著者
長峯 純一 湯之上 英雄
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1999年の合併特例法改正でスタートした平成の市町村合併を検証したところ,ほとんどの合併は財政支援を受けられる期限直前の駆け込みであった。それも合併への誘因を与えたのは,三位一体改革による交付税ショックであった。合併した自治体は行革に邁進しつつも,まちづくりをどう進めていくか,とりわけ旧役場や住民サービスをどうするか,職員の意欲をいかに高めていくかという課題に直面していることが明らかとなった。
著者
足立 幸男 竹下 賢 坪郷 實 松下 和夫 山谷 清志 長峯 純一 大山 耕輔 宇佐美 誠 佐野 亘 高津 融男 窪田 好男 青山 公三 小松崎 俊作 飯尾 潤 飯尾 潤 立岡 浩 焦 従勉
出版者
関西大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

環境ガバナンスを支える民主主義の理念と制度について検討をおこない、その結果、以下の点が明らかとなった。第一に、適切な環境ガバナンスを実現するには、将来世代の利害に配慮した民主主義の理念や制度のあり方を生み出す必要がある。第二に、政治的境界と生態系の境界はしばしば一致しないため、そうした状況のもとでも適切な環境ガバナンスが実現されるような制度的工夫(いわゆるガバナンス的なもの)が必要となるとともに、民主主義の理解そのものを変えていく必要があること。第三に、民主主義における専門家の役割を適切に位置づけるためにこそ、討議や熟議の要素を民主主義に取り込む必要があるとともに、そうした方向に向けた、民主主義の理念の再構築が必要であること。第四に、民主主義を通じた意識向上こそが、長い目でみれば、環境ガバナンスを成功させる決定的に重要な要因であること、また同時に、それを支える教育も必要であること。以上が本プロジェクトの研究成果の概要である。
著者
長峯 純一
出版者
関西学院大学
雑誌
Working papers series. Working paper
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-26, 1999-11

本稿は、長峯(1998)で提示した公共投資の地域間配分に関する政治-経済モデルを踏襲し、前回の県レベルの道路投資を対象にした実証分析をさらに発展させ、新たな分析視点を織り込むことを意図する。ここでいう政治-経済モデルとは、資源配分、地域間再分配、景気(雇用)対策という公共投資に期待される複数の政策目的と政治プロセスからの影響力を同時に考慮しようとする実証モデルである。今回考慮した分析視点は、第1に、国が投資主体となる道路投資(直轄事業)と県が投資主体となる道路投資とを区別し、両者の配分構造の違いを分析すること、第2に、利益集団たる建設業の多寡が道路投資の大きさと相関をもっている可能性を考慮すること、第3に、中央官僚の地方自治体への天下り出向が、その地域への道路事業や補助金配分への橋渡しになっている可能性を考慮することである。実証結果は、国の道路投資と県の道路投資の決定要因が微妙に異なり、前者については、国(建設省)が各県の道路投資に対するニーズ(面積)を睨みながら、都市地域から地方へと再分配している様子が示唆され、後者については、道路投資額と国庫補助額の同時決定の分析枠組みが支持され、各県への国庫補助額(1人当たり)が道路需要の充足と地域間再分配という両側面に答えていることが示された。政治家、官僚、建設業者の影響については、一部で有意かつ興味深い結果が示されたものの、全体的には今後の課題となった。