著者
重松 亨 髙橋 巌 青木 俊夫 金桶 光起 関根 章智 宮脇 琢磨 前田 聡 伊藤 満敏
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.22-30, 2019 (Released:2019-04-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

Unpasteurized draft sake has a potential market value, since it shows fresh flavor and fruity taste, compared with conventional thermal pasteurized sake. However, the actualization of the market value of draft sake is restricted by its short shelf life due to deterioration of flavors and taste by the over-fermentation by sake-yeast, as well as by remaining enzymes produced by koji-mold. Recently, we have developed a new sake brewing process with high hydrostatic pressure (HHP) treatment as a non-thermal pasteurization. Using this process, a prototype HHP-treated sparkling type draft cloudy sake, namely AWANAMA, was brewed. This prototype sake remains the sensory properties like draft sake, but avoiding deterioration by over-fermentation. In this report, we described the development of the new sake brewing process, results of marketing research by domestic and international exhibitions, and the still-remaining research objectives undergoing.
著者
森村 茂 叶 秀娟 重松 亨 木田 建次
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.417-423, 2002-09-25
被引用文献数
13

焼酎蒸留残渣を利用して醸造酢を製造する場合,クエン酸耐性を有する酢酸菌を用いて,添加エタノール濃度5%(v/v)の条件で好気培養を行えば,焼酎蒸留残渣の固形分の有無,滅菌の有無,従来法あるいは返し仕込みで副生する焼酎蒸留残渣の種類に関係なく,容易に酢酸発酵が行えることを明らかにした.さらに,流加培養を行うことにより,回分培養と比較してより高い酢酸生成収率が得られた.製造した醸造酢は市販の黒酢と同様の優れた抗ラジカル活性およびACE阻害活性を示し,それらの活性は焼酎蒸留残渣由来の物質によることがわかった.このように,焼酎蒸留残渣から機能性を有する醸造酢を製造することができた.
著者
小長谷 幸史 小田島 大 山家 真奈美 高橋 悠斗 古俣 真夕 重松 亨
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.425-435, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
21

分子生物学など幅広い分野で用いられているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,現在では高等学校の生物の教科書にも記載され,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査で用いられていることにより社会にもPCRが広く認知されるようになった。高等学校の生徒に対してPCRの原理と応用に関する質問紙調査を行った結果,ほぼ全員PCRという言葉を知っていたが,SRAS-CoV2の検査に関すること以外の記述はほとんどなかった。この生徒に対し大学と連携によるPCRの実験を伴った授業を行った。授業は通常の授業時間のなかで説明,PCRの操作,電気泳動を含めて2校時内に行うものとし,PCRは3台の温度の異なるウォーターバスを用いて生徒が反応液の入ったPCRチューブを移動させる“手動PCR”の方法で行った。PCRは原核細胞の16SリボソームRNA遺伝子のほぼ全域の約1500 bpの部分を標的とし,試料は納豆から分離したBacillus subtilisの菌体およびそのDNA,納豆の粘りを用いた。1校時目に全体の説明とPCRの反応操作を行った。PCRの条件は初期変性2分間の後,94°C 20秒間56°C 20秒間72°C 20秒間の25サイクルで行った。2校時目にPCR後の反応溶液を電気泳動に供した結果,9班中2班で目的のPCR産物が得られていた。本実践では感染症対策を十分にとって行うことができた。授業後の課題の設問への解答にはPCRの原理や検査以外の応用の記述がみられるようになった。本実践により通常の授業時間の2校時と課題による時間外学習によりPCRについて学ぶことができる生徒実験が構築できる可能性が見出された。
著者
関 孝弘 森村 茂 重松 亨 前田 浩 木田 建次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.869-874, 2003-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

S-180をddYマウスの背部に皮下移植し固形腫瘍を形成したマウスに, 0.1%, 0。3%, 0.5%, 1.0%, 1.5%焼酎粕を添加した実験食, および0.3%, 0.5%, 1.0%, 1。5%醸造酢を添加した実験食を投与し, 抗腫瘍活性評価を行った。その結果, 焼酎粕に関しては0.3%以上, 醸造酢に関しては0.5%以上飼料に添加することにより, 1%有意で腫瘍体積の増加を抑制した。また, 腫瘍の増殖を抑制した結果, それらの群では明らかな延命効果を確認することができた。さらに, 0.5%, 1.5%焼酎粕および0.5%, 1.0%, 1.5%醸造酢添加の実験食群では腫瘍が完全に退縮したマウスを確認した。以上の結果から, 焼酎粕および焼酎粕から製造した醸造酢は, 食事投与により少なくとも腫瘍増殖抑制作用としての抗腫瘍活性を有することが明らかとなった。したがって, 我々が製造した醸造酢は, 抗腫瘍効果を有する機能性食品の1つであると言える。