- 著者
-
長野 隆男
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.219, 2005 (Released:2005-12-08)
目的)豆腐の製造において,異なる種類の凝固剤が使用される。本研究では,豆腐の凝固機構が異なる,塩化マグネシュウム(MgCl2)とグルコノデルタラクトン(GDL)を凝固剤に用いて豆腐を作製し,力学物性,保水性,ゲル構造について調べた。方法)一晩浸漬した大豆に蒸留水を加えて(豆に対して5倍量)ミキサーにかけ,生呉を絞り生豆乳を得た。生豆乳を,96℃,5分間加熱してすぐに室温まで冷却し,豆乳を得た。得られた豆乳に蒸留水を加えて,様々な濃度の豆乳を調製した。濃度を調製した豆乳に0.3%の凝固剤を加え,GDLを添加した豆乳は85℃,MgCl2を添加した豆乳は70℃で,それぞれ30分間加熱をおこない豆腐試料を得た。力学物性は破壊試験,保水性は遠心法,豆腐のゲル構造は共焦点レーザー走査顕微鏡による観察をおこなった。結果)豆乳固形分が,MgCl2塩添加豆腐では3.7%,GDL添加豆腐では10%以上の濃度で豆腐を形成するようになり,GDL添加豆腐の方が低い豆乳濃度で作製できた。MgCl2とGDL塩添加豆腐の両方とも,豆乳固形分の増加に伴い,力学物性値(破断応力,破断歪,ヤング率)と保水性は高くなり,タンパク質のネットワーク構造は密な構造となった。豆乳濃度が同一の条件でMgCl2とGDL添加豆腐を比べると,GDL添加豆腐の方が,力学物性値,保水性は高い結果となり,タンパク質の凝集物は小さくより均一なゲル構造であった。ゲル構造は,豆乳の濃度を低下させて豆腐を作製すると,より明らかになった。現在,豆腐の力学物性とゲル構造の関係を,詳しく解析しているところである。