著者
香川 実恵子 松本 美鈴 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1245-1254, 1999-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

アオリイカ, スルメイカ, ヤリイカの生, 加熱肉より抽出したエキスを用いて, 官能検査とエキス分析を行い, 種類および鮮度による呈味の違いを検討した.3種類のエキスを比較したところ, アオリイカは遊離アミノ酸含量, 特に甘味を有するGlyが他に比べて有意に多く, 官能的にも甘味が強いと判定され, 呈味は最も好まれた.また, スルメイカは, グリシンベタインが多いものの, 苦味を有するHisや不味成分であるHxが多く, 好まれなかった.貯蔵による呈味の変化を検討したところ, 生イカでは24時間貯蔵によりアオリイカで有意に甘味とうま味が増して好ましくなり, 加熱イカではスルメイカで24時間貯蔵によりうま味が増した.
著者
香川 実恵子 松本 美鈴 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.215-226, 2006-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
31
被引用文献数
1

Mieko Kagawa Misuzu Matsumoto Keiko Hatae The changes in the food texture of squid muscle boiled in water (WA), an 18% salt solution (SA), and 100%soy sauce (SO) for 1,5,10, and 30 min were investigated by a sensory evaluation of the texture and measurements of the total weight, moisture content, salt concentration, pH value, mechanical properties, and protein composition. The samples cooked in SO had the highest hardness, followed by the samples in SA and then those in WA. Longer boiling in WA made the meat softer, but had no such effect on the samples boiled in SA and SO. The moisture content of the muscle boiled in SA and SO decreased with increasing boiling time, particularly so in SO. The results from the sensory evaluation of the texture, mechanical properties, and protein composition analysis show different textural properties of the muscle samples boiled in SO from those in SA. Boiling in SO for a short time made the skin tough. It seems that some components in SO other than sodium chloride influenced the physical properties of the muscle and skin of the squid.
著者
香川 実恵子 松本 美鈴 畑江 敬子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.699-708, 2000-08-15
参考文献数
18
被引用文献数
5

アオリイカ, スルメイカ, ヤリイカの生, 加熱肉を即殺後5日間貯蔵し, 官能検査, 物性分析を行った.生アオリイカは, ねっとり感が強く, 嗜好的にも好まれた.しかし, 加熱により伸び率が大きくなり, 歯切れが悪くなった.生スルメイカは, 最も硬く, ねっとり感が乏しく, 嗜好的にも好まれなかったが, 加熱すると, 歯切れが良くなり, 他のイカとの嗜好的な違いがみられなくなった.貯蔵による物性変化は生イカにおいて顕著であり, いずれのイカでも引っ張り強度が低下し, 付着性が増加し, 硬さが減少し, 貯蔵1日でイカ肉が軟化した.クラスター分析を行った結果, 生イカでは貯蔵の有無により, 加熱イカでは種類により, イカ肉のテクスチャーが大きく異なることが明確になった.
著者
香川 実恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】少子化・小家族化が進んでいる近年,保育施設や学校教育機関は,子育て支援の拠点として,家庭や地域への食情報の初受信の場としても期待されている。そこで,本研究では,保護者のニーズを捉えた子育て支援食育活動として English Kitchenの企画・運営を行い,その成果と課題を検証することにした。【方法】子どもに習わせたい習い事ランキングで常に上位にあげられている英語を取り入れ,英語と調理の両方を楽しみながら体験するという多目的な食育活動を企画した。対象は5~6歳児とその保護者とし,本学教員の2名のネイティブ講師と一緒に3回シリーズの講座を企画実践した。1回目の英語遊びでは「果物」や「色」,「はいどうぞ」の学習を絵本を取り入れながら学習した後,それらの英語を用いてカラフルフルーツ白玉をつくるというクッキングを行った。最後に保護者アンケートおよび子どもへの聞き取りを行った。【結果】英語遊びでネイティブ講師とやり取りを行った子どもたちは,「ドキドキした」,「楽しかった」と感想で答えるなど,適度な緊張と興奮とともに達成感を味わっていた。英語遊びで学んだA(Apple),B(Banana),C(Cherry)が,実際にその後のフルーツ白玉の調理に出てくるように工夫したり,絵本「はいどうぞ(Here you are)」の後に,デモンストレーションしながら食材のやり取りを子どもたちにも行ったりするなど,英語遊びとクッキングを関連づけながら流れのある展開が実現できた。また,家庭でも親子で簡単に実践できるヘルシーな調理を提案し,実践することができた。保護者の満足度も高く,質の高い英語を取り入れた子育て支援食育講座を提供できたことが示された。
著者
香川 実恵子
出版者
松山東雲女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

153園の保育所等から聴き取り及び観察を行い、115園の年齢毎の子どもと保育者の支援についての観察記録を得るとともに、食に関する100の事例を収集した。これらを分析し、年齢毎の特徴や違いを明確に捉え、事例で多かった「好き嫌い」等への対応策などを資料にまとめた。また、多目的型子育て支援活動(「イクメン企画:パパと一緒にクッキング」、英語遊びを取り入れた「English Kitchen」、低年齢児対象の「おいしい楽しい食育広場」)などを3年間継続的に企画実施し、好評を得た。さらに、愛媛県と連携した地域食育活動を推進し、「愛媛食育かるた」を始め郷土の食を取り扱う新しい教材を製作・配布した。