也 田中 和大 木村 亮太 小西 雅樹 上原 一彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.199-212, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
91

淀川流域における外来魚類の生息現況を明らかにするために、採集および文献調査を行った。231地点の採集調査の結果、12種の国外外来種(採集地点が多い順に、オオクチバス、ブルーギル、カダヤシ、カムルチー、タウナギ、コクチバス、ナイルティラピア、アリゲーターガー、ニジマス、カラドジョウ、チャネルキャットフィッシュ、コウタイ)と2種の国内外来種(ヌマチチブ、ワカサギ)が採集された。アリゲーターガー、カラドジョウは当流域(本調査範囲内)、チャネルキャットフィッシュは淀川における初記録となった。河川本流と河道内氾濫原(ワンド・タマリ・二次流路)では、オオクチバス、ブルーギル、ヌマチチブ、カムルチーの、農業水路や支流などの周辺水域ではカダヤシ、オオクチバス、ブルーギル、タウナギの出現率が高かった。オオクチバス、ブルーギルは流域全体に広がっており、カダヤシ、ヌマチチブ、カムルチーも比較的広範囲に出現した。文献調査では、さらに4種(ソウギョ、ハクレン、コクレン、タイワンドジョウ)の外来魚類の記録が見つかった。
著者
川瀬 成吾 小西 雅樹 上原 一彦
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.93, no.9, pp.808-822, 2018-09

淀川流域は日本最古の湖・琵琶湖を主水源に持ち,広大な氾濫原環境を有するという地質的・地理的要因から,生活史のすべてを淡水域で過ごす純淡水魚類の種数が河川としては日本でもっとも多いことで知られる。当流域には,天然記念物のイタセンパラやアユモドキParabotia curtus,固有のヨドゼゼラBiwia yodoensisやヨドコガタスジシマドジョウCobitis minamorii yodoensisなどの河川の氾濫によって生じた河川本流の周囲に広がる水域を好む魚類(=氾濫原性魚類)が多く生息し,上流の琵琶湖流域とは異なったユニークな生態系を有している。しかし,淀川の在来魚類は1960年代から水質汚濁,1970年代から河川改修による河道の水路化,ワンドやタマリの消失などによって激減している。さらに,2000年代に入り,オオクチバスMicropterus salmoidesやブルーギルLepomis macrochirusを中心とした外来魚類が急増し,イタセンパラやヨドゼゼラなど在来魚類の激減に拍車をかけている。1970年代から10年に1度実施されている淀川全域調査によると,1990年代までは総採集個体数に占める外来魚類の割合は2%未満だったものが2000年以降30%前後まで激増し,在来魚類の数は激減している。大阪府および京都府版レッドデータブックにリストアップされている淀川流域産魚類から減少要因を抽出すると,外来魚類がそれぞれ3番目および2番目に多く挙げられる状況となっている。私たちは川瀬ほかで淀川流域の外来魚類について網羅的に調査し,近年の分布や生息状況について初めて包括的に報告した。コクチバスMicropterus dolomieuの分布拡大やチャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusの淀川での初報告,アリゲーターガーAtractosteus spatulaの生殖腺の発達が確認されるなど,従来のオオクチバス,ブルーギルに加えて新たな脅威が迫っている。
著者
西池 季隆 坂田 義治 加藤 崇 長井 美樹 小西 雅樹
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.1065-1070, 2002-10-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

平成6年から平成14年の間に市立吹田市民病院において治療した下顎骨骨折35例を検討した.男女比は2:1であった.年齢別では20歳代が最も多く全体の31%を占めた.受傷原因では,交通事故52%,殴打31%,転倒•転落17%であった.骨折部位の頻度は,関節突起33%,おとがい部25%,角部22%,体部10%,枝部10%であった.30歳未満では受傷原因として交通事故および殴打が有意に多く,30歳以上で転倒•転落が多かった.交通事故や転倒•転落では関節突起骨折が有意に多く,殴打では他の部位の骨折が多かった.治療は,チタンあるいは吸収性プレートによる観血的治療および顎間固定30例,顎間固定のみ2例,保存治療1例,他院での治療2例であった.顎間固定の期間は平均42日であった.6ヵ月以上経過を追えた22例中後遺症は6例であった.痛み4例,咬合不全1例,顎関節雑音1例,顔面神経側頭枝の麻痺1例であった.関節突起骨折では他の部位の骨折に比較して有意に後遺症が多く発生していた.今後の当院における下顎骨骨折治療の検討課題は,顎間固定期間の短縮化,吸収性プレートの適用の拡大,関節突起骨折の治療方法の検討であると考えられた.
著者
小西 雅樹 朝井 俊亘 武内 啓明 細谷 和海
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.43, pp.105-110, 2010-03

干物から透明骨格標本を作製するため二重染色法を改良した。この方法が従来の方法と大きく異なる点は、1.塩抜きのために水戻しをすること、2.固定時のフォルマリン濃度を高くすること、3.透明化処理時の水酸化カリウム水溶液濃度を低くすることの3点である。この方法は、干物をきれいに透明化できる点で従来の方法よりも優れている。