著者
池田 葉月 窪田 好男
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 公共政策 (ISSN:18841740)
巻号頁・発行日
no.11, pp.77-97, 2019-12-25

行政では、何かの結果を報告したり説明したりする場合、文章中心の報告書を作成するのが一般的であり、それは地方自治体の公共政策の評価の制度である自治体評価においても同様である。しかし海外の先行研究では、文章中心の報告書以外にも様々な方法が紹介されており、それらの中には表やグラフ、イラストなどの視覚的な要素のように比較的容易に取り入れることができるものもある。公共政策の評価においては、評価の結果が利用されることが重要であり、そのためには、想定される利用者の目に止まり、よりよく理解されることが重要である。そのためには報告書に視覚的な工夫を凝らしたり、動画を用いたりすることが有効であるが、現状では一般的ではなく例も少ない。そのため、筆者ら(窪田・池田)が行った2 つの評価において試みた先行的な取組みを、評価結果の効果的な報告方法を実践した事例を紹介したい。
著者
竹安 栄子 春日 雅司 春日 雅司 窪田 好男 竹安 栄子
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.研究目的・なぜ地方議員を研究対象とするのか近年、女性議員の割合が増加してきたとはいえ、諸外国と比較すると極端な女性の政治的過少代表という状況に変わりはない。本研究は、(1)わが国の女性の政治的過少代表を生み出す構造的・制度的要因ならびに環境的・社会的要因を解明すること、(2)女性議員と男性議員の間に差異があるのかどうか、もしあるとすればどのような差異かを実証的に解明することを目的とする。先進諸国では、選挙制度が同じであるとするなら、女性の政治参画は地域政治レベルから国政レベルに進展すると報告されている。しかしわが国では、地方議会レベルの女性議員率が国政レベルよりも低いという状況である。本研究は、女性の政治参画が容易であると想定される地域政治レベルで女性議員の進出が進まない背景には、日本の地域社会特有の要因がある、という仮説の下に地方議員に着目した。2.調査方法とその経過(1)調査対象:全国の都道府県議会・市町村議会・東京23区区議会の議員。(2)調査期間:平成14年2月〜4月(この期間後返送された調査票も有効数に加えた)(3)調査方法:郵送法(議会事務局宛に調査票を送付し、事務局を通じて配布。回答は直接郵便で返送。)(4)発送総数と回収総数(率):発送総数62,025、回収数(率)17,062(27.5%、男性議員92.3%、女性議員7.7%)3.総括全国地方議員調査結果より得られた知見から、男性議員と女性議員の間に様々な差異が存在することが明らかとなった。以下、選挙資源の問題と代表者選出の公平性の2点に絞って記す。(1)政党の遺憾を問わず、男女議員ともに地域社会が集票に大きな役割を果たすと認識していた。男性議員は出生地と選挙区が一致する議員の割合が高いが、女性議員は顕著に少ない。これは男性議員にとっては地域社会との関係が生得的資源として集票に活用されるが、女性議員は自らの能力で支援・支持団体を獲得する必要があった。(2)男性議員と女性議員の間に、政党の違いを超えて、出身階層・学歴・職業・問題関心・政治家としての活動等多数の項目で差異があることが明らかになった。したがって女性の過少代表は、代表者選出の公平性を揺るがす問題であることが実証された。
著者
小西 秀樹 岡本 哲和 吉岡 至 廣川 嘉裕 脇坂 徹 窪田 好男
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小泉政権以降、中央政府および地方政府における政策形成の場で、重視される価値がどのような変容を遂げているのかを明らかにすることが本研究の目的である。事例研究のひとつの結果としては、ポピュリズム的価値の重要性の高まりが、政策の形成と実施におけるNPOの役割増大および住民投票の増加と関係している可能性があることが示唆された。一方で、2008年大阪府知事選挙時に実施したサーベイ調査では、有権者のポピュリズム的指向およびネオリベラリズム的指向のどちらもが、投票意思決定に影響を及ぼしていなかった。これら2つの価値がいまだ優勢である可能性は高いものの、一方でそれが退潮していく兆しがあることが明らかにされた。また、市町村合併や首長選挙についても政治的・政策的価値の変化をみることができた。
著者
足立 幸男 竹下 賢 坪郷 實 松下 和夫 山谷 清志 長峯 純一 大山 耕輔 宇佐美 誠 佐野 亘 高津 融男 窪田 好男 青山 公三 小松崎 俊作 飯尾 潤 飯尾 潤 立岡 浩 焦 従勉
出版者
関西大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

環境ガバナンスを支える民主主義の理念と制度について検討をおこない、その結果、以下の点が明らかとなった。第一に、適切な環境ガバナンスを実現するには、将来世代の利害に配慮した民主主義の理念や制度のあり方を生み出す必要がある。第二に、政治的境界と生態系の境界はしばしば一致しないため、そうした状況のもとでも適切な環境ガバナンスが実現されるような制度的工夫(いわゆるガバナンス的なもの)が必要となるとともに、民主主義の理解そのものを変えていく必要があること。第三に、民主主義における専門家の役割を適切に位置づけるためにこそ、討議や熟議の要素を民主主義に取り込む必要があるとともに、そうした方向に向けた、民主主義の理念の再構築が必要であること。第四に、民主主義を通じた意識向上こそが、長い目でみれば、環境ガバナンスを成功させる決定的に重要な要因であること、また同時に、それを支える教育も必要であること。以上が本プロジェクトの研究成果の概要である。